ちまたで話題になっている「Perl\パール」の商標登録について、若干述べさせていただきます。
■■この問題は、以前から広く使われてきて、
Japan Perl Association (JPA) さんが啓蒙・促進するプログラミング言語の名称Perlが、(株)テラ・インターナショナルさんによって商標登録されたというものです。○その登録商標はこちら。
経過情報を見てみると、拒絶理由通知なしの一発登録です。
(111) 【登録番号】 第5314384号
(151) 【登録日】 平成22年(2010)4月9日
(210) 【出願番号】 商願2009-83250
(220) 【出願日】 平成21年(2009)11月2日
【先願権発生日】 平成21年(2009)11月2日
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【商標(検索用)】 Perl\パール
(541) 【標準文字商標】
(561) 【称呼】 パール
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(732) 【権利者】
【氏名又は名称】 株式会社テラ・インターナショナル
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【類似群】 42P02 42X11
【国際分類版表示】 第9版
(500) 【区分数】 1
(511) (512) 【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
42 電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供
○実は、本家さんもPerlに関して出願はしてますが、登録には至っていません。
その出願はこちら。
(210) 【出願番号】 商願2007-92708
(220) 【出願日】 平成19年(2007)8月29日
【先願権発生日】 平成19年(2007)8月29日
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【商標(検索用)】 Perl
(541) 【標準文字商標】
(561) 【称呼】 パール
(531) 【ウィーン図形分類】 5.9.6; 5.9.23; 26.1.1; 26.1.3; 26.1.15
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(731) 【出願人】
【氏名又は名称】 イェット アナザー ソサイエティー
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【類似群】 11C01
【国際分類版表示】 第9版
(500) 【区分数】 1
(511) (512) 【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
9 電子応用機械器具及びその部品
指定商品「電子応用機械器具及びその部品」には「電子計算機用プログラム」が含まれておりますが、
ITに疎い私などは、そもそも「プログラミング言語」が「電子計算機用プログラム」に該当するのか?(「プログラミング言語」ってルールでないの?)なんて思ったりするわけです。
→SEくんいわく、「『プログラミング言語』の配布はDLでされますよ」。
ん?「プログラミング言語」といいながら、「プログラミング言語を使うためのプログラム」ってこと?(この辺、よーわからん、すみません) ならば該当するのかー(汗)
この本家さんの出願、2007年にされたにもかかわらず、未だ登録されておりません。
経過情報によれば、拒絶理由条文コード(54 第4条各号+第4条1項11号)で拒絶理由が出されて意見書が提出されてますが、その後はデータが更新されてません。
推測ですが、おそらく代理人さんが何らかのアクションをされているのではないでしょうか。
○それで、これも推測ですが、上記本家さんの商願2007-092708に対し、拒絶理由4条1項11号で引用された登録商標は、おそらくこちら3件ではないかと。
(3件とも類似群コード11C01付与、権利者:住友電気工業(株)さん、パナソニック電工(株)さん)
1. 登録0403258-1 Pearl\パ-ル
2. 登録1667191 パ-ル
3. 登録1667192 PEARL
○さて。
商標マニアのアナタならすぐ気づいたでありましょう。
(株)テラ・インターナショナルさんの登録商標(登録第5314384号)に付された類似群コード42X11は、住友電気工業(株)さん、パナソニック電工(株)の3つの登録商標に付された類似群コード11C01と、備考類似であることを(もちろん、本家さんの商願2007-092708とも)。
備考類似なので、本来は互いに類似と推定されるはずなのですが…(備考類似は、情報提供、異議申立、無効審判などで主張された場合は、それが類似関係にあるとの推定の下に審査することが認められた類似関係)。
審査段階でクロスサーチするかしんかは審査官任せであります(されんことが多い模様。われらの出願前調査ではクロスで検索しますけどが)。
ですので、(株)テラ・インターナショナルさんの登録商標(登録第5314384号)は、本来、住友電気工業(株)さん・パナソニック電工(株)さんの登録商標等と似ているって推定されていることのはず(審査ではスルーされた、的な)。
とすると、(株)テラ・インターナショナルさんの登録商標(登録第5314384号)は、4条1項11号の無効理由を孕んでいる…(ちなみに公報発行日は5月18日なので2ヶ月以内なら異議申し立てもできますよ)
この辺りのことは、こちらのブログNOBODYPLACE「Perlの商標の件について業界の友人に聞いてみた」にも記載されています。
(↓ここの部分追加しました)
ちなみに「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与」の方が残っちゃいますので、それも考慮すると、全部を一網打尽に無効(取消し)できるのは、
・3条1項各号(商標としての識別力なし系)やら、
・4条1項7号(最後の手段系)やら
・4条1項19号やら
辺りでしょうか。
プログラミング言語Perlの周知性から4条1項10号の適用も可能か、とのご意見もございました(@furyoshainさん)。
なお、だだだーと書きなぐったので、「そこおかしいぞ」てな点があるかもしれません。突っ込み、大歓迎でございますです~(というか、クロートさんの英知を貸してくれー)
本日はこの辺で。
次回も見ていただける方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
↓↓↓
こちらもご参照に!
→「弁理」屋むだばなし:「商標について誰もが知っていてもいい、2つ3つ。」
→Patent Hacks:「Perl商標で学ぶ商標制度の基本」
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コメント
Perl商標で学ぶ商標制度の基本
Perl商標とかエグい Perlの商標登録を、特にオーソライズされたわけじゃない人が勝手に取っちゃった、ということが起きました。エグいですね。 twitterとかブックマークとか見てると、まあそもそも何が起きてるのかよくわからんとか、これをもって「これだから知財(商標…