大改正された意匠法が4月から施行され、新しく保護対象となった「画像」の意匠で登録された事例が出てきています。今日はそれをトピックにしたいと思います。
(ちなみに、新しく保護対象となった「建築物」と「内装」の意匠については、こちらのエントリで書いています。)
改正意匠法で保護対象として認められる「画像」をごく簡単にまとめると、以下のようになります。
①と②は保護対象のもの、③は保護対象でないもの。
②の一部は以前から保護対象になっていたのですが、
今回の改正で「物品との関連性なんていらねーや!」と大盤振る舞いとなった結果、①で、例えば、クラウド型サービスの画像(アプリインストールされずに別サーバから都度送信される画像)やら、物品から別の場所に投影される投影画像等も仲間入りしました。
詳細は特許庁やいろんなところで解説されていますので、今回は深入りしませんが、特許庁のこちらの資料が詳しいので、ご興味のある方はご参照を。
IP・ePlat「令和元年意匠法改正の概要」テキスト公開
https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/seidogaiyo/document/isyou_kaisei_2019/gaiyo.pptx
さて、新しく保護対象となった画像で、登録されたものとして、どんなものがあるのでしょうか。
「建築物」や「内装」の方では、いままで建築系意匠とはあまり縁のなかったように思える企業さん(施主さん)が権利者となっている例が増えてますので(このブログでは、勝手に「新規参入型」と称してます(笑))、権利者にも着目したいと思います。
2020年4月1日以降に出願されたものとして、本日付けで以下の5件がヒットしました。5件とも新しく保護対象となった画像のようです。
No.1はフードコート等でのAR的なメニュー選択用画像。権利者は(株)東芝テックさん。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/DE/JP-2020-006735/4481A1F2502103090E72D0AB13C4F2665B08A7BD7DA957B0258AF44BAEDA3600/30/ja
No.2は在宅状況確認用画像。権利者はミサワホーム(株)さん
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/DE/JP-2020-006418/3B0D04F7C0953E89B0ADE3262389FC35F7C02039F682B97BBF3A11E20A3C41B6/30/ja
No.3は検索用GUI。権利者はグーグルさん。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/DE/JP-2020-006627/93A4AB192DABF7F2CF24B081B797137146EAC61B013C4AB6E894AAF9CC5DD262/30/ja
No.4はビルの管理者に対する問い合わせ情報を分析するためのGUI。権利者は三菱電機ビルテクノサービス(株)さん。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/DE/JP-2020-006590/CE8320EEDF83C5F5611B3A3FA0B808F6DED67EABF19C54E1BDEA5E84F8E8CF72/30/ja
No.5は車両から路面に照射される投影画像。権利者は(株)小糸製作所さん
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/DE/JP-2020-006660/5BC4B95C8867D3B39C13193084911582C544089ABFFF7A7AE4BCAF5304F00C44/30/ja
なお、No.5については、初めての登録例ということで、特許庁がノリノリで紹介しているので、こちらもご覧ください。
https://www.meti.go.jp/press/2020/11/20201109002/20201109002.html
いずれの登録例も、権利者さんはもともとその業界に関わりのある企業さんなので「新規参入型」というわけではなさそうです。
発注元/ユーザーさん(「建築物」「内装」における施主さんの位置づけ)が、画像が使われる物品や画像自体の設計/デザインに大きく関わるか否かに関係ありそうですね。
ただ、いままで意匠としては登録できなかったものもできるようになったので、同じ業界内でも、「もしかしてこの画像は権利化できる/権利化されてる かもしれない」と思いを巡らす必要がある場面が広がったのは確かです。
つまり…
「画像をみたら、疑ってかかれ」
ですね。
(そうじゃない?)
こういった画像は特許との親和性が高そうなので、特許出願との関連性も見ていくのも面白そうです。1つの技術を多面的に保護できる範囲がますます広がったところにも注目です。
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