新着審決に、GUIの意匠があったのでご紹介いたします。
最近はシンプルな図形を用いて余白を感じさせるデザインをよく目にしますが、
スタイリッシュに見えるデザインは、構成要素が少ないだけに、そのひとつひとつの要素を吟味し、デザインの全体に気配りの行き届いた構成とする必要があります。
そういった、デザイナーさんの細部まで宿る細やかな気配りを思わせる審決内容になっています。
・不服20023-21759
本願意匠は、宿泊等の予約をする際に使用可能な操作画像(GUI)で、部分意匠の出願となっています。
縦長長方形のフレームの内部に、
横長の角丸長方形の2つの枠体が重なりながら2つ配置され、
下部に横長の角丸長方形の区画が6つ、2行3列に配置されています。
原審で引例として挙げられた4件の意匠は次の通り。
引例意匠1
←2つの長方形を乱雑に配置し一部が重なる態様(その1)
引例意匠2(意匠登録第1462477号)
←2つの長方形を乱雑に配置し一部が重なる態様(その2)
引例意匠4
←乱雑に配置された長方形を中央部、整列して配置された長方形を下部に配置する態様
これに対し、拒絶査定不服審判における判断は、以下の通りとなり、拒絶すべき理由がないということで本願意匠は登録となりました。
この種の画像の属する分野においては、フレーム内において、若干左に傾斜した略横長長方形の枠体1を配置し、その左下に、これと同形の枠体2を上辺の右寄りが枠体1の下辺の左隅を覆うように右に傾斜して配置したもの(意匠1)や、左に傾斜した略横長長方形の枠体1を配置し、その右下に、これと同形の枠体2を上辺の左隅が枠体1の下辺の右隅を覆うように右に傾斜して配置したもの(意匠2)が、本願の出願前に公然知られているものである。また、上下に配置した2つのエリアの間に、略横長角丸長方形の区画を2行3列に整列して6つ配置したものも、本願の出願前に公然知られているものである(意匠3)。
しかしながら、本願画像部分のように、フレーム内において、左に傾斜した略横長角丸長方形の枠体1を配置し、その左上に、これと同形の枠体2を右下の角が枠体1の上辺の左隅から真ん中付近まで覆うように右に傾斜して配置した態様は、配置角度や重なり具合において、意匠1や意匠2には見られないものであるから、当業者が意匠1や意匠2から容易に想到し得るものというまでには至らず、
また、フレームの下端近くに配置した枠体よりやや小振りな6つの略横長角丸長方形からなる区画を配置した態様も、その配置において意匠3には見られないものであり、
さらに、これらの枠体と区画を上下に組み合わせた態様も、画像の構成態様が異なる意匠4からは導き出すことができないから、本願画像部分は、当業者にとって、格別の創作を要したものといわざるを得ない。
そうすると、本願画像意匠の態様は、この種画像の属する分野において独自の着想によって創出したものであり、当業者が引用意匠に基づいて容易に本願画像意匠の創作をすることができたということはできない。
しかしながら、本願画像部分のように、フレーム内において、左に傾斜した略横長角丸長方形の枠体1を配置し、その左上に、これと同形の枠体2を右下の角が枠体1の上辺の左隅から真ん中付近まで覆うように右に傾斜して配置した態様は、配置角度や重なり具合において、意匠1や意匠2には見られないものであるから、当業者が意匠1や意匠2から容易に想到し得るものというまでには至らず、
また、フレームの下端近くに配置した枠体よりやや小振りな6つの略横長角丸長方形からなる区画を配置した態様も、その配置において意匠3には見られないものであり、
さらに、これらの枠体と区画を上下に組み合わせた態様も、画像の構成態様が異なる意匠4からは導き出すことができないから、本願画像部分は、当業者にとって、格別の創作を要したものといわざるを得ない。
そうすると、本願画像意匠の態様は、この種画像の属する分野において独自の着想によって創出したものであり、当業者が引用意匠に基づいて容易に本願画像意匠の創作をすることができたということはできない。
原審では、2つの枠体の配置について、「乱雑に配置し一部が重なる態様」とだけ評価されていたところが
審決においては、それぞれの枠体の配置角度や重なり具合について、詳細に評価が下されています。
そのうえで、下部の6つの区画も組み合わせ等も功を奏し、はっきりと引例の意匠との差別化が認められました。
審決においては、それぞれの枠体の配置角度や重なり具合について、詳細に評価が下されています。
そのうえで、下部の6つの区画も組み合わせ等も功を奏し、はっきりと引例の意匠との差別化が認められました。
表示する物品を特定しない画像意匠であるGUIの類否の境界線は、どうやらこのあたりにあるようです。
ただ、やはり審決判決が積み重なることでしか見えてこないところだと思いますので
また違う事例が出てきましたらご紹介いたします。
また違う事例が出てきましたらご紹介いたします。
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