<平成20年(行ケ)第10317号審決取消請求事件>(判決文はこちら)
不使用取消審決の取消請求事件です。
○事件の概要
対象となったのは、O社が持っているこちらの登録商標です。
「RINASCIMENTO」と「リナッシメント」の二段併記、指定商品:第17類「被服,布製身回品,寝具類」
この登録商標は、審判で不使用取消審決が出ていました。
よって、今回の訴訟の原告は商標権者であるO社です。
O社は、生地からスーツを縫製して完成させ、伊勢丹に対して販売納品している会社です。生地は伊勢丹で販売されており、顧客が選んだものを使います。いわゆるオーダーメードです。
一方、取消審判の請求人(つまり、今回の被告)は、R社です。
○さて、
結論から言えば、今回の訴訟では原告の請求が認められました。つまり、不使用取消審決が取り消されました。
被告は、
・原告が商標を使用していたのは「生地」であって「スーツ」ではない、とか、
・原告と伊勢丹との取引関係は需要者に対する関係では内部関係の商品移動にすぎず、商標の使用に当たらない、とか、
・実際に使用していたのは「RinAsciMento」であって登録商標と同一性がない、などなど、
と主張していましたが、いずれも主張が認められませんでした(判決文9頁~12頁)。
また、登録商標の使用の事実を立証する証拠は、審判で提出されていなかったものも訴訟で提出されたようですが、被告はこれを「時機に後れて提出した攻撃防御方法に該当する」と主張しました。
しかしながら、これも、
『商標登録の不使用取消審判の審決に対する取消訴訟における当該登録商標の使用の事実の立証は,事実審の口頭弁論終結時に至るまで許されるものと解される…(最高裁判所第三小法廷昭和63年(行ツ)第37号平成3年4月23日判決・最高裁判所民事判例集45巻4号538頁参照)』
などとして、認められませんでした(判決文12頁)。
そして、結論的には、不使用に該当しなかった、ということになりました。
ということで、訴訟自体については、これでおしまい。
それより、この判決で「おや?」と思ったのは、裁判所が審決の記載事項やら審理のあり方について、わざわざページを割いて述べていることです。
…については、また明日。
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