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先週の続きです。
メールマガジン&HPのタイトル等として使われていた「クラブハウス」の表示が、商品“について”の商標の使用と認められるか否かについて、裁判所の判断です。
裁判所はまず、指定商品についての使用の有無の基準を述べています。
『商標の使用があるとするためには,当該商標が,必ずしも指定商品に付されて使用されていることは必要ではないが,その商品との具体的関係において使用されていなければならない(最高裁昭和42年(行ツ)第32号同43年2月9日第二小法廷判決・民集22巻2号159頁)。』(判決文15頁)
そして、今回のメールマガジン&HPの表示については、次のように述べています。
『原告は,メールマガジン及びWeb版に「クラブハウス」なる標章を表示している。メールマガジン及びWeb版には,加工食料品を中心とした原告商品に直接関係し,原告商品を広告宣伝する情報が掲載されているから,メールマガジン及びWeb版は,顧客に原告商品を認知させ理解を深め,いわば,電子情報によるチラシとして,原告商品の宣伝媒体としての役割を果たしているものということができる。このように,メールマガジン及びWeb版が,原告商品を宣伝する目的で配信され,多数のリンクにより,直接加工食料品等の原告商品を詳しく紹介する原告ウェブサイトの商品カタログ等のページにおいて商品写真や説明を閲覧することができる仕組みになっていることに照らすと,メールマガジン及びWeb版は,原告商品に関する広告又は原告商品を内容とする情報ということができ,そこに表示された「クラブハウス」標章は,原告の加工食料品との具体的関係において使用されているものということができる。
したがって,「クラブハウス」標章は,加工食料品を中心とする原告商品に関する広告又は原告商品を内容とする情報に付されているものということができる。』(判決文15頁。下線は私が付しました)
おやや?JPOの見解と異なるようですね。
そして、JPOの見解に対してはこんなことを。
まず、「クラブハウス」の標章をメールマガジンの名称として使っていたことに対しては、次のように述べました。
『…しかしながら,商標法2条3項1号所定の使用とは異なり,同項8号所定の使用においては,指定商品に直接商標が付されていることは必要ではないところ,リンクを通じて原告のウェブページの商品カタログに飛び,加工食料品たる原告商品の広告を閲覧できること,そして,そのような広告はインターネットを利用した広告として一般的な形態の一つであると解されること(甲189)からすると,原告のメールマガジン及びWeb版における「クラブハウス」の表示が,原告商品に関する広告に当たらないということはできない。』(判決文15頁、下線は私が付しました)
また、個々の商品にはそれぞれ個々の商標が表示されており、メールマガジン・HPの全体の商品には「ハウス食品」商標が表示されていることに対しては、次のように述べました。
『…しかしながら,個々の商品に2つ以上の商標が付されることもあり得るところ,製造販売の主体である原告を表す「ハウス食品」商標が付されているからといって,原告商品を宣伝する目的で配信されるメールマガジン及びWeb版に原告を表す「クラブハウス」標章を付すことが,商標の使用に当たらないということはできない。』(判決文15~16頁)
そして、使用標章と登録商標との同一性も認められ(判決文16~17頁)、
原告さんの請求(「不使用として登録を取消したJPOの審決を取消してくれ~」という請求)が認められたのでした。
この判決、商標実務者としては結構気になる判決ですね…。
本日はこの辺で。
次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…
【執筆記事】
「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
(「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
内容はこちらからどうぞ
【関係事件】
代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。
【ZIP FM Z-TIME BIZ】
ここのフォトギャラリーになぜかわたくしが。
見付からないよ~?→ここです
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