<平成23年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件>(判決文はこちら)
暑さにかまけてウカウカしとったらあっという間に判決トレンドに置いてけぼりにされる昨今、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
そんな状況に鑑みて、わが事務所では、弁理士が中心となって、最新判例の勉強しとります(宣伝)
→ http://aigipat.com/special/vol220.html
わたくしも、負けじと最新判例をアップします!(・∀・)ノ
ということで、今回は、4条1項11号該当で拒絶審決を受けた原告さんが提起した審決取消訴訟を取り上げます。
■本願商標と引用商標
ちなみに…
原告さんは、本願商標のような「BASIC+おさかな図形」シリーズの商標を、こんなに登録しとります。
登録5125864 BASIC∞底釣り
登録5125865 BASIC∞グルダンゴ
登録5125866 BASIC∞サラ
登録5125868 BASIC∞ライト
登録5146193 BASIC
登録5166475 BASIC∞ペレ宙
登録5186052 BASIC∞ピーク
登録5194956 BASIC∞ミッド
原告さんの主張では、
『「BASIC」ブランドについての広告や,原告商品を用いた実演記事が掲載されており(甲24~27),原告は,このような釣り専門雑誌だけでなく,手釣り具店や釣り場による原告商品の実演講習会を開催し,一般消費者に対する原告商品の普及を図っている。したがって,遅くとも審決時には,楕円に囲まれた「BASIC」の文字,又は,所定のデザインで配置された楕円に囲まれた「BASIC」の文字と魚図形を有する商標は,原告の商品群を表示する出所識別標識として,釣り業界の取引者,需要者に相当程度広く認識されている。』
とのことです(判決文4頁)。
■裁判所の判断
結論からいうと、裁判所も、本願商標と引用商標は類似すると判断しました。
本願商標の要部の認定については、裁判所も、「キープ」の文字である、としています(判決文9~11頁)。
『本願商標は,前記1(1)のとおり,そのほぼ中央部に強調して大きく「キープ」の文字が縦書きされており,当該文字部分は,外観上,相対的に小さな「BASIC」の文字と離間して配置されて結合しておらず,頭から背中の部分を特殊化することなく配した魚の図形は,「キープ」の文字部分の背景となるにすぎないような地模様の態様であり,しかも,観念上それぞれの文字と図形の間に関連性がないことを考慮すれば,「キープ」の文字部分は,本願商標の指定商品の取引者,需要者に注目されて強い印象を与えるものと認められ,出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとの審決の上記認定に誤りはないものといわなければならない。』
『…,仮に,楕円に囲まれた「BASIC」の文字と魚図形と当該魚図形に重ねたペットマークとを配置した標章が,原告の販売する商品群を表示する出所識別標識として,本願商標の指定商品の取引者,需要者に一定程度認識されているとしても,「BASIC」の文字が一般に通用している単語であることと,魚図形が地模様の印象を持つことに照らせば,「キープ」の文字こそが本願商標において識別力を有する要部であることは明らかである。したがって,原告主張の上記事実関係により,本願商標に接した上記取引者,需要者が「キープ」の文字部分に注目するという事実が左右されるものではない』
なお、原告さんは、『本願商標の構成部分の一部である「キープ」の文字を抽出し,この部分だけを引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することが,つつみのおひなっこや事件最高裁判決における結合商標についての類否判断の枠組に反する』と主張されていましたが、
『原告援用の最高裁判決は,「つつみのおひなっこや」の一連の文字から成る登録商標の事案に即してその説示を展開したものであって,事案が異なる本件においてその説示をそのまま当てはめるのは相当でなく,原告の上記主張は,採用することができない。』
とされました。
本日は以上です!次回も見ていただけるならぷちっと押してくださいな(。-_-。)/
↓↓↓
あいぎ特許事務所のfacebookです!皆さんのおかげで固定URL取れました!ありがとうございます。
よかったら「いいね」ボタンを押してあげてくださいねー。所員のT,M,K,Hが頑張って更新しています(たまに姐御HMも登場)。
**********************************
※左上の画像データは名古屋市さんのご好意により提供していただきました。
この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…
span>【執筆記事】
「知財管理」誌 VOL.60 NO.6
(並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)
「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
(「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
「パテント」誌 2011.2 Vol.64
(部分意匠に関する判例研究 -類否判断を中心に- 包装用容器事件)
字数制限が厳しかったので尻切れトンボ気味ですが…
【関係事件】
代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。
【ZIP FM Z-TIME BIZ】
ここのフォトギャラリーになぜかわたくしが。
見付からないよ~?→2008/07/23のところ…
※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい<( )>
また、判例・新着審決・最近の話題は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違いがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます<( )>
コメント