その商標、登録する必要があるの?

あいぎ特許事務所が発行している「AIGI MAGAZINE」は「パテントの小部屋」「ブランドの小部屋」「知財お役立小ネタ」の3本立て。そのうち「ブランドの小部屋」の記事を、1ヶ月遅れで掲載いたします。

AIGI MAGAZINE 3月号「あえての 特許出願や商標出願が不要な場合」
あいぎ特許事務所が配信するメールマガジン「AIGI MAGAZINE」2023年3月号を発行しました! 『知財を「経営に効くツール」に』 をモットーに、色々な情報をお届けします! 今月号の内容 パテントの小部屋 ...

「ブランドの小部屋」は、ブランドに関わる商標や意匠等の制度について、小ネタとして、わかりやすくお伝えしてくシリーズです。

第4回 その商標、登録する必要があるの?
 
今回は、敢えて、商標登録する必要がないと思われるケースを挙げていきます。
 
その1:登録してもあまり意味がない場合
①売上が低い/売上に直結せず、すぐ使用中止できる商標
②短期で1回きりしか使わない商標(キャンペーンや周年事業等で使う商標)
等。
※商標は出願してから登録するまで、通常、6ヶ月~12か月(早期審査制度使って1~3ヶ月)かかります。
仮に他人の商標権侵害となった場合でも、関係取引先も無くすぐ使用中止できて、展開規模も小さく損害賠償金も少額と思われるものは、費用対効果を考えると、防衛としても出願する意味がないかもしれませんね。
 
その2:商標としての機能が弱いもの
商標として機能せず、また、一人に独占させるべきでない商標は、そもそも登録できないとされています。
誰も登録できないなら自分が権利侵害者にもならないので、防衛的に出願しておく必要もないですね。
典型例として、次のようなものがあります。
・商品やサービスの一般名称や慣用的なもの(商品「レタス」に「サニーレタス」等)
・商品やサービスの製造地・販売地・品質・用途・機能を表す言葉等(商品「菓子」に「healthy」等)
他にも該当するものはありますが、詳しくはこちらで。
明らかに典型例に該当するなら、出願不要と思います。
ただし、気を付けたいのは、”その”商品やサービスの一般名称等や品質等を表すものでない場合です。
例えば、「レタス」でも商品が「おもちゃ」なら登録されてましたし、「ヘルシー」でも商品が「楽器」なら登録されています(2569652号)。
また、「これは一般的に使われているから大丈夫」と思っても、実は登録されてる…というケースも少なくないので、ちょっと厄介です。
例えば、商品「菓子」に「リキュールマロン」(6373956号)とか、役務(サービス)「日本料理を主
とする飲食物の提供」に「焼うお」(6445223号)とか、意外(?)なものが登録されていたりします。
このように意外に微妙なケースもあり、色んな背景事情や当たる審査官や裁判所によって判断が大きく異ることに要注意です。
 
その3:推しでない社名・店舗名
以前触れましたが、「株式会社○○」「有限会社××」のような正式名称を、商品パッケージやウェブサイトの隅っこに小さくしか書いてない等、社名を取引先やユーザーに浸透させないような使い方しかしてない場合は、商標登録する必要性は小さいと思います。
(詳しくは第2回の記事をご覧ください。)
 
商標等の知的財産は、事業に役だってナンボです。登録する必要がなければ割り切って登録しない、というのも一つの考え方ではあります。
ただ『登録しなくても絶対大丈夫』という補償はできないので、少しでも迷われたら、弁理士等の専門家にご相談を…!

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