独自開発パッケージ、不競法では保護されなかった…

<平成28年(ネ)第10084号 不正競争行為差止等請求控訴事件>(判決文はこちら

2011年に、世界のトップクライマーを退けてきた超難関ルートである、MERUのShark’s Finのダイレクトルートを、アラフィーのベテランクライマー コンラッド・アンカー が初登したということで、注目を集めていました。その記録映画「MERU」を見たら、超緊張しちゃいました。「氷、薄!」とか「ブランクセクション、まじ何にもな!」とか「めちゃ もろ!」とか、わかる人にはわかる冷や汗感満載でした(^_^;)
 
クライミングの面白いところは、要求されるのが身体能力だけじゃないってことだなー。だから、血気盛んな体力満々の若者でも登れなかったルートを、おじさんが初登できたのだ。
 
自分の仕事も似とるな、若者に負けんように頑張ろう!
と改めて思った次第でございます。
(ただし老害にならんように。はい。)
 
 
さて。今日は久しぶりに判例の紹介です。いや、紹介になってないかもしれませんけどね…汗
 
唐突ですが、こちらのサイトをご覧ください。
中間あたりに、「5秒で取り出せるパッケージを独自開発。」と書いてありますね。
そんなパッケージなら、開発者さんなら「苦労して工夫したんだよ、真似されたくないよー」と思うのは自然ですね。
 
知財クラスタの皆さんなら、ちょっと特許だと厳しいかな?なんとか意匠権あたりで保護できればいいけど。
なんて考えたかもしれません。
 
もう一つ、こちらのサイトをご覧ください。
 
… Σ(゚Д゚;!!!  パッケージ…
      

ええっと、
上記商品ルルルンの製造販売会社さんは、今日の判決の事案の原告さんで、一方の商品肌美精の製造販売会社さんは、被告さんです。
 
それで、今日の判決について、結論からいいますと、原告さん(商品ルルルンの製造販売会社さん)は、不競法2条1項1号・2号・3号に基づいて、被告さん(商品肌美精の製造販売会社さん)の商品製造販売行為が不正競争に該当するとして、訴訟を提起しましたが、地裁でも知財高裁でも棄却されました。

ごくごく大雑把に言うと、下記のような理由でしょうか(めちゃざっくりなので、不正確だと思います。詳しくは判決文に当たってください)。
 
・2条1項1号の「商品等表示」といえるためには、①商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性)、かつ、②周知性を獲得していることが必要。
しかし、原告商品の特徴と主張されている部分について、外面包装(プリントされたデザイン以外)は、特別顕著性なし。また、内容器の構造も、需要者が外部から視認できないので、出所識別機能なし。
なので、原告商品で主張された特徴についていうと、原告商品は「商品等表示」に該当するとはいえない。
 
・2条1項3号に関して、外面包装で原告商品と被告商品とで共通する形態は同種商品に良く見られるありふれた形態である一方、両商品に特徴的な形態(プリントされたデザイン)は実質的に同一とはいえない。また、内容器の構造については、「需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる」商品の内部の形状等(2条4項)に当たらず、「商品の形態」に含まれない。
なので、被告商品は、原告商品を「模倣」したものとはいえない。
 
 
うーん… 意匠権があったら何とかなったかもしれんけど…いや、わかりませんけど、まだ何とかね…
お客さんに中小企業さんが多い弊所としましては(=意匠権を得てない商品も多い。だってコストがかかるんだもん)、身につまされる事案でございます。
 
でも意匠権って、
「取得してるうちは効果を感じられないけど、取得しなくなったら効果を痛感する(模倣品がドバっと出るから)」
ものなんですよね… 結果的にどちらがコストかかるかというと…
 
 
今日はこれでおしまい!

 

 

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