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<平成21年(行ケ)第10354号審決取消請求事件>(判決文はこちら)
今日は『メールマガジンのタイトル・HPのタイトルが、商品“について”の使用といえるか』が争いとなった事件をご紹介いたします。
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本件商標(登録第第2230404号)は、こんな感じ。
「CLUBHOUSE」の欧文字と「クラブハウス」の片仮名文字とを上下2段に横書してなるもの。
指定商品:第32類「加工食料品,その他本類に属する商品」
商標権者はハウス食品さんです。
本件商標に対し不使用取消審判が請求されました(取消2009-300279号)。
この審判の審決では登録が取消されたので、これを不服とした商標権者さんが審決の取消しを求めて提起しました。それが、今日ご紹介する訴訟でございます。
そして、本件商標は、メールマガジンのタイトル&HPのタイトルとなっています。
メールマガジンはこんな感じ(ハウス食品さんのメールマガジン「クラブハウス」2010.3.1版へ)。
HPはこんな感じ(ハウス食品さんのHPの「クラブハウス」ページへ)。
まず、不使用取消審判の審決での判断を見てみます。
『被請求人の発行・配信するメールマガジンには、Web版クラブハウスの紹介、プレゼント付き食生活アンケート、プレゼント・イベント・キャンペーン、ハウス食品からのお知らせ、チェック・ザ・新商品&オススメ情報、最新TVCMウォッチング及びレシピの紹介など様々な情報が掲載されていること、新商品情報については、本件商標の取消請求に係る指定商品の範囲に属する商品に限らず被請求人の取り扱う商品のすべてにわたると推察され、新商品の紹介に際しては取消請求に係る指定商品の範囲に属する商品において上述したように「ハウスPRIME(プライム)カレーシリーズ(プライムバーモントカレー)(プライムジャワカレー)」「カップdeカレー」及び「うまかっちゃん」などの商標とともに新商品を紹介していること及び新商品の出所を表示するものは前記商標以外になく、「クラブハウス」の表示が直接商品の出所を表示する箇所は発見できない。
また、被請求人の発行・配信するメールマガジンの冒頭に大書された「クラブハウス」の表示は、メールマガジンにおける構成上の配置や文字の大きさとその内容からみて、被請求人の発行・配信するメールマガジンの題号(タイトル)としてのみ機能しているものと認められる。
したがって、被請求人の「クラブハウス」の標章の使用行為は商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当せず…』(下線は私が付しました)
ところで、広告に表示されている標章が、“商品の”商標の使用と認められるか否かについては、小売等役務が導入された頃に、“小売等役務の”商標の使用とどう違うのか、という観点でよく見聞きしたことでありました。
例えば、H19にJPOが発行した「小売等役務商標制度説明会テキスト」によると、
『商品の広告等については、例えば、食料品スーパーの広告チラシに掲載される目玉商品の写真と価格の表示箇所付近に表示された商標は、需要者からみて、商品の出所を表す製造者の商標と認識されます。
一方、その広告チラシの隅に(枠外に)、小売業者等の商標を表示することは、需要者からみて広告チラシに掲載される商品を取り扱う小売等役務の出所を表すものとして認識されますから、それは小売等役務の商標の使用と認められるものです。』(20~21頁、下線は私が付しました)
とされています。
上記審決も何だかそんな雰囲気をかもし出しているような。
さて。
それでは、裁判所は、今回のメールマガジン&HPに表示された「クラブハウス」の標章を、商品“について”の使用と認めたでしょうか?
…については次回にて。
次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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コメント
Unknown
本件、興味があったので判決書読ませてもらいました。
「がんばれニッポン」や「東京メトロ」なんかと比較すると面白そうですね。
(自分じゃ絶対にしませんが)
あと気になったのが、原告が取り扱う商品の説明で、「カレー」、「シチュー」辺りは良く理解できるのですが、わざわざ「リゾット」が単品で指定されているのが謎です。
おそらく提出された証拠に記載されていたんだと思いますが、高部判事がリゾット好きだったりするんならファンになっちゃうかも、、、
Unknown
m-kenさん、おはようございます!
“について”の解釈については、「がんばれニッポン」や「東京メトロ」も、ちょっと「まじで」的な判決でしたよね。
こういう判決、面白いけど、実務的にはひやひやします…。
「リゾット」?
なるほど。確かに少々突飛な感じも。
どうしてでしょう?