前回のBさんの意気込みについて、どのように判断され得るでしょうか。
1.まず、C社の輸入・販売行為を知り、商標権侵害だ!と息巻いていることについて。
これは、実際に訴訟になった同じようなケースが元ネタです(「JUVENTUS」事件)。
実際の事件では、
・Bさんのような商標登録は、有名チームの名称に由来するといわざるを得ず、これを知った上で商標登録出願をしたというべきであること、
・現在はチームの名称が日本国内で広く知られていること、
等を理由として、Bさんのような権利行使は権利の濫用に当たる、と判断されました。
つまり、Bさんは、C社の行為に権利行使はできない、と判断されたような感じです。
ちなみに実際の訴訟事件では、並行して無効審判が請求され、その訴訟が提起されました。
この訴訟の判断を上記例に即して説明すると、『Bさんの商標登録は、出願時にはチーム名が著名ではなかったので公序良俗違反に当らない』とされました。
(上記の権利濫用論も、無効理由が存在するということが理由ではありませんでした。)
2.次に、Aさんに「商標権侵害と言ったろ~」と目論んでいることについて。
Aさんはピンチだと思います。
Bさんの商標登録には、無効にされる理由がありません。
商標には「他人が採択した(採択しようとしている)商標を勝手に出願したら、拒絶します」という規定がないからです。→ということはこのブログでも以前ご紹介しました(その記事を見てみる)。
なお、1.の無効審判のように「公序良俗違反」で何とか無効にしようとしても、Aさんが「X」という名称を自分で考えたことや、Bさんが居酒屋で盗み聞きしていたこと(Aさんはこのことを知っているかどうか?)を、客観的証拠で証明するのはなかなか難しいのでは…。
しかも、Aさんは、自分が出願して拒絶されてから「X」をこっそり使っているので、侵害行為になるということは知っていたのですよね。
Aさん、残念ながら、Bさんに対処する手立てがないかも…。
ですので、くどいようですが、ネーミングを考えついたら、自慢しておらずに、即、出願を。
本日はこの辺で。
次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
↓↓↓
***************************
この記事をご覧になって、商標などに興味を持たれた方は…
■他のメニューもご賞味ください。
<商標亭お し な が き >
商標の間
本日の前菜(商標仕立て)
商標に関するちょとした話題をご提供。知っていても得にはならないけど損もない!?
気まぐれ商標判例一口膳
独断でおもしろそうと思った判例を気まぐれにご紹介しています。
意匠・不競法の間
気まぐれ意匠判例一口膳
気まぐれ不競法判例一口膳
これまた気まぐれな感じです。
※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい<( )>
また、判例は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違いがあるかもしれません。疑問を感じられたらご一報いただけるとありがたく存じます<( )>
■本店「商標登録出願サイト」にも是非お立ち寄り下さい。
コメント