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「ブロマガ\BlogMaga」不使用取消事件

【担当:弁理士 浅野令子】

「ブロマガ\BlogMaga」不使用取消事件
知財高判平成30年12月20日(平成30年(行ケ)第10103号) 審決取消請求事件

判決文PDF
(全文)http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/220/088220_hanrei.pdf

1.争点

本件商標「ブロマガ\BlogMaga」と使用商標「ブロマガ」「blomaga」は社会通念上同一の商標か

 

2.事案の概要

(1) 経緯
① 本件商標
登録番号:      登録第5621414号
出願日:       平成24年9月13日
登録日:       平成25年10月11日
商標権者:      エフシーツーインク
本件登録商標:

(指定役務)
第42類  インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守等

② 原審
事件番号:      取消2016-300722
請求人:       株式会社ドワンゴ
被請求人:      エフシーツーインク
審判請求日:     2016年10月14日
審決内容:      請求認容

③ 本件訴訟
事件番号:      平成30年(行ケ)第10103号
原告:        エフシーツーインク
被告:        株式会社ドワンゴ
判決日:       平成30年12月20日
判決内容:      請求棄却

(2) 概要
被告は、原告が所有する本件商標「ブロマガ\BlogMaga」の指定役務の一部(インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守等)についての不使用を理由として、商標法第50条第1項に基づく不使用取消審判を請求し、請求認容審決がなされました(原審)。 この審決の取り消しを求め、原告は知的財産高等裁判所に審決取消訴訟を提起しました(本件訴訟)。
裁判所は、使用商標「ブロマガ」「blomaga」について、本件商標「ブロマガ\BlogMaga」と「社会通念上同一と認められる商標」ということはできないとして、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきであるとの判断を示しました。

 

3.本件商標と使用商標は社会通念上同一の商標か

(1) 社会通念上同一の商標
商標法第50条第1項では、継続して3年以上日本国内において、商標権者等が指定商品・役務について登録商標の使用をしていないときは、その指定商品・役務に係る商標登録を取り消す審判請求をすることができる旨が規定されています。

商標法第50条第1項における「登録商標」には、登録商標と「社会通念上同一と認められる商標を含む」とされています。

本件訴訟では、使用商標「ブロマガ」「blomaga」が、本件商標「ブロマガ\BlogMaga」と「社会通念上同一と認められる商標」に該当するのかが争点となりました。

(2) 使用商標の態様

原告のウェブサイト(「FC2ブログ>ブロマガランキング」のページ)において,上部に,馬のようなマークの横に太字のゴシック体風の文字で「FC2」,「ブロマガ」の文字が並べて表示されていた。また,本文の最上部に「ブロマガランキング」と表示されていた。このウェブサイトのURLには「blomaga」という文字が含まれていた。(判決文より引用)

(3) 裁判所の判断

本件商標は,前記第2の1(1)のとおり,ゴシック体風の「ブロマガ」の片仮名とセンチュリー体風の「BlogMaga」の欧文字を上下2段に配置した商標であり,上段と下段の間は文字の高さの半分程度の間隔があり,上段と下段のフォントの大きさは概ね同じで,上段より下段の方がやや横幅が大きく構成されている。
上段の「ブロマガ」部分からは,「ブロマガ」という称呼が生じる。また,下段の「BlogMaga」部分は,「Maga」が大文字の「M」で始まること,「dog」,「frog」のような「og」の語尾を持つ一般的な英語で「g」の発音を省略することはないこと,「Blog」はウェブログの省略語として浸透している「ブログ」を想起させることから,全体として「ブログマガ」という称呼が生じるものと認められる。そうすると,本件商標からは,「ブロマガブログマガ」という称呼が生じるといえる。
また,「ブロマガ」及び「BlogMaga」はいずれも造語であり,特段の観念を生じるとは認め難く,本件商標からは特段の観念を生じない。

…他方,本件使用商標は「ブロマガ」の文字のみからなるものであるから,本件商標とは使用する文字の一部が共通するものの,外観,観念及び称呼のいずれについても同一とはいえない。

…以上に照らせば,本件使用商標について,本件商標の「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標,平仮名,片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標,外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標(本件商標)と社会通念上同一と認められる商標」ということはできない。』(以上判決文より引用)

原告は、 本件商標下段の「BlogMaga」部分は「ブロマガ」の称呼を生じるとともに、「Blog」と「Magazine」の略語である「Maga」が結合され、いろいろなブログを配信するサービスという観念が生じるとし、使用商標と称呼・観念が同一であるとして、本件商標と使用商標「ブロマガ」とは「社会通念上同一と認められる商標」に当たると主張していました。

しかし裁判所は、本件商標から生じる称呼は「ブロマガブログマガ」であるとともに、「ブロマガ」・「BlogMaga」は造語で特段の観念を生じないとして、本件商標と使用商標「ブロマガ」とは外観・称呼・観念のいずれも同一ではなく、「社会通念上同一と認められる商標」には該当しないと判断しました。

また、原告は、原告のウェブサイトのURL中の「blomaga」の文字の使用についても、本件商標と「社会通念上同一の商標」の「使用」に当たると主張していましたが、仮にURLにおける「blomaga」の文字の使用が商標法第50条第1項の商標の使用に該当するとしても、「blomaga」は本件商標と外観・称呼・観念のいずれも同一とはいえないとして、「blomaga」も本件商標と「社会通念上同一と認められる商標」には該当しないと判断しました。

 

4.実務への提言

本件訴訟では、片仮名とローマ字を上下二段に配置した商標のうち、片仮名 部分のみの使用について、登録商標と社会通念上同一と認められる商標の使用に 該当しないとの判断がなされました。

コストを考慮して商標登録を1件に収めるために、本件のように、ローマ字に 読み仮名を付す意図で、上段に片仮名を配置して二段書きの商標として出願する ことがあるかと思います。

本件は、造語であるローマ字(「BlogMaga」)から自然に生じる称呼 (「ブログマガ」)とは異なる片仮名の文字列(「ブロマガ」)が上段に配置さ れていたケースですが、仮に上段の片仮名と下段のローマ字から生じる称呼が一 致しているケースでも、片仮名部分もしくはローマ字部分のいずれかのみの使用 では、登録商標と社会通念上同一の商標の使用とは認められない可能性がありま す。

不使用取消を免れる観点からは、原則として、上下二段書きとせず、片仮名部 分とローマ字部分を、それぞれ別々の商標として出願するのが望ましいと考えら れます。やむを得ず二段書きの商標として登録した場合も、どこかの場面で登録 商標そのままの形で使用すべきでしょう。

また、本件では、本件商標から生じる称呼は「ブロマガブログマガ」であると 認定されています。そして、本件商標の一部(「ブロマガ」)と使用商標とを対 比するのではなく、あくまで二段書きからなる本件商標全体との対比によっ て、”社会通念上同一の商標ではない”との判断がなされています。

すると、本事案で仮に「ブログマガ」が使用されていたとしても、本件商標と社会通念上同一の商標として認められないであろうと考えられま
す。なぜなら、「ブログマガ」は本件商標の一部「BlogMaga」とは社会通念上同一の商標といえるかもしれませんが、二段書きからなる本件商標全体とは社会通念上同一であるとは言えないからです。

以上の通り、二段書きの構成からなる登録商標の使用については、登録商標の 一部と同一の商標ではなく、あくまで登録商標全体と同一の商標、あるいは社会 通念上同一と認められる商標を使用していなければ、不使用取消のリスクがある という点に留意すべきでしょう。

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