<平成18年(行ケ)第10458号 審決取消請求事件>(判決文はこちら。ちなみに重複登録された他方の商標登録についての判決文はこちら)
ごく稀でしょうが、同じ日に同様の出願が複数なされる可能性もあるでしょう。このような場合、どの出願が登録できるのかについて、商標法では、以下の手順を定めています。
(1) 特許庁長官から出願人同士で協議するように命令されるので、協議して登録を受ける出願人を決める。また、その結果を届出るように命令されるので、指定期間内に届出る。
(2) (1)の協議が成立しなかったり、指定期間内に届出がないときは、特許庁長官が行う公正な方法によるくじによって、登録を受ける出願人を決める。
…つまり、最終的には、特許庁長官が行うくじで決定されるのです。
ところで、この「くじ」ですが、公開で行われます。商店街のくじ引き大会みたいに、くじ引き器(“ガラポン”らしい)で実施されるそうです。
実際には特許庁長官が行うのではなくて、商標課長が実施することになっています(ガラポンをぐるぐる回してくれる職員が課長さんかどうかは?)。
ところが、くじ引き会場は特許庁…つまり東京なので、遠くの出願人は行けないのでは?
そういう場合は、特許庁の職員が代理で引いてくれるらしいです。なぜか、特許庁の職員が代理で引くと当りが出やすいらしいとか…(不正はできない仕組みなので、もちろん偶然ですが。念のため)。
…という手順を踏んで、最終的には目出度く登録できる出願人が決定されます。
ところが、複数の同様の出願がなされていたことに気付かずに、協議命令もなかった・協議もしなかった・届出もしなかった・くじも実施しなかった
→複数の同様な出願が全部登録されてしまった、という場合、どうなるのでしょう?
というのが、この判決の争点なのですが、前置きが長くなり過ぎましたので、また明日。
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