<平成18年(行ケ) 第10375号 審決取消請求事件>(判例文はこちら)
被告は、指定商品を「薬剤」等とする登録商標「イブペイン」の商標権者です。
この登録商標のライセンシー(使用権者)が、登録商標「イブペイン」と類似する「EVEPAIN」を使って商品「解熱・鎮痛剤」を製造販売していました。
一方、原告は、指定商品を「薬剤」等とする登録商標「イブ」、「EVE」の商標権者です。
原告は、前記ライセンシーの「EVEPAIN」の使用は『他人(原告)の業務に係る商品と混同を生じるもの』であり、商標法第53条1項の規定により取消されるべきだとして、審決の取り消しを求めました。
これに対し裁判所は、以下のような理由等から、原告の請求を認めました。
○原告商標「イブ」、「EVE」は、提出された証拠から周知著名な商標と判断できる。
○被告ライセンシーの「EVEPAIN」の使用は、原告商標「イブ」、「EVE」と出所の混同を生じる。
その理由は、
・被告ライセンシーの使用商標「EVEPAIN」のうち、「PAIN」の部分は「痛み」との観念を生じ、商品の特性を示すので識別力がない。
・「EVEPAIN」を「EVE」と「PAIN」に分離することが取引上不自然なほど、不可分に結合しているとまで断言することはできない。
・「EVEPAIN」に接した取引者、需要者は「EVE」と「PAIN」とからなるものと理解し、「EVE」からは「イブ」、「EVE」を想起する一方、「PAIN」からは単に商品の特性を示すと認識すると考えられる。
・被告登録商標「イブペイン」やライセンシー使用商標「EVEPAIN」が周知であるとは認められない。
等。
以上より、被告ライセンシーの「EVEPAIN」の使用は、原告又は原告と何らかの密接な営業上の関係にある者の業務に係る商品であるかのように、出所の混同を生じるおそれがある。
結局、被告の登録商標「イブペイン」の取消を求める原告の主張が認められました。
ところで、ライセンシーの使用が問題なのに、どうして商標権者の商標登録が取消されてしまうのでしょうか?
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