今日は商標の4条1項11号・8条系の審決をご紹介いたします。字数制限がかかって余分にアホなこと書けません~
■■■商標新着審決【4条1項11号・8条系】
●不服2009-1518
本願商標
指定商品:第7類「種まき機械器具,施肥用機械器具,除草機械器具,病虫害防除機械器具,その他の農業用機械器具」
引用商標
指定商品:第7類「刈払機,刈払機用刈払刃,その他の農業用機械器具」等
本願商標(商願2008- 93803)は引用商標(登録第2696833号)と非類似と判断されました。
*称呼の認定・類否: 『共に複数の称呼が生じ得る中にあって、「ハオー」の称呼を共通にする』
*外観の認定・類否: 『明らかな差異を有する』
*観念の認定・類否: 『本願商標「播王」に接する取引者、需要者は、これから「(種など)播く(機械)の王様(第一位にあるもの)」程の意味合いを強く認識する』『引用商標「刃王」に接する取引者、需要者は、これから「刃物の王様(第一位にあるもの)」程の意味合いを認識する』『観念の上で、取引者、需要者に著しく異なった印象を与える』
*取引実情等: 本願商標と引用商標の観念の認定において言及あり
*総合判断: 『共に複数の称呼が生じ得る中にあって、たとえ「ハオー」の称呼を共通にするとしても、両商標の外観及び観念において明らかな差異を有しており…非類似の商標とみるのが相当である。』
●無効2009-890111
本件商標
指定商品:第30類「菓子及びパン」等
引用商標
指定商品:第30類「菓子及びパン」
「シャノアル」
本件商標(登録第5094999号)は引用商標(登録第1016219号)と非類似と判断されました。
*称呼の認定・類否: 『本件商標の構成中「Chat」及び「noir」の欧文字からは、「シャノワール」の称呼を生ずる』『両商標から生じる称呼は、語頭において拗音「シャ」と「シヤ」(2音)、及び語尾において長音を含む「ワール」と長音を含まない「アル」の差異があり、これらの差異が称呼全体に及ぼす影響は、決して小さいものとはいえない。
そうとすれば、両者は、これをそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が相違し、相紛れて聴取されるおそれのないものといわなければならない。』
*外観の認定・類否: 『両者は、外観において、その構成態様が明らかに異なり、その外観の印象を異にし彼此見誤るおそれのないものと認められる』
*観念の認定・類否: 『本件商標は「黒猫」の観念を想起させ、引用商標は特定の観念を有しないものである…、両者は観念において比較することはできない。』
*取引実情等: 特に言及なし
*総合判断: 『外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である』
●不服2009-12195
本願商標
指定商品:第10類「義歯,義歯セット」
「ドリームデンチャー」
引用商標
指定商品:第18類「医療用機械器具及びその部品」
「DREAM\ドリーム」
本願商標(商願2008-44022)は引用商標(登録第527214号の2)と非類似と判断されました。
*称呼の認定・類否: 『本願商標の構成全体より生ずる「ドリームデンチャー」の称呼も、冗長であるとはいえず、一気一連に称呼し得るものである。』
*外観の認定・類否: 『本願商標は、…これを構成する文字は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で一連に書されていることから、外観上は一体に把握し得るものである。』
*観念の認定・類否: 『本願商標「ドリームデンチャー」の構成全体からは、「夢の義歯」ほどの観念を生ずるものである。』
*取引実情等: 特に言及なし
●異議2009-900396
本件商標
指定商品:第25類「履物類」等
引用商標1
指定商品:第25類「履物類」等
引用商標2
指定商品:第25類「履物類」等
本件商標(登録第5249290号)は、引用商標1及び2と非類似と判断されました。
*外観の認定・類否: 『本件商標の構成中の「3:10」は,…時間の「3時10分」を表す場合などに用いられる表記であるのに対して,引用各商標の構成中の「310」は,…「3」「1」「0」の各数字の端を互いに結合させたモノグラム風の特殊な構成態様からなるものでありたっているものというべきである。
そうとすれば,本件商標と引用各商標とは,その全体の外観において顕著な差異があるばかりでなく,本件商標の構成中の「3:10」と引用各商標の構成中の「310」とを比較しても,その構成態様において十分に区別し得る差異を有し,全く別異の印象を受けるものというべきである。』
*観念の認定・類否: 『本件商標の構成中の「3:10」からは「3時10分」などの観念を生ずるものであるが,引用各商標の構成中の「310」からは,一連の数字としての「310」を理解させるとしても,「3時10分」などの観念を生ずることはないから,両者は,観念においても類似するものとはいえない。』
*取引実情等: 特に言及なし
*総合判断: 『その他,本件商標と引用各商標とを類似するものとすべき特段の理由は見出せない。
してみれば,本件商標と引用各商標とは,外観,観念及び称呼のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。』
※引用各商標周知・著名性が認めらないとして、本件商標の4条1項15号該当性も否定されています。
●異議2009-900453
本件商標
指定商品:第1類「オリゴ糖を主成分とする食品添加物(化学品に属するものに限る。)」
「CI plus\シーアイプラス」
引用商標
指定商品:第1類「Chemical products for industrial use, in particular cyanides to be delivered in all forms.」等
本件商標(第5263557号)は引用商標(国際登録第807921号)と非類似と判断されました。
*称呼の認定・類否: 『本件商標より生ずる「シーアイプラス」の称呼と、引用商標より生ずる「シプラス」又は「サイプラス」の称呼を比較するに、共に後半の「プラス」の部分を同じくするものの、前半部分において「シーアイ」と「シ」又は「サイ」の音において、明らかに相違するから、両称呼を、それぞれ一連に称呼した場合には、十分に聴別出来るものである。』
*外観の認定・類否: 『外観において明らかに相違する』
*観念の認定・類否: 『両商標は、共に造語よりなるから比較することができないものである。』
*取引実情等: 特に言及なし
*総合判断: 『本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標といわなければならない。』
●不服2009-5213
本願商標
指定商品:第29類「スピルリナを主原料とする液状の加工食品,カルシウムを主原料とする液状の加工食品,ビタミン・ミネラル・植物栄養素を主原料とした液状の加工食品」等
「Re-Vita」
引用商標1~7(全て指定商品に第29類「ビタミン等を含有する粉末状・錠剤状・カプセル状・粒状・顆粒状・ゼリー状・液状の加工食品」等の健康食品系を含みます)
引用商標1
「LIVITA」
引用商標2
「LIFE VITALITY SUPPORT\LIVITA」
引用商標3
「Life Vitalizing Taisho\LIVITA」
引用商標4
「Life Vitalizing \LIVITA」
引用商標5
引用商標6
「リビタ \LIVITA」
引用商標7
本願商標(商願2006-108809)は引用商標1~7(登録第4656653号等)と類似と判断されました。
*称呼の認定・類否: 『「リビタ」の称呼を共通にするものである。』
*外観の認定・類否: 『その構成から区別し得るものであり』
*観念の認定・類否: 『いずれも特定の観念を有しないものであって、比較することはできない』
*取引実情等: 本願商標の称呼の観念の認定において言及あり 『本願商標の指定商品は、「スピルリナを主原料とする液状の加工食品」等のいわゆる「健康食品」であること、その取引者、需要者は健康に対する意識が高いこと、健康維持には「ビタミン」が大切な要素であること及び本願指定商品には「ビタミン・ミネラル・植物栄養素を主原料とした液状の加工食品」等の「ビタミン」を主原料の一つとしている商品が含まれていることも考慮すれば、本願商標の構成中「Vita」の文字は、むしろ「ビタ」と称呼されるとみるのが自然である。』
*総合判断: 『「リビタ」の称呼を共通にするものであって、外観においては相違するとしても、観念において区別することはできないから、これらが、称呼を共通することを凌駕するとはいえず、両者は互いに相紛らわしいものと判断するのが相当である。』
本日の新着審決紹介は以上です!
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また、判例は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違いがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます<( )>
コメント
ipippiからきました
大変参考になりました。
3点観察で1点類似でも2点が著しく異なる場合は非類似の場合・・・は最高裁でしたっけ。最近審判にまで浸透してきたのですね。
若干判断が甘く(登録を認める方向)なってきた印象を受けます。
Unknown
Chat Noirも、シャノアルも、私には「一緒」の観念。
哀愁をおびた、クロちゃんの背中も素敵ね。
図形だけでも、Chat Noirよね。
これが非類似なら、黒猫も、シュヴァルツカッツも類似しないのね。
そんな馬鹿な。
ん~、でも、覚えておこう。
Unknown
hisashi49さん、こんにちは!
最近は特に結合商標で全体観察によって非類似とされるパターンが多いように思います。
でも出願時には、当然称呼類似で拒絶されるかも、ということを想定しておいた方がいいですよね…
Unknown
シェンムーさん、こんにちは!
はい、ipippiの方ですね(笑)
最近は取引実情考慮が流行りで、称呼がほぼ同じでも全体観察で非類似とされることが多いですねー
かの松田先生は、一律性を担保すべき審査(審判)段階での予測可能性にぶれが生じるので好ましくないと仰っていますが…
私も同感
私も松田先生ファンですが、松田先生に全く同意です。
登録審査での類否判断にその一時の取引実情を考慮するなんておかしいです。
でも。。。でも、私は代理人なので、3点観察で類似で拒絶されたものを、証拠集めて取引実情を考慮しろって反論して拒絶理由をひっくり返して、お客さんに「どや?」ってことで、報酬をいただいています。ちょっとだけ罪悪感があります。
Unknown
そ、それは私も全く同じ状況で…(汗)
代理人という立場になるとハナシは別ですよね…
逆に、非類似と判断した審決を大いに活用させていただいております。