mikiはペガサス?

 ど、ど、どうしたんですかドラゴンズ。8連勝って一体…。(←ファンの微妙な心理を表しています)

 さて、昨日の続きでございます。
 今回の事件は、4条1項10号を無効理由とした審決取消訴訟でございました。
 原告の審判請求が除斥期間経過後だったので、商標登録が「不正競争の目的」でなされていたか否かが問題となりました(商標法47条1項括弧書)。

 この括弧書きは、パリ条約6条の2(3)やらTRIPs協定16条3やらの要請で追加されたのでしたね。他人の周知商標について「悪意」で登録を受けた場合は、登録を無効にすることについて除斥期間を設けないことにされておりました。
 
 後藤晴男先生の『パリ条約講和』(第11版)によりますと、『ここで悪意というのは、周知商標があるということを知って、しかも、その周知商標と自分の登録または使用する商標との間で混同を生じ得るんだということ、それによって利益を得るという意図があるということが認められているときに、悪意があるということになっております。』とされています(292頁)。
 
 さて、このような趣旨からすると、今回の事件の被告の登録商標は「不正競争の目的」で登録されたものといえるか否か。

  裁判所は、不正競争の目的についての事実認定として、(1)本件商標と引用商標の対比、(2)本件商標の登録の経緯、について述べています。
 
 まず、(1)については、外観・称呼・観念とも非類似とされています。
 『本件商標と引用商標を対比すると,本件商標は,上部のペガサス図形部分と下部の上下2段に配置された「miKiSPORTS」の文字からなる外観を有するのに対し,引用商標は「miKiHOUSE」との外観を有するから,両商標は文字の字体に類似する点があることを考慮してもなお,その外観において相違する。また,本件商標と引用商標とは,称呼において相違する。さらに,本件商標からは,「羽根の生えた馬」,「ペガサス」,「天馬」,「スポーツ」との観念が生じ得るが,引用商標からは,「HOUSE」との観念が生じ得るため,両者は,観念において相違する。』(判決文12頁)
 また、引用商標の使用状況を見ても、殆どが「mikihouse」等の一体表示だったので、「miki」の部分のみが、特に広く知らた識別力を有する特徴部分だったとは認められない、とされました(判決文12~13頁)。 

 なお、(2)については、昨日述べたように、本件商標のもともとの出願人だったⅠさんは、「ミキスポーツ」,「MIKISPORTS」,「mikiSPORTS」の文字商標について商標登録を受けたのですが、商標法53条のいわゆる「使用権者の不正使用による取消審判」で取消されたのでありました。

 それでは、これら事実を踏まえて、「不正競争の目的」が合ったか否か、裁判所がどう判断したかというと…
 『本件商標は引用商標と類似しないと解すべきであるから,出願人であるⅠの行為に,上記のような経緯が存在したからといって,本件商標の登録が,直ちに,無効審判請求において定められている除斥期間についての例外の要件である「不正競争の目的で商標登録がされた場合」に該当するということはできない。
 以上のとおり,Ⅰに,本件商標の設定登録当時,不正競争の目的があったものと認めることはできない。
』(判決文15頁)

 本件商標は図形があったため引用商標と非類似と判断されたのですが、これがかなり効いたようですね。
 
 もっとも、非類似という判断なら、4条1項10号自体にも該当しないはずだった…ってことになりますね(今回の事件はそこまで行き着かんかったけど)。

 それでは、本日はこの辺で。
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