樹液(かぶと虫ではありません)

<平成21年(ワ)第16809号損害賠償請求事件(本訴)>(判決文はこちら

 本日は「樹液シート」を巡る事件の本訴の方をご紹介します。
 
 ところで、「樹液シート」というのは、“足の裏に貼って体内から出る毒素を取る”…という謳い文句の商品(この謳い文句の真偽については突っ込まないでください(汗)。本事件のポイントではないので)
 O先生はこの商品をご存知なかったという(笑)。ドラッグストアをぷらぷら歩き回るとお目に掛かることができると思いますよ~


◎さて、まずこの事件の登場人物を。主な登場人物は以下のとおり。

 被告会会社
  本件に関しては、下記(有)名翔から注文を受けて樹液シートを製造していました。
  なお、樹液シート関連の実用新案権を取得しています(登録第3110497号。既に実用新案技術評価を受けているとのことです)。


 
 
 被告A
  竹酢液関連商品の製造,販売を行っています。 

 (有)名翔
  被告会社が製造した樹液シートを購入し、袋詰め等を行い、下記(有)ロータスAkiに卸していました。

 (有)ロータスAki
  名翔から購入した樹液シートの卸を行っていました。
 
 原告
  楽天モール上の店舗にて樹液シートを小売販売しています(楽天モール上の「元気健康本舗genki21」はこちら)。
  また、遅くともH14はじめ頃から、樹液シートに本件標章を付して販売しています(本件標章はこちら↓)。
  
  

◎なぜに訴訟になったのか、その経緯。

 当初、原告さんは、被告会社さんが製造した樹液シートを販売していました。
 しかし、原告さんは被告会社さんから別企業にOEM供給元を変更しました。その結果、被告会社さんの元に在庫品が残りました。
 被告会社さんは、その在庫品を被告Aさんに販売委託したところ、被告Aさんはインターネットオークションで廉価で販売するようになりました(ただしH204月に出店を削除)。

 この、在庫品を廉価で販売したという被告会社さんと被告Aさんの行為に対し、原告さんが、
 ・主位的には不競法2条1項1号、
 ・予備的には民法上の一般不法行為に該当するとして、
 損害賠償・信用回復措置を求めて提起しました。

 以上がごくごく簡単な経緯です。


 原告さんが不競法や民法を持ち出したってことは…
 そう、「genki21」の商標権はないようです。


◎本件(本訴)の争点は、
 (1) 本件標章は被告会社にとって「他人の」商品等表示か
 (2) 本件標章は原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されていたか
 (3) 本件販売について不正競争の成否(主位的請求)
 (4) 本件販売について一般不法行為の成否(予備的請求)
 でした。


〇さて。

 不競法に関する争点(1)~(3)のうち、
 特に争点(1)「本件標章は被告会社にとって「他人の」商品等表示か」について、
 被告会社さん・被告Aさんは、こんな旨の主張をしておりました。
 『本件標章の付された樹液シート(以下「本件樹液シート」という。)について,この種商品の専門家である被告会社が幾多の投資,研究を重ねて考案した実用新案権(登録第3110497号)を実施して製造したものであり,その包装紙のデザインも担当するなどして,本件標章に対する顧客の信頼や顧客吸引力を主体的に形成してきたものであるから,本件標章は被告会社にとって「他人の」商品等表示であるとはいえない』(判決文21頁)

 一方、民法に関する争点(4)「本件販売について一般不法行為の成否」については、こんな旨の主張をしておりました。
 『本件販売について,原告の代理店(代理人)であった名翔又はロータスAkiが承諾していた』(判決文26頁)
 『原告は,訴状において,名翔及びロータスAkが原告の代理店(代理人)であることを前提として,原告と被告会社との間にOEM供給契約が存在する旨の主張をしていたのであるから,名翔及びロータスAkiが原告の代理店(代理人)であることについては裁判上の自白が成立して』いる(判決文13~14頁)

 これらに対する裁判所の判断はどうだったかというと…
 これは、他の争点と併せて次回にて。

 次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
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(↓今日の答えがわかっちゃうけど…)
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