この度の大地震で被災された方々及び亡くなられた方々に心よりお見舞い申し上げますと共に哀悼の意を表します。
「東北地方太平洋沖地震:お役に立てる情報を…」
↑↑↑
被災者の方にお役に立つであろう情報(政府系・企業系HP以外)をピックアップしてまとめております。新しい情報を順次追加しております。
何らかの形で被災者の方に届くと幸いです。
「被災しなかった地域・被害が小さかった地域の方へ」
↑↑↑
支援活動をお考えの方にお役に立つであろう情報をピックアップしてまとめております。新しい情報を順次追加しております。
============
取り挙げたいネタが溜まる一方ですが、木曜日なので、久し振りに意匠の新着審決をご紹介します。
間違い探しじゃね?と思うような審決があるとかないとか…
■■■意匠新着審決【3条1項3号系】【判定系】【10条系】
●不服2009-23298
意匠に係る物品「ケーブルラック用上下自在継ぎ金具」
本願意匠(意願2009- 1125)と引用意匠(特開2005-143272号、第9図、ケーブルラック上下自在継ぎ金具)は非類似と判断されました。
*判断主体: 見る者
*公知意匠の参酌: なし
本願意匠
引用意匠
『…ケーブルラック相互の単なる接続のための構造だけでなく,所望する角度での連結維持と電気的接続特性の確保という使用上の使い勝手と物品の性能も重要視されるものであって,そうした場合,共通点(ア)-(エ)は,両意匠の形態全体にわたる基本的構成及び具体的構成態様に係るものであって,共通点が両意匠に共通感を生じせしめており,両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度あるとしても,共通点(ア)の重合連結片部が略舌片形状をなす点,共通点(ウ)及び同(エ)の共通性に関しては,概括的なものに止まり,特に使用上の使い勝手と物品の性能に直接関わってくる重合連結部の具体的態様において,種々の相違点を有するものであって,…』
『重合連結片部の具体的態様の相違は,一対の連結片の重合連結片部の重なり具合が大きく異なることによって,全体の基本的構成態様の共通性の評価にも影響を与えると共に,本願意匠の連結孔部を中心としてその周囲に設けられた湾曲長円孔部と小長円孔部とが相互に係止し合うのに対して,引用意匠にはそういった態様が全く見られないこと(拒絶の理由に付記された「参考意匠」の「第4図」中の「5B 遊動孔」は,本願意匠の湾曲長円孔とは,構成も具体的態様も異なるものである。)によってもたらされる使用上の使い勝手や物品の性能の相違は,両意匠を見る者に対して別異の感を与えているというべきであって…』
ちなみに重合連結片部の相違点はこちら。
『重合連結片部の態様について,本願意匠は,その略中央に連結孔部を設けてボルトとナットを取り付け,また,その連結孔部を中心点して,先端寄りに,円弧状に「湾曲長円孔部」を形成し,ラック取り付け片部寄りに,放射状に3つの「小長円孔部」を形成したものであって,左右の連結片の重合連結片部は,湾曲長円孔部と略小長円孔部の位置が相互に合致し,略小長円孔部のうちの中央の一つにはタッピングネジが取り付けられており,一対の連結片の重合連結片部は,その大半が前後に重なっているのに対して,引用意匠は,連結孔部を重合連結片部の先端寄りに1箇所設けてボルトとナットを取り付けているのみであって,一対の連結片の重合連結片部の重なりは非常に少ないものである点』
●不服2010-4404
意匠に係る物品「携帯電話機」
本願意匠(意願2009- 609)と引用意匠(意匠課公知資料番号第HJ19077298号)は非類似と判断されました。
*判断主体: 言及なし
*公知意匠の参酌: なし
本願意匠
引用意匠
『…,相違点(ア)は,形態全体に渡るものであって,両意匠の形態上の基調をそれぞれに形成しているものであるところ,本願意匠の構成態様は,特徴的なものであるのに対して,引用意匠の構成態様は極ありふれたものに過ぎないから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいという他なく,そして,相違点(イ)は,これ自体ではそう大きく評価することはできないにしても,相違点全体が生じさせている効果を考慮すると,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕して,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきである。』
ちなみに相違点はこちら。
『(ア)各キーをレリーフ状とした具体的構成態様について,本願意匠は,各キーの数字等の平面形状をそのままレリーフ状としたものでも,各キーの数字等の周囲に規則的な余白部を形成してレリーフ状としたものでもなく,各キー毎に不規則な構成態様でレリーフ状としたものであるのに対して,引用意匠は,各キーの数字等の平面形状をほぼそのままレリーフ状としたものである点,
(イ)その他,詳細に見ると,クリアー及び4個のファンクションキーのうちの3個の具体的平面形状が大きく異なる点,キーの大きさやキーの配列間隔が相違するなどの相違点』
●不服2010-10573
意匠に係る物品「箸」
本願意匠(意願2009- 10906)と引用意匠(実用新案登録第3075521号の図1)は非類似と判断されました。
*判断主体: 看者
*公知意匠の参酌: なし
本願意匠
引用意匠
『…差異点として、例えば、食品を摘む部分の具体的態様につき、本願意匠が、それぞれを肉厚な板状とし、互いに向きあう内面を平坦面状として、その略中央に浅い円形凹部を設けたのに対し、引用意匠は、それぞれの摘み部が下面外方に向けて左右対称に凹陥する細長のすくい面状とし、箸先部分を閉じた状態において、あたかも摘み部全体が1つの匙面を成すような形状に形成されている点で大きく異なり、これに続く角箸状の棒状部分も、本願意匠の持ち手部側へ向けて漸次拡幅する直線的な構成としたものか、引用意匠の下面側を緩やかな弧状にえぐった曲面的な構成としたものかの差異があり、これらの差異は通常の使用状態において明確に視認される部位にあって、食品を挟んだり掴んだりする機能に直接的な影響を及ぼすことから、看者の一定の注意を惹くものといわざるをえず、これらの差異が相俟った視覚的効果は共通点を凌ぎ、生起する美感を異にしていると認められる。』
●不服2010-11786
意匠に係る物品「自動車用フェンダー」
本願意匠(意願2009- 14125)と引用意匠(意匠登録第1259588号)は非類似と判断されました。
*判断主体: 需要者
*公知意匠の参酌: なし
本願意匠
引用意匠
『…外形部のみを見れば一定の共通感があるといえる。しかしながら、表面の凹凸状に留意し立体形状としてみれば、以下のとおり、意匠的効果を異ならせているため、美感が相違し、両意匠は類似しないものである。
すなわち、段部について、本願意匠は、小さな段部が漸次先細りとなり、前方のヘッドライト寄りで消失する段部であり、さらにその上部のボンネット当接部周りの丸みを帯びた稜部は、車体中央正面部へ向けて回り込むように湾曲したものであるのに対し、引用意匠は、幅広の段部が一定の幅で先端まで形成されているうえに、その上部のボンネット当接部周りにも本願意匠のような稜部による回り込みが見られないため、面構成において相違し、この部分は需要者の注意を惹く部分にかかわるので、類否判断に大きな影響を与えるものである。
また、両意匠には、フロントドア当接辺部から前方に向けて設けられた凹みラインの有無という相違があるが、ラインの長さは短いものの、車体のアクセントとなる装飾にかかわるものであるから、この有無を軽視することはできない。』
●不服2010-14657
意匠に係る物品「デジタルカメラ」
本願意匠(意願2009- 17027)と引用意匠(意匠課公知資料番号第HA19002564号)は非類似と判断されました。
*判断主体: 看者
*公知意匠の参酌: 共通点につき『この種物品の分野において、従来から見受けられる態様であり』
本願意匠
引用意匠
『位置、大きさ、範囲、及び、その形態において、差異点が共通点を凌駕し、意匠全体として看者に異なる美感を起こさせる』
ちなみに差異点はこちら。
『(a)環状凸部の位置について、本願意匠は、レンズ鏡筒部から離れ、鏡筒部とは接していない、カメラ本体の略平坦な前面パネル面に位置しているのに対し、引用意匠は、レンズ鏡筒部の外縁に連接する位置とし、内径側が高く外形側が低くなるように傾斜しているテーパー状の「鏡筒周囲飾り」としての外縁を構成するものである点、
(b)環状凸部周辺部の形態について、本願意匠は、環状凸部を挟み、カメラ本体の前面パネル面に沿った一定幅の略平坦面とするものであるが、引用意匠は、環状凸部の外周側を略平坦面とするものの、内周側は「鏡筒周囲飾り」に沿ったテーパー状としている点、
(c)環状凸部の断面形状について、本願意匠は、本体前面パネルからほぼ垂直に立ち上がり、正面側の面は平ら状とし、直角状の角部を有する、まさに略倒「凸」突出部状の凸面としているのに対し、引用意匠は、全体に丸みを帯びた凸面である点』
本日は以上です!次回も見ていただけるのならぷちっと押してくださいね…
↓↓↓
あいぎ特許事務所がfacebookデビューしました!
宜しかったら「いいね」ボタンを押してあげてください。所員のO,T,M,Kが頑張って更新しています(たまに姐御HMも登場)。
**********************************
※左上の画像データは名古屋市さんのご好意により提供していただきました。
この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…
【執筆記事】
「知財管理」誌 VOL.60 NO.6
(並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)
「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
(「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
「パテント」誌 2011.2 Vol.64
(部分意匠に関する判例研究 -類否判断を中心に- 包装用容器事件)
字数制限が厳しかったので尻切れトンボ気味ですが…
【関係事件】
代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。
【ZIP FM Z-TIME BIZ】
ここのフォトギャラリーになぜかわたくしが。
見付からないよ~?→2008/07/23のところ…
※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい<( )>
また、判例・新着審決・最近の話題は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違いがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます<( )>
コメント