スナックやバーが「シャネル」を使いたくなる理由は?

<平成19年(ワ)第33797号不正競争行為差止等請求事件>(判決文はこちら

  先日お知らせした「スナックシャネル」の事件です。
 
 「スナックシャネル」の事件といえば、平成7年(オ)第637号の最高裁判決をご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 この事件では、現在の不競法2条1項2号の適用がなかったため、2条1項1号を使うしかなかったのですが、被告の行為が2条1項1号の「混同を生じさせる行為(混同ヲ生ゼシムル行為)」に該当することが必要でありました。
 そのため、「混同を生じさせる行為」とは、いわゆる広義の混同惹起行為(シャネル・グループの企業との間に営業上の関係があるとか、系列グループに属する関係があるとか混同させる行為)も含む、と判示されたわけです。

 今回の事件では、被告は横須賀市で「スナックシャネル」「SHNACK CHANEL」の名称で飲食店を経営していたようです(ちなみに風営法に基づく許可は「バーシャネル」の名称で受けていたようです)。
 
 原告(シャネルエスアーエールエル社)は、不競法2条1項1号も使って訴えたんですね(2号も使ってますが)。1号要件の「混同を生じさせる行為」については、上記最高裁判決のフレーズを用いて主張しています。
 
 でも、今回は、裁判所は不競法2条1項2号についてしか判断しませんでした。
 つまり、被告の営業表示は著名な営業表示「シャネル」と類似しているので、不競法2条1項2号に該当する、と。
  
 フツー人の感覚でいうと、「スナックシャネル」があの「シャネル」と関係あるとか系列グループだとか混同を生じるとは考えにくいのでは?1号の「混同を生じさせる行為」に該当するといわれても、何となくしっくり感が得られないような。
 ですので、2条1項2号適用ならスッキリした感じが致します。

 で、被告は答弁書も提出せず、口頭弁論期日にも出頭しなかったので、自白とみなされて終わり。

 ところで、原告のシャネル側は、これまで全国の「スナックシャネル」300店に警告書を送っていたようですね。「シャネル」という名称、飲み屋さん系に人気があるのですね…。
 いくら著名な営業表示だからといって、「スナックトヨタ」とか「バーTOSHIBA」とかいった名称だと、社員食堂?(というか社員飲み屋?)と思われそうな気もしますしね…(しないか?)。

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