<平成20年(行ケ)第10411号審決取消請求事件、平成20年(行ケ)第10412号審決取消請求事件>(判決文はこちらとこちら)
裁判所の最新知財判例のコーナーのレイアウトが少し変わって使いやすくなりましたね。
さて、本日は4条1項11号の拒絶審決の取消請求事件です。関連する2つの出願の事件をまとめてご紹介いたします。
まず、本願商標たちはこちら(商標1は第10411号事件、商標2は第10412号事件の本願商標です)。
商標1:「皇寿ドリンク」、指定商品「清涼飲料」
商標2:「皇寿」、指定商品「清涼飲料」
(※ちなみに商標1も商標2も分割出願だったのですが、分割要件を満たさないとして遡及効が認められませんでした。本事件にはあまり影響はないんですが…)
4条1項11号で引用された登録商標はこちら。
商標:「コージュ」、指定商品「清涼飲料のもと、アイソトニック飲料、果実飲料」
○原告(出願人)の主張の要点(ざっくりと)
1.類否についての判断の誤り
「皇寿」の称呼は『コージュ』で引用商標と同じであるが、外観が著しく相違し、また「皇寿」からは「百十一歳。また、その祝い。」という明確な観念を生じるので、の称呼,外観,観念に基づく印象,記憶,連想等を総合し,具体的,全体的に考察判断するとともに,引用商標が全く使用されていないことも併せ考慮すると,取引者及び需要者が,本願商標と引用商標の間において,商品の出所につき誤認混同を来すおそれは全くない。
また,称呼を共通にするものでも外観及び観念において明らかに相違する場合は非類似と判断された例があり,本願商標と引用商標についても非類似と判断されるべきである。
2.引用商標の評価の誤り
引用商標は、50条1項の規定により取り消されるべきものである。
そして,50条の審判の被請求人は答弁書提出期間内に答弁書を提出しなかったのであり,引用商標に係る商用登録を取り消す旨の審決がされることは確実である。
また,本願商標が商標法4条1項11号に該当するかどうかの判断基準時は「審決時」であるところ,本件取消訴訟が係属している以上,上記「審決時」はいまだ確定していない。
そうすると,仮に審決による類否の判断に誤りがないとしても,引用商標に係る商標登録が取り消されることにより,引用商標は「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標」ではなくなるから,本願商標がこのような商標に類似する商標に該当するとはいえなくなる。
したがって,引用商標の存在を前提として、本願商標が4条1項11号に該当するとした判断は誤りである。
ちなみに、本願商標らの拒絶審決日はH20.9.25、その謄本送達日はH20.10.7でした。
また、原告が請求した50条の審判請求登録日はH20.11.20でした。
さて。
上記1.2.の原告の主張は認められたでしょうか。
その答えは次回。
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