個別、具体的なのでね。

 今日は4時に目が覚めて余裕で始発に乗れてしまった。ちなみに、この時間、自宅の近くを歩いているのは高齢のお方ばかり。寄る年波を感じますです。

 さて、昨日の続きです。
 
 今回の事件は、4条1項6号の拒絶審決に対する取消請求事件でございました。
 つまり、本願商標は「ISO」と似とるので登録できん、ということです。

 その本願商標はこちら。
 商願2006-64428号、H18出願

  指定商品:第6類、第7類、第19類の商品

 本願商標について、原告(出願人)はどう主張したかというと、ざっくりいえば「ISOとISO以外の部分とを不可分一体のものとみるべき」ということでした(判決文2頁~5頁)。→なので「ISO」とは似とらん、と。
 「-(ハイフン)」は、前後の語を一体として結合させる役割があると判断されることが多かったりするので、原告側としては当然の主張ですよね。

 でも、裁判所の判断は違いました。
 本願商標の、特に外観について、こんなことを述べています(判決文11頁~12頁)。
 『上段部分は,先頭の「ISO」がすべて大文字から成るのに対し,その余の2つの英単語はいずれも冒頭の文字のみを大文字と,その余の各文字をいずれも小文字とするものであるから,ISO部分は,ISO以外部分と異なる外観を呈するものであることが認められる。
 『下段部分は,~先頭の「ISO」が欧文字のみを書して成るのに対し,その余は片仮名のみを書して成るものであるから,上段部分と同様,ISO部分は,ISO以外部分と異なる外観を呈するものであることが認められる。
 
 その他、観念も称呼も、つまるところ、“ISOとISO以外の部分とが分離して看取される”ことを前提に判断しています。
 
 それで、結論としては、
 『本願商標に接した需要者及び取引者は,同商標を付した商品,当該商品を製造・販売するなどする業者等が国際標準化機構が定める国際規格に適合するなどの印象を抱くものと認められるから,両標章は,互いに類似するものと認めるのが相当であ』る(つまり、本願商標が4条1項6号に該当する)、
 と判断しています(判決文15頁~16頁)。
 
 …そうですか。
 ではでは、昨日ご紹介した3つの「ISO」っぽい登録商標はどうでしょうか?
 
 (1)登録第4417542号、H11出願・H12登録
  商標:「ISOマネージメント」
  指定商品:第16類「雑誌,新聞」

 (2)登録第4472051号、H12出願・H13登録

  指定商品:第9類「測定機械器具並びにその部品及び附属品,電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」

 (3)登録第5012504号、H17出願・H18登録

  指定商品:第16類「新聞,雑誌」

 この3つの登録商標のうち、(1)(2)に対しては、4条1項6号の拒絶理由は出されていません。

 一方、(3)に対しては、4条1号6号で異議の申立がなされ、取消決定が確定しています(異議2007-900152)。この決定が確定したのはH20です。
 (3)の異議申立の審理時期が、本件の本願商標の拒絶査定不服審判の審理時期とかぶってるのが、ビミョーな感じです。
 ま、まあ、お決まりフレーズのごとく、“個別、具体的に判断されたものであり、他の登録例に拘束されない”んだから、異議決定が本件の結論に影響するなんてないですよね~??…
 
 …なんとなくビミョー感を残しつつ、本日はこの辺で。
 次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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