じゃ、も一つ「がんばれ!ニッポン!」で

<平成17年(行ケ)第10527号 審決取消請求事件>(判決文はこちら

 昨日の「がんばれ日本」事件と「東京メトロ」事件の2つを見ても、m-kenさんやS.A.さんからご意見をいただいたように、商品等の該当性に「有償性」を求めるのは、時代遅れかもしれませんね(特に昨今の新しい“FREE”ビジネスモデルなどにおいて)。
 これら2つの事件と「ハウスクラブ」の事件とを絡めると、もう少しディープに考察しなかんな~。

 さて。
 
 せっかくDr.N側の「がんばれ日本」が出たので、芋づる式にJOC側の「がんばれ!ニッポン!」事件を。

 このJOC側の「がんばれ!ニッポン!」事件でも50条の「使用」が問題となりましたが、こっちは「識別標識としての使用なん?」が争点となってました。

 「がんばれ!ニッポン!」商標の使用権者のコナミスポーツさんが(対象役務の使用を許諾したか否かも争点だったけど、それは置いときます)
 コナミスポーツクラブへの入会を呼びかける広告チラシ等や、スポーツクラブを宣伝する広告チラシ等で、「がんばれ!ニッポン!」を表示しておりました。
 
 ただ、広告のメインは「春のウェルカムキャンペーン」だったり、「有料体験キャンペーン」だったり、「夏休み短期教室」だったり。
 それと一緒に、
 「JOC」&「がんばれ!ニッポン!」を大きな文字で表示したり、
 「コナミスポーツクラブは、JOCオフィシャルパートナーになりました。」&「がんばれ!ニッポン!」を表示しておりました。

 裁判所は、
 これらの広告が対象とする役務は、「スポーツクラブの提供」及び「スポーツクラブにおけるトレーニングの教授」であり、指定役務中の「運動施設の提供」及び「スポーツ又は知識の教授」に含まれるものである、
 なので、上記広告チラシ等の頒布は、2条3項8号の「使用」に該当する、としたのでした。

 一方、原告(Dr.N)は、
 「がんばれ!ニッポン!」の表示は、スローガンとして使用されているものにすぎず、役務提供についての出所識別表示として認識されないぞ、
 と主張しておられたわけです。

 これに対し、裁判所は、
 「がんばれ!日本」はJOCが使ってきてたものだし、協賛企業によっても長年使われてきたものだから、周知著名性を獲得しており、出所識別機能を有する、
 としました。
 
 また、
 コナミスポーツの広告チラシにも「がんばれ!ニッポン!
」が大きな文字で目立つように記載されているので、コナミスポーツクラブの役務が、JOCのオリンピック関連事業に協賛している企業によって提供されていると認識されるでしょ、だから商標的使用の態様で使用されていないとはいえないでしょ、
 としました。

 よって、「がんばれ!ニッポン!」は、指定役務中の「運動施設の提供」及び「スポーツ又は知識の教授」について使用されていた、という結論になったのでした。

 はてさて。

 今度は、
 「そもそも50条の「使用」は、出所識別機能を発揮するような使用でないとあかんのか否か」
 という問題が出てきましたか。
 (「がんばれ!ニッポン!」に識別機能が認められたから登録されたということを前提としても)

 本日はこの辺で。
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