クライマーなら、よどみなく一連に称呼

 ちょっと間が開いてしまいましたが、六角ナットのブランド商標に関する審決の続きです。
 
 もいちど簡単におさらいすると、六角ナットのブランド商標は、もとの出願から分割出願されたのでありました。そして、その分割出願に対し、4条1項11号で拒絶査定が出されたので、不服審判が請求されたのでありました(不服2008-8487)。
 
 分割出願の内容と、指定商品はこちら。
 ・第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」  
 ・第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」
 

 一方、引用商標の内容と、指定商品はこちら。
 ・第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」、第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」など。
 

 
 さて、審決での判断は…
 
 まず、本願商標(六角ナットのブランド商標)の方ですが、全体の構成について『これらの文字と図形は、黒色横長四角形内に外観上まとまりよく一体的に構成されているものである。』と述べられています。
 
 そして、文字部分については、このように述べられています。
 まずは本願商標の構成そのものについて。
 『
たとえ、その構成文字が、活字体と手書きという書体の違い及び文字の大きさに多少の違いを有しているとしても、かかる構成においては、「MOUNTAIN」の活字体文字と「HARD」、「WEAR」の手書き文字を分離独立して認識されるとみるべき特段の事情は見出せず、また、これより生ずる「マウンテンハードウェア」の称呼も格別冗長なものでなくよどみなく一連に称呼し得るものである。
 次に、実際の使用態様について。
 『
さらに、前記文字部分は、請求人の商号の略称部分を表記したものと認められるものであって、請求人のホームページを閲覧すれば、本願商標と同じ態様をもって使用されている事実も認め得るところである。

 
そうとすれば、本願商標は、その構成文字全体をもって不可分一体の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが相当であり、該構成文字の全体に相応して「マウンテンハードウェア」の称呼のみを生ずるものというべきである。

 してみれば、本願商標から「マウンテン」の称呼をも生ずるものとし、その上で、本願商標と引用商標とが称呼上類似するものとした原査定は妥当なものとはいえない。
 
 ということで、六角ナットのブランド商標は、引用商標と非類似と判断され、登録すべきものとされたのでありました。
 
 ここで“登山用品・クライミング用品”の一需要者から一言。
 “登山用品・クライミング用品”の需要者・取引者が「マウンテンハードウェア」と一連に称呼しているのは事実です。一連として、“ブランド”(審決でいうところの“商号の略称”)と捉えています。だから「マウンテン」と「ハードウェア」を分離して称呼されても、何のこっちゃよくわからんです。
 また、マウンテンハードウェア社が、指定商品のうちの登山・クライミング用ザックだとか、登山・クライミング用のバンド・ベルトだとかを製造販売しているのは事実です。ですので、そういった商品の製造販売会社としての商号の略称として捉えれば、「マウンテンハードウェア」という称呼は、一需要者としては受け入れ易いです。
 
 ただ、マウンテンハードウェア社が、登山・クライミング用以外の「かばん,袋物」や「携帯用化粧道具入れ」や「バンド、ベルト」や「ガーター,靴下止め,ズボンつり」を製造販売してるかどうかは、わかりません…。
 また、出願商標の構成そのものから「マウンテンハードウェア」の称呼が生じ得るかどうかについては、ちょっとびみょーな感じもいたしますが…。

 そんなマウンテンハードウェア社。こちらのHPで覗いて見て下さい。冬山にGO!したくなりますね!
 え?ならない…?

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