あいぎ特許事務所が発行している「AIGI MAGAZINE」は「パテントの小部屋」「ブランドの小部屋」「知財お役立小ネタ」の3本立て。そのうち「ブランドの小部屋」の記事を、1ヶ月遅れで掲載いたします。
「ブランドの小部屋」は、ブランドに関わる商標や意匠等の制度について、小ネタとして、わかりやすくお伝えしてくシリーズです。
長く使っている社名や商品名やマーク等は、ブランドを象徴するものとして大切に育てられて、その分価値が高くなているともいえます。
ですが、そんな社名や名称やマーク等でも、ときどき「商標登録してません」と聞くことがあります。
その理由を訊くと「いままで何も問題がなかったから」と。
にわかに不安になります…。
これを自動車で考えると「いままで事故しなかったから、これからも事故しない(だから保険は要らない)」と言っていることと同じのような…?
実際にあった事案をみてみます。
夢事件(平成31年(ワ)第8117号 損害賠償等請求(商標権侵害)事件)
この事案は、被告さん(酒造メーカー)が日本酒に「夢」という名称を長らく使っていたら、のちに商標権を取得した原告さんから訴えられた、というものです。
被告さんがその名称をどのくらい長く使っていたかというと、少なくとも10年以上は使っていたようです。
結論からいうと、被告さんが商標権侵害をしていると認められてしまいました。
その結果、名称の差し止めと損害賠償金を支払いを求める判決が出ました。
事案の詳細はこちらでご紹介していますので、ご興味のある方はご覧ください。
「夢事件で詠む」
くどいようですが、商標の法律では、商売をやっている以上は「他人の権利があることを知らなかった」という言い訳は通用しない、ということになっています。
ブランドを大切にしているなら、
「いままで何も問題がなかったから」
が保証にならない可能性があることは、常に念頭に置いておいた方がよさそうです。
(※なお、以前の記事で、商標登録しなくても大丈夫な場合に触れました。例外的な場合ではありますが、こちらでご確認ください 。「その商標、登録する必要があるの?」)
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