あいぎ特許事務所が発行している「AIGI MAGAZINE」は「パテントの小部屋」「ブランドの小部屋」「知財お役立小ネタ」の3本立て。そのうち「ブランドの小部屋」の記事を、1ヶ月遅れで掲載いたします。
「ブランドの小部屋」は、ブランドに関わる商標や意匠等の制度について、小ネタとして、わかりやすくお伝えしてくシリーズです。
商標の世界では、
①商標となる「名称・マーク等」と
②名称・マーク等を使う「商品・役務(サービス)」
①②がセットになって、「商標」となる、ということに以前触れました。
逆にいうと、
①商標となる「名称・マーク等」が似てても、
②名称・マーク等を使う「商品・役務(サービス)」が全く異なるもの、
つまり、ジャンルが全く異なるものであれば、違う「商標」として、互いに登録されます。
『じゃあ、あそこのダンス教室の名前が商標登録されてても、
うちは英会話レッスンでジャンルが違って競合しないから、同じ名前使ってても大丈夫だよね!』
…とは一概には言えないこともあります…
商標の世界の基準では、世間の感覚とはちょっと異なるようなジャンル分けされていることがあるからです。
ジャンルはざっくり
商標の世界でのジャンル分けはざっくりしているため、実情より広い範囲の権利となることもあります。
上の「ダンス教室」は、商標の世界では、「ダンスの教授」といった役務に該当します。
「教授」って…なかなか堅苦しい表現ですね(笑)。
技芸やスポーツ(体の動かし方)や知識を教える(教授)サービスは、互いに似ていると考えられています。
つまり、教えるのがダンスでも英会話でも、同じジャンルでくくられているのです。
このように商標の世界でのジャンルがざっくりしてるために、実情と感覚が違う場合があります。
以下、もう少し細かく典型例を挙げてみます。
●近くの棚に置かれがちなもの
例えば、「ぎょうざ」と「ラビオリ」って全然違うと思うのですが、
どちらも惣菜コーナーに並んでいることが
多いよねってことで、同じジャンルに入れられてます。
●同じ工場で作ってそうなもの
例えば「かびとり剤」と「食品用原材料水」って全然違と思えますが、
同じ工場で作ってそうな”化学品”的なくくりで、同じジャンルに入れられてます。
●完成品とパーツ・アクセサリー
例えば「PC」と「アプリ」、「スマホ」と「スマホケース」は、
メーカーや販売店等が違うことが多いですが、
互いに関連性があるものとして、同じジャンルに入れられています。
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…等々、わかりやすく典型的な例を挙げましたが、
その他にも「これジャンル同じなの!?」というようなケースがたくさんあります。
一方、基準で決められたジャンルは同じであっても、実際の使われ方で全然違うこと等を主張して争えば「確かに違うね!」と判断してもらえることもあります(ただし、争うのが結構大変ですが…)。
基本的には、まずジャンルが同じかどうかで判断するので、
少しでも気になる他者の登録商標があったら、弁理士にご相談を…!
※「ジャンル」は、類似群コードという5桁のコードで区分けされています。
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