大体ひと月に1本、外国意匠・商標情報を本家のHPに投稿しています。
あいぎ特許事務所HP
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今月はカナダの、先月は、中国の不使用取消請求のニュースを投稿したんですが、この2つの国でやっていることが対照的なのが興味深いです。
カナダの方は、通常の、不使用取消請求人からの請求による不使用取消手続というルートに加えて、商標登録官が自発的に、無作為に抽出された登録に対し使用証拠の提出を要求する通知を出す、というパイロットプログラムを開始した(2025年1月から)、というニュースでした。
カナダでは、2019年に出願時の使用証拠の提出義務をなくしたことから、商標の出願・登録件数が増加し、実際に使用されていない商標登録が増加していく状況を懸念したカナダ知的財産局が、不使用商標の一掃を目指して始めたプログラムとのこと。
お上が不使用商標の撲滅に乗り出すなんて日本では考えられませんが、既に米国でもこれに類する取り組み(使用宣誓書の監査プログラム)が行われており、使用主義の国と登録主義の国の間には、商標登録についての考え方に大きな違いがあるのだなと考えさせられます。
一方、中国の方は、不使用取消審判請求時に、不使用取消請求対象の商標が使用されていないことを示す証拠(つまり「不使用証拠」)の提出義務が審判請求人に課されることとなった、というニュースでした。
こっちの背景には、1の登録商標に対して、繰り返し不使用取消審判が請求される等の、悪意の審判請求が増加し、商標権者と中国特許庁の負担になっている状況があるそうですが、「不使用証拠」を出すなんて、いわゆる悪魔の証明ですよね…
この取り組みは、悪意の審判請求人のみならず、正当な理由で、自身が使用する(予定の)商標の登録を希望する者にも過大な負担を課すことになりそうですが、どうなるんでしょうか…
というわけで、不使用取消といっても、国により大きく違うんだな、というお話でした。
[担当:上田]
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