要部とは(答え)

 さて、昨日の問題は、このブログでも取り上げた事件にちょっと関係あります。
 「本生」の事件を思い出して下さい(→
こちらこちらこちらで思い出してみる)。
 この事件では、指定商品「ビール」に「本生」というネーミングは、商品の内容をそのまま表すとして、商標として認められませんでした。つまり、このネーミングは“商標としての識別力がない”と判断されたわけです。

 すると、(2)商標が「あいぎ生」で指定商品が「ビール」の場合、「」の部分は識別力がないと言えるので、この商標の要部は「あいぎ」と判断され得ます。
  それで、例えば他に、指定商品が「ビール」で「アイギラガー」という商標があったとすると、「ラガー」の部分もおそらく商品の内容をそのまま表すと判断されると思われるので、この要部は「アイギ」となります。
 以上より、指定商品が「ビール」の「あいぎ生」と「アイギラガー」は、要部が「あいぎ」と「アイギ」なので、類似と判断され得ます

 それでは、(1)指定商品が「書籍」の場合の「あいぎ生」は?「書籍」に「」って、何のことか直ぐにはわかりませんので、商品の内容をそのまま表すとは言えなさそうです。すると、「」にも識別力があると考えられ、この商標の要部は「あいぎ生」全体と捉えることができそうです。
 それで、例えば他に、指定商品が「書籍」で「アイギホット」という商標があったとすると、これも要部は「アイギホット」全体と捉えられそうです。
 以上より、指定商品が「書籍」の「あいぎ生」と「アイギホット」は、非類似と判断される可能性があると思われます。

 …といったように、その商標が使用される商品等によって、商標の要部というのは変わり得るのです。
 ですから、商標が似てるか似てないかを判断する場合は、指定商品・指定役務との関係を考慮に入れる必要があります。
  
わかりやすくするために話を極く単純化しており、他の色々な事情によって判断が変わる場合は当然あります。

 本
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