遅ればせながら本年最初の更新となります。今年も宜しくお願い致します。
 今年は4月から小売業等サービスの商標登録出願制度が開始する等、商標制度が大きく変わる年でもあり、皆様のお役に立つ情報を発信していきたいと考えております。
 さて今回は、登録商標を持っていても他人の商標権侵害になり得るというバーチャル事例をご紹介します。
 Aさんは新製品のおもちゃを販売する際に、知り合いに“商標のことを気をつけなければならない”と言われたので、そのネーミングである「**大王 AAAandBBB」という言葉を商標出願しておきました。
  すると無事に商標登録されたので、その後は安心してそのネーミングを使っておもちゃを販売していました。
 しばらくするとAさんのおもちゃは大ヒットとなり、Aさんは色々な関連グッズを販売することを考えました。
 Aさんのおもちゃは男の子の間で人気だったので、帽子とTシャツに「**大王」という言葉を小さくして、その下に「AAA&BBB」という言葉を大きく入れて販売しました。帽子とTシャツもまた、結構なヒットとなりました。
ところが、帽子とTシャツの販売開始から半年くらい経ったときに、B社という衣料品会社から「貴社は我が社の商標権を侵害しています」といった主旨の警告書が内容証明郵便で送られてきました。
びっくりしたAさんはあわてて弁理士のところへ行き、「私は商標権を持っているのに、なぜB社の商標権を侵害することになるのでしょうか。」と相談しました。
 するとその弁理士は、次のように説明しました。
  「Aさんの登録商標の指定商品は「おもちゃ」となっています。つまり、Aさんの商標権は「おもちゃ」にだけネーミングを使う権利なのです。帽子やTシャツにネーミングを使う権利ではありません。一方、B社の登録商標の指定商品は「被服」で帽子やTシャツが含まれています。また、B社の登録商標は「AAABBB」という言葉ですので、Aさんが使用している「AAA&BBB」の部分と類似すると判断される可能性があります。最終的には裁判にならないとわかりませんが、侵害と判断される可能性はあります。」 
   …以上は、去年の年末に判決が出た「LOVEBERRY事件」(H17(ワ)第18156号)を参考に考えたバーチャル事例です。女の子に人気の「オシャレ魔女 ラブandベリー」というゲーム機をご存知の方ならピンとくるのではないでしょうか。
 このように、商標登録したからといっても、登録商標を持っていても使い方によっては他人の商標権侵害になる場合もあるのです。
 業務を拡大して他の商品やサービスにその商標を使おうとする場合は、他人の権利を侵害するような使用にならないか否かに十分気をつける必要があります。
 
 本日はこの辺で。
 次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
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  また、判例は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違いがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます<(   )>
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