わたくし、全日本弁理士クライミング倶楽部(非公式、現在会員3名)の部長をやっておりますが、先週の金曜日に会派の総会でインドアクライミング体験希望者を募ったところ、7名の申込みがございまして、3月上旬に体験会を開催します。クライミング倶楽部東海支部、一気に会員数を伸ばせそうな勢いです(ほんと?)。
皆さまも、一度、インドアクライミングを体験してみませんか?わたくしが優しく手ほどきいたします(たぶん)。出張可(ただし、用事ついでのときorご招待いただけるとき(汗))。
弁理士の方でなくてもOKです!倶楽部員になっていただけるなら、「全日本知財クライミング倶楽部」に名称変更いたします(倶楽部長権限で)。
さて。
本日は、1月2月に出た意匠審決の中から、図面が添付されているものをご紹介いたします。ほやほやの新着です。張り切っていってみよー!
■■■意匠新着審決【3条1項3号,3条の2項系】
●判定2011-600022
意匠に係る物品「メダル収容箱」
(イ)号「メダル収容箱」の意匠は、本件意匠(登録第1302596号)及びこれに類似する意匠の範囲に属すると判断されました。。
*判断主体: 言及なし
*公知意匠の参酌: なし
本件意匠
(イ)号
『(1)共通点の評価
両意匠は,遊戯機で使用するメダルやパチンコ玉等を収容する物品の意匠であるところ,メダルやパチンコ玉等は,その一個ずつは小さく軽いものであっても一箱全体に収納すると,非常に重量があるものであり,これら多数個の重量のある内容物を収納し,運搬し,他の容器等に移したりするに際し,収納しやすくコンパクトで,両手で握って重量物を安全に運搬出来る程度に強固で,さらに移し替えも容易であり,また使用しない時には重ねておけるという機能が要求されるものであるところ,共通点(A)に係る本件登録意匠の態様は,これらの要求を満たすべく独自に創作された特徴的なものであって,かつ,両意匠の形態全体にかかわる骨格的な態様をなすものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
共通点(B)は,(B-2)(B-3)については底面の,それぞれ極細い突条,小さな突部といった態様であるが,(B-1)の長手方向の側壁面が急斜面であり,持ち手のある短手方向の側壁面は上下で傾斜角度を変えた二つの傾斜面とした点は,コンパクトで収納しやすく,内容物を他の容器等に移し替えやすい形状を表現しており,全体の中で占める比率も大きいから,共通点(B)も全体として,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
共通点(C)は,中でも(C-1)が,両手で握って重量物を安全に運搬する機能を端的に表現しており,この点が類否判断上に及ぼす影響は大きい。
そして,これら(B)及び(C)の各部に係る具体的構成態様の共通点は,収容箱の形態ほぼ全体に渡る共通点であって,基本的構成態様の共通点(A)の骨格的な態様が共通していることと相俟って両意匠に強い共通感を生じさせているものであって,両意匠の類否判断に支配的影響を及ぼすものとなっている。』
ちなみに、共通点(A)は基本的構成態様で全体形状に関する態様、共通点(B)は具体的構成態様で容器本体部の形状に関する態様、共通点(C)は具体的構成態様で持ち手部に関する態様です。
●不服2011-15974
意匠に係る物品「包装用瓶」
本願意匠(意願2010-28370)は引用意匠と非類似と判断されました。
*判断主体: 看者
*公知意匠の参酌: 共通点の態様につき『包装用瓶の分野においては,先行公知意匠に一般的に見られる態様であり,…』
本願意匠
引用意匠
『…相違点(a)については,相違点(b)とも相まって,本願意匠は,水平断面形状がおにぎり様三角形から急激な変化無く徐々に正円形につながってゆく態様としているのに対し,引用意匠は,角部縦帯状面と胴部側面の6面の平坦面が,首部付近まで明確に存在し,そこから肩部を形成して円筒形首部につなげる態様で,それは,水平断面形状が角部面取り正三角形(又は,略正六角形)から正円につながってゆく態様であって,結局,両者は立体形状を変化させてつなげてゆく造形方法が異なった形状であり,それは首部付近の目に付き易い部分であって,併せて包装用瓶の造形的かなめと言える部分の相違であるから,類否判断に与える影響は大きい。相違点(b)については,相違点(c)とも相まって,本願意匠は,水平断面形状が,おにぎり様の略三角形の角を面取りした形状と認識できる形状であるのに対し,引用意匠は,平坦面と角部縦帯状面とで変形六角形と認識できる形状であり,相違点(a)も含めて,本願意匠は全体に軟らかな印象を与えるのに対し,引用意匠は全体に固い印象を与え,類否判断に与える影響が多少はあると言える。』
●不服2011-10146
意匠に係る物品「包装用容器」
本願意匠(意願2009-28938)は引用意匠と非類似と判断されました。
*判断主体: 言及なし
*公知意匠の参酌: 共通点の態様につき『この種の包装容器においては,ほとんどの物がこの態様であって,…』
本件意匠
引用意匠
『具体的態様に係る相違点については,まず,全体の高さと横幅にかかる(a)と(ア),及び口部径にかかる(b)と(イ)によって,引用意匠は比較的小容量でずんぐりとした容器であるのに対し,本願意匠は引用意匠よりも大容量で細身の容器であるとの認識が生まれるものであり,前記(a)と(ア)及び(b)と(イ)と共に容器のベース(土台。基礎。基本。)形状をつかさどる(c)と(ウ),及び(d)と(エ)に共通感はなく,容器の表面的形状にかかわる(e)と(オ)においても共通感は全くなく,(a)ないし(e)からなる本願意匠と,(ア)ないし(オ)からなる引用意匠の形態は全く違うと言え,類否判断に多大な影響を与えると考えるのが妥当と認められる。』
■■■意匠新着審決【3条2項系】
●無効2010-880018
意匠に係る物品「医療廃棄物容器」
本件意匠(登録第1378203号)は引用意匠1,2に基づき容易に創作されたものと判断されました。
*公知意匠の参酌: 請求人が提出した証拠方法等
本件意匠
引用意匠1(上に積まれた小さい方の容器),引用意匠2(下の大きい方の容器)
引用意匠3
資料(別紙4)
資料(別紙5)
『本件登録意匠は、その出願前に公然知られた引用意匠2の全体形状を基とし、その正背面に、公然知られた形状である引用意匠1の筋条突起をやや太幅にして左右等間隔に配したまでであって、底面に断面を台形状とする脚部を形成した点も含めて何ら困難を伴うものではないから、特段の創作を要したものとは認められず、本件登録意匠は意匠法第3条第2項の規定に該当するといわざるをえない。』
●無効2010-880015
意匠に係る物品「プーリー」
本件意匠(登録第1385854号)は公知意匠(甲第2号証~第11号証)に基づき容易に創作されたものと判断されました。
*判断主体: 取引者・需要者
*公知意匠の参酌: 請求人が提出した証拠方法等
本件意匠
甲2
甲3
甲4
甲5
甲6
甲7
甲8
甲9
甲10
甲11
※甲2~4は、ベアリングやカシメ部が付いていないもの、甲5~11はベアリングやカシメ部が付いているものです。
『本件登録意匠の形態は,甲第2号証ないし甲第4号証の意匠に表されたプーリーの本体部の形状をほとんどそのまま使用して,その凹陥部にベアリングを陥入し,該ベアリングの上周縁に,極めてありふれた態様でカシメ部を形成したにすぎないものといわざるを得ず,当業者であれば,容易に創作することができたものである。』
本日は以上です!また見ていただけるならぷちっと押してくださいな(。-_-。)/
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※左上の画像データは名古屋市さんのご好意により提供していただきました。
この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…
【紹介記事】
知らないうちに、紹介記事を書いてくださっていました(かなり前の講座ですが、たまたま発見しました)。
2010年9月 岐阜県立城北高等学校での講座
【執筆記事】
「知財管理」誌 VOL.60 NO.6
(並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)
「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
(「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
「パテント」誌 2011.2 Vol.64
(部分意匠に関する判例研究 -類否判断を中心に- 包装用容器事件)
字数制限が厳しかったので尻切れトンボ気味ですが…
【関係事件】
代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。
【ZIP FM Z-TIME BIZ】
2008/07/23 商標の話題で出演
※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい
また、判例・新着審決・最近の話題は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違
い・論点見逃しがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます
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