<平成21年(ネ)第10031号商標権侵害差止等請求控訴事件>(判決文はこちら)
唐突ですが、皆さんマスク着用してらっしゃいますか?
私は11月にスキップできないイベントを控えているのでインフルエンザ予防を万全にしたいところですが、いくら自分が気をつけていても家族がかかったら元も子もないなぁ~と思う今日この頃。それで本腰が入らず、マスク着用も気まぐれになってしまいます。というか、マスク着用すれば予防できるのか?という基本的なところにやや疑問あり…ですが。
さて、本日は、以前ご紹介した「AGATHA」商標権侵害事件(地裁)の控訴版、すなわち高裁の事件でございます(地裁の判決が出たのが今年の3月でした。早いですね…)。
事件の概要をおさらいすると、こんな感じです。
○概要
控訴人(原審の原告、商標権者)の登録商標はこちら。
「AGATHA」の欧文字6字を黒色単色,ゴシック体様の太文字の書体で横書きして成るもの。
指定商品:第6類、第14類、第26類のアクセサリー系を含む商品。
(ちなみに控訴人のHPはこちら)
一方、被控訴人(原審の被告、被疑侵害人)の使用していた標章は3つあります。
被控訴人標章1:
被控訴人標章2:「Agatha Naomi」の欧文字11字を白抜き文字,ゴシック体様の書体で横書きして成るもの。
被控訴人標章3:
被控訴人は、平成18年10月10日から平成20年8月27日までの間、ウェブサイトにおいて通信販売を行い、その際、商品の広告や商品の材質、サイズ及び価格に関する情報に、被控訴人標章1~3を付していました。
なお、被控訴人標章1~3は、被控訴人代表者(X)とインドネシア人の夫の間の娘「Y」のインドネシア名である「AGATHA NAOMI」に由来するそうです。
(ちなみに被控訴人のHPはこちら)
それで、原審はこんな判決を出しました。
『最高裁平成19年(行ヒ)第223号平成20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁(以下「つつみのおひなっこや判決」という。)を引用した上,被控訴人各標章は,いずれも本件商標に類似する商標に当たるものとは認められないから,被控訴人による被控訴人各標章の使用は,本件商標権の侵害に当たらない旨判示して,控訴人の請求をいずれも棄却した。』(判決文2頁~3頁より抜粋)
そこで、控訴人が不服として控訴したのが、本日の事件でござます。
この事件のポイントは、原審の判決での判断、
『「Agatha Naomi」は全体としてまとまりよいから、構成部分全体が出所識別標識としての機能を有する』
を切り崩せるかどうか、です。
控訴人としては、「Agatha」と「Naomi」を切り離して、少なくとも「Agatha」単体で要部と認定したいところ。
それで、控訴人としては、こんな主張をしました(判決文3頁~7頁)。
(1)「Agatha」と「Naomi」とは,2語からなり,明らかに可分であり,それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められるものではない。「Agatha Naomi」と一体としてのみ把握するのが自然であるという事情は一切存しない。
(2)本件商標「AGATHA」は,アクセサリー,宝飾品のメーカーである控訴人の略称として我が国において需要者の間に周知であり,控訴人がその製造販売に係るアクセサリー,宝飾品に使用する商標として我が国において需要者の間に周知である。
(3)前記(1)のとおり,被控訴人標章においては「Agatha」が要部となるから,本件商標「AGATHA」と類似する。
また、仮に、,結合商標の類否判断の基準として,つつみのおひなっこや判決において示された基準を用いるとしても,本件商標はアクセサリー,宝飾品に使用する商標として我が国において需要者の間に周知である。そして,被控訴人標章中の「Agatha」は本件商標に類似し,需要者に対してアクセサリー,宝飾品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える一方、「Naomi」は日本女性の普通の名前をローマ字表記したもので識別力において格別強い印象を有するものではない。よって,被控訴人各標章において,「Agatha」は要部で,被控訴人各標章中の「Agatha」と本件商標とは類似する。
ちなみに、控訴人の「AGATHA」ブランドですが、日本には28店舗もあるんですね(名古屋の百貨店にも入っています)。H18~H20あたりの販売高は、アガタジャポンの取引先への卸値ベースで、年間13億円ないし14億円だそうです。
さて、高裁はどのような判決を出したのでしょうか?
…続きは次回にて。
次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…
【執筆記事】
「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
(「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
【関係事件】
代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。
【ZIP FM Z-TIME BIZ】<
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