おしゃれでも、それだけでは

 昨日の続きです。
 
 原告は、「濃紺色」という色彩自体が不正競争防止法の保護対象となるわけではなく、“単身者用家電”という製品と濃紺色という色彩の結合、つまり、従来の家電製品にほとんど採用されてなかった色彩を“単身者用家電”に使った点に、商品表示としての独自性(特異性)があり、周知性があると主張しました。

 これに対し裁判所は、次のように判示しました(かいつまんで要約)。
 
『“単身者用家電”といっているけど、それはアンタが勝手に単身者を狙って販売活動をしているだけでしょ。それが他の一般家庭用製品と区別させるに足る何らかの形象として現れているとはいい難いから、“単身者用家電”ということで家電製品の種類に限定を付したことにならないんじゃないの。
 だから、結局は、濃紺色という単一の色彩について不正競争防止法による保護を主張していることになるんじゃないの。
 でも、色彩というのは、本来何人も自由に使用し得るものなんだから、濃紺色を長年使用してきたとしても、そんなおおまかな枠で包括した色彩で、しかも極くありふれ親しまれてきた色彩について独占使用を認めると、他の者は自分の商品に付する色彩の選択範囲が狭められ、極端にいったら最後発の業者は商品に付する色彩がなくなってしまうという事態にもなりかねないね。だから、複数の色の組合せと異なり、そのような単一色の独占使用を認めるのは、業界における競争を不当に阻害することになるといわざるを得ないね。

 確かに、あの色はあの人のもの、この色はこの人のもの、…と独占使用をみとめていたら、最後には「色がない~」ということになってしまいますね。その製品について目新しい色であったとしても、単一色について保護を求めるのは難しいようです。

 この事件、原告製品はず~っと同一形態だったのではないようでした。相当程度変遷を重ねて、裁判中に販売されていた原告製品は濃紺色+黒色の組合せだったようです。
 また、実は原告よりも前に家電製品に「濃紺色」を使用した他会社もいたし、判決時までに「濃紺色」を採用した家電というのも他に多く販売されていたようでしたので、消費者が色彩のみによって製品を識別するとは考えられない、と判断されました。
 そんな事情も、『「濃紺色」だからうちの製品売れたんだ!』という原告の主張を弱めることになってしまったのでしょう。

 ということで、ショッキングピンクの便座を売出しても、色に特徴があるということで不正競争防止法による保護を求めるのは難しそう?ゴールドの水玉模様を付したら行けそうですか?っつ~か、そんなの真似されないから裁判沙汰にもなりませんか…

 ちなみに、この事件の判決文はこちら

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コメント

  1. Unknown
    「と言うことは、だんさん、白黒ついたいうことでんな。」
    「そやな、裁判所だけに玉虫色にはならんかったちゅうこっちゃな。」
    「だんさん、そもそも、シロモノ家電ちゅうくらい、昔からみんなが白だった訳でっしゃろ?」
    「確かに、日本人は白が好きやな。車なんぞ、その代表やな。」
    「白無垢、お白砂、白装束、紺屋の白袴、ん~、ようけ、ありますね。」
    「考えますに~、色素、入れんと作ると安いちゅうこっちゃろな。」
    「色をつけるちゅうことは、難しいもんでんな。」
    「お国の色も白か黒かわからんなぁ。」
    「あ、混ぜると、グルグルグルになって、防衛色になりました。」
    「いや、ほんま、ヌカガハハハハハハッ」
    「こりゃ、おかしぃ、イシバハハハハハハッ」

  2. Unknown
    確かにシロのものって多いですね。
    江戸時代の頃は「藍色」が多かったとどこかで聞いたことがありますが。

    シロの自動車は買ったことないな~。なんとなく営業車っぽくて(偏見?)

    ヌカガん、証人喚問されるのでしょうか。
    それともモリヤんの逮捕でウヤムヤに…?

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