あいぎ特許事務所が発行している「AIGI MAGAZINE」は「パテントの小部屋」「ブランドの小部屋」「知財お役立小ネタ」の3本立て。そのうち「ブランドの小部屋」の記事を、1ヶ月遅れで掲載いたします。
「ブランドの小部屋」は、ブランドに関わる商標や意匠等の制度について、小ネタとして、わかりやすくお伝えしてくシリーズです。
ハイブランドのよく知られた製品は、模倣品の対象になりがちですね。ただ、さすがに完全コピーまずいと考えて避けるためか、少しずつ形状等を変えて「○○風」と謳った製品がみられることが多いですね…。
そのような状況を見てか、
『(大手を振っては「うちのオリジナル」と言えないけど)少し形状を変えているし、巷でも「○○風」の製品が溢れているから、大丈夫だろう』
と言ってるのを耳にしたりします。
みんながやってるから大丈夫なんでしょうか?
そう考えると、痛い目に遭うかもしれません。
次の事案が参考になりそうです。
バーキン、ケリー事件(令和 3 年(ワ)第 22287 号 損害賠償請求事件)
この事案の原告はエルメス社です。エルメス社は、下記の商標の商標権を持っています。
①はバーキン、②はケリーの立体商標です。製品そのものの形状も、一目で「あぁ、あの製品ね」とわかるくらいに有名になると、商標として登録できるんです…!
若干形状の違いはありますが…。
結論からいうと、(a)は①のバーキン商標に、(b)は②のケリー商標に類似する、として、被告さんの商標権侵害が認められました。
裁判所も “市場で「○○風」と称して販売されているバッグの全てが侵害品に該当するとは必ずしも考えられない” としていますが、この程度の変形は類似と判断されるという事例として、参考になると思います。
(判決文では詳細に対比して類否判断していますので、ご興味のある方はご覧ください。https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/965/091965_hanrei.pdf )
裁判沙汰になると対応に要する費用や時間がかかります。負けてしまうと、「真似をした」というネガティブな印象を持たれやすくなりますし、取引先にも迷惑がかかる可能性があります。
必ずしも「みんながやっているから大丈夫」とは言えないことを、肝に銘じたいところです。
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