ペンタブレット仮処分申請事件&意匠新着審決【3条1項3号系】【判定系】【10条系】

 ワコムさんが、プリンストンさんのペンタブレットにつき、販売差止めを求める仮処分を申請した事件がニュースになってました。
 (YAHOO!Japan ITmedia News 2011年2月22日配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110222-00000055-zdn_n-inet )
  ワコムさんの登録意匠の方には関連意匠が結構登録されているようです。関連意匠との関係を見てこの事件を眺めるとおもしろいかもしれませんので、またの機会に。
 
 さて、今日は木曜日、意匠の新着審決をご紹介いたします。張り切っていってみよー!

■■■意匠新着審決【3条1項3号系】【判定系】【10条系】

●不服2009-22971 
意匠に係る物品「オートバイ」

本願意匠(意願2008- 32193)と引用意匠(意匠課公知資料番号第HH20207681号、クワッドバイク)は非類似と判断されました。
*判断主体: 言及なし
*公知意匠の参酌: ボディカウルにおいて共通するとした形状部分につき『引用意匠に限らず採用され、いわば一般汎用化した形状といえるもの

本願意匠

引用意匠

両意匠には、本願意匠は前輪が2輪で後輪が1輪の3輪型であるのに対し、引用意匠は4輪型であり、しかもホイールベースの長さが相当程度相違するという、骨格的な構成態様において顕著な相違があるため、この点において既に、意匠全体が起こさせる美感は、本願意匠と引用意匠とでは大きく異なるものである。

●不服2010-5560  
意匠に係る物品「排水管継ぎ手」

本願意匠(意願2009- 6554)と引用意匠(意匠登録第1122294号)は非類似と判断されました。
*判断主体: 言及なし
*公知意匠の参酌: 共通点につき『本願出願前のこの種排水管継ぎ手の分野の意匠に見られるもの

本願意匠

引用意匠

『(A)及び(B)の相違点における本願意匠の態様は,各構成要素をそれぞれ個別に取り上げれば,それ自体に格別新規な特徴があるほどのものとはいえないながら,排水管継ぎ手における上部接続部及び横枝管接続部の態様の相違は,施工において管を相互に連結するという本願意匠に係る物品の特性から,よく目に付き,さらに,同部位が本願意匠に係る物品において一定の大きさを占めることから,意匠全体の印象の差に与える影響は大きいといえる

 ちなみに相違点はこちら。
 『(A)上部接続部及び横枝管接続部の形状について,本願意匠は,いずれもその基部から先端に至るまで外径が同一であり,さらに上部接続部の径が接続部本体の上面の径よりやや小径であるのに対して,引用意匠は,上部接続部の上端に受け口,横枝管接続部の基部にくびれ部,先端に鍔部が形成されており,さらに上部接続部の径が接続部本体の上面の径とほぼ同径である点,
 
(B)横枝管接続部の位置について,本願意匠は,横枝管接続部を接続部本体左右方及び正面方の扁平横筒体の円筒軸中心から突設させているのに対して,引用意匠は,いずれも横枝管接続部が円筒軸中心からやや下方に偏心して突設している点

●不服2010-4568   
意匠に係る物品「電子計算機用データ表示機」

本願意匠(意願2009- 7203)と引用意匠(意匠登録第1339236号、液晶モニター)は非類似と判断されました。
*判断主体: 言及なし
*公知意匠の参酌: 共通点につき『この種物品分野の意匠においてありふれた態様であって

本願意匠

引用意匠

 相違点(ア)は,目に付き易い部位に係るものであるから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいというべきであり,また,相違点(イ)及び同(ウ)は,部分意匠として見た場合,見る者に別異の印象を強く与えるものであって,…
 ちなみに相違点はこちら。
 『(ア)本願意匠は,楕円盤状体の上面部が緩やかな球面状に膨出しているのに対して,引用意匠は,当該部が平板状である点,
(イ)本願意匠は,支持脚部との接合部が平面視円形状で,支持脚部が嵌合する「貫通孔部」が形成されているのに対して,引用意匠は,当該接合部は,平面視楕円形状で,支持脚部との接合部に貫通孔部はなく,具体的な接合態様は不明である点,
(ウ)本願意匠は,底面の具体的態様について,貫通孔部の円形状のリブ状部と楕円形状台部の楕円状のリブ状部のみが接地面と水平に接するように構成され,その余の部分は,空洞になっているのに対して,引用意匠は,その楕円状台部全体が平板状である点。

●判定2010-600033   
意匠に係る物品「バックル」

イ号意匠は、本件意匠(登録第1125816号)及びこれに類似する意匠の範囲に属すると判断されました。
*判断主体: 看者
*公知意匠の参酌: 共通点(A)につき『このタイプのバックルとして周知の態様と認められるものであるから(例えば、意匠登録923359号、意匠登録第1003683号、同号類似第1号、同号類似第2号等)』、板厚の差異につき『この種の物品において既に公然知られており(例えば、本件登録意匠と同様な扁平な板状としたものについては意匠登録1088613号、同号類似第1号等、イ号意匠と同様な厚みのある板状としたものについては意匠登録第748494号、意匠登録第814389号等。)』、イ号意匠が背面側にせり出す態様で一体化し、ベルト挿入口の下辺側に台形状凸部を有している点につき『既にありふれた態様

本願意匠

引用意匠

これら各部の具体的態様における共通点は、バックルのほぼ全域に渡る共通点であって、特に共通点(C)の雌体の凹弧状にえぐられたくびれ部は、その上方の共通点(B)の楕円に近い略隅丸長方形部と、その下方の共通点(D)の横長楕円形部を強調する効果も有し、共通点(A)の骨格的な態様が共通していることと相俟って両意匠に強い共通感をもたらすものとなっている。

●不服2010-4294   
意匠に係る物品「電子スチルカメラ」

本願意匠(意願2008- 31400)と本意匠(意匠登録第1363059号)は非類似と判断されました。
*判断主体: 看者
*公知意匠の参酌: 共通点(A)(C)における態様につき『この種物品分野において本願出願前からよく見られる態様であり

本願意匠

本意匠

差異点についてみると、…両者の位置、大きさ、範囲の差異が形態の差異としても表れ、その差異は、両意匠の持つ美感に関わるもので、両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。

本日は以上です!次回は商標の新着審決のご紹介です、見ていただけるのならぷちっと押してくださいね…
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※左上の画像データは名古屋市さんのご好意により提供していただきました。

この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…

【執筆記事】
  
「知財管理」誌 VOL.60  NO.6
  (並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)

  「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
  (「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)

【関係事件】
 代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
 
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
 なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。

【ZIP FM Z-TIME BIZ】
 ここのフォトギャラリーになぜかわたくしが。
  見付からないよ~?→2008/07/23のところ…

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