芋づるポーラ

<平成2年(行ケ)第48号 商標権行政訴訟>(判決文はこちら、別紙はこちら)  

 先週末にご紹介した「がんばれ!ニッポン!」事件では、
 原告さん(不使用取消審判請求人さん)が『コナミスポーツさんの商標は出所識別表示として認識される態様で使用されていない(だから50条の「使用」といえない)』と主張したのに対し、
 裁判所は『コナミスポーツさんの使用は出所識別機能を有するものというべきである(だから原告さんの主張は採用することができない)』としておりました。

 つまり、裁判所は、
 『出所識別表示と認識され得るような使用であれば、商50条における「使用」といえる』
 とも取れるニュアンスのことを言ったような言わんような。  
 
 では、そもそも商50条における「使用」と言えるためには、出所識別機能を発揮するような使用でなきゃいかんのか?が気になるところです。

 それで、今日は、芋づる式に「POLA」事件をご紹介いたします。
 結構昔の事件ですが(私が生まれる前の。…ってウソ)、改めて見てみるとなかなかおもしろいと思います。

 「POLA」事件の被告(商標権者)さんは、登録商標「POLA\ポーラ」(指定商品:第32類「果実」等、別紙図面一参照)を持っていました。
 実際に商標を使用するときは、登録商標からちょっと変更して(
別紙図面二参照)、その変更した使用標章を付した紙帯を、果実の収容箱に掛けて、顧客に配送しておりました(なお、登録商標と使用標章の同一性については認められました)。

 原告さんは、
 「被告らが主張するような態様で使用される本件使用標章は、商品の彼比識別など商標の本質的機能を全く果たしておらず、識別標識ではないから、登録商標をその指定商品に使用するものといえない
 と主張しておりました。

 これに対する裁判所の判断は、こうなりました。
 『
なるほど、商標権の侵害の成否を論ずるときは、第三者による登録商標の使用が識別標識としての使用でなければ登録商標の本質的機能は何ら損なわれないのであるから、商標権の侵害が成立するためには第三者が登録商標を識別標識として使用したことを要するといい得る。
 しかしながら、商標の不使用を事由とする商標登録取消しを論ずるときには、「前述のような制度の存在理由に鑑みても、商標法第五〇条所定の登録商標の使用」は、商標がその指定商品について何らかの態様で使用されておれば十分であって、識別標識としての使用(すなわち、商品の彼比識別など商標の本質的機能を果たす態様の使用)に限定しなければならぬ理由は、全く考えられない
 それゆえ、本件使用標章を被告らが主張するような態様で使用することが、識別標識としての使用に該当するか否かはさて措き、「指定商品についての使用」に該当することは前述のとおりであるから、原告の右主張も採用できない。
』(判決文4頁、下線は私が付しました)

 商標権者フレンドリーな判決であります…
 
 が、一方で識別標識としての使用を要求するような判決・審決が結構あることを考慮すると、商標権者としては安全サイドに立ちたいところでしょうか。

 それでは、本日はこの辺で。
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