意匠新着審決【3条2項系】

 昨日は弁理士会東海支部の教育支援機構のキャラバン隊の助っ人で、G県の高校に授業に行ってまいりました。
 1時間だけの授業でしたが、あとから「ほんとよぉわかりました~」(訳:本当によくわかりました)と何回も仰られたので、誠にありがたいことでございました。ふっ、休日潰して資料作った甲斐がありました、報われましたよ(←安上がりなわたし)。

 で、木曜日なので意匠の新着審決をご紹介する日でございます。今日は3条2項系だ!


■■■意匠新着審決【3条2項系】

●不服2009-23870
意匠に係る物品「表示装置付きスイッチ」


本願意匠(意願2008-8951)は意匠1(特許庁意匠課公知資料番号第HC18005351号意匠)及び意匠2(特許庁意匠課公知資料番号第HC18032323号意匠)に基づき容易に創作できた意匠とはいえないと判断されました。
*公知意匠の参酌: 本願意匠が意匠1及び意匠2と異なる点につき『本願の出願前に知られていたものではなく

本願意匠

意匠1

意匠2


 『本願意匠と【意匠1】及び【意匠2】は、共に表示部付きスイッチの意匠であるが、まず、(a)キートップ部の形状について、【意匠1】はキートップ部の側面部が全て長方形状で切り欠き部を有しておらず、【意匠2】も、キートップ部が透明ではあるが、表示部の態様も異なり、キートップ部の高さや形状が本願意匠とは異なるもので、【意匠1】と【意匠2】を組み合わせても、本願意匠のようなキートップ部の形状とはならず、次に、(b)スイッチ本体部の形状について、【意匠1】と【意匠2】のいずれのスイッチ本体部においても、側面部に金属棒を有さず、底面部に薄板状の底板も有しておらず、いずれも本願意匠とは態様が異なるものであるから、【意匠1】と【意匠2】を組み合わせても、本願意匠のスイッチ本体部の形状を導き出すことはできず、【意匠1】及び【意匠2】を適用することによって、本願意匠を容易に創作することができたとはいえない。
 『本願意匠のキートップ部の上面寄りを斜状とした態様や、切り欠き部を設けた側面部の形状は、本願の出願前に知られていたものではなく、また、スイッチ本体部の構成についても、側面部の四隅に円柱状の金属棒を配している点等において、本願意匠の独自の特徴をなすものであり、従来のものに見られない新規な態様といえ、このようなキートップとスイッチ本体部からなる、本願意匠は、その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができた意匠に該当しない。


●不服2009-25329
意匠に係る物品「自動車用シート」


本願意匠(意願2008-2151)は例示意匠1(特許庁意匠課公知資料番号第HA11019523号意匠)及び例示意匠2(特許庁意匠課公知資料番号第HC16026793号意匠)に基づき容易に創作できた意匠とはいえないと判断されました。
*公知意匠の参酌: 本願意匠の端部寄りの縫合部の縫合方法につき『本願出願前に公然知られた『日本工業規格 シームの分類と標記記号 JIS L 0121』に記載の表示記号4.07.02あるいは5.42.01(別紙第4参照)にみられるように,縫合方法を個別に観察した場合には,格別の特徴はない


本願意匠

例示意匠1

例示意匠2

例示意匠


 
本願意匠は,意匠登録を受けようとする部分を自動車用シートの端部寄りの縫合部の一部とする出願であり,その部分の縫合方法については,本願出願前に公然知られた『日本工業規格 シームの分類と標記記号 JIS L 0121』に記載の表示記号4.07.02あるいは5.42.01(別紙第4参照)にみられるように,縫合方法を個別に観察した場合には,格別の特徴はないが,これらの縫合方法を組み合わせて本願意匠のように構成することにより,一定の創作がなされたということができる。すなわち,(1)中央の上下方向の凸条部は略円弧状の曲面であり,この凸条部と両側に形成された凹部とにより,全体が立体的に構成されている点,(2)左右の折り返し部には太糸で粗いステッチを施し,凸条部の左右には細糸で細かいステッチを施している点,(3)中央の上下方向の凸条部の幅と,折り返し部の端部からステッチまでの長さの比が約5:3である点は,創作に当たって格別困難なものではないにせよ,上記縫合方法を単に組み合わせたものとはいえない程度に,本願意匠を特徴付ける一定の創作行為が行われたというほかない。


●不服2009-22086
意匠に係る物品「マッサージ機」


本願意匠(意願2008-23719)は意匠1(特開2003-116944の第1図意匠)及び意匠2(特許庁意匠課公知資料番号第HD02023522号意匠)に基づき容易に創作できた意匠とはいえないと判断されました。
*公知意匠の参酌: 言及なし

本願意匠
平面図

正面図


意匠1

意匠2


 
意匠1は,【図1】に表されているマット型エアマッサージ機であって,その【図1】は,「本発明の実施の形態に係るカバー組み込み式マット型エアマッサージ機の外観平面図である。」と記載され,同マッサージ機に係る【図2】,【図3】及び【要約】の欄等の記載を参酌すると,表側地と裏側地との周縁を合わせて袋状に形成した袋状カバー,該袋状カバーの表側地または裏側地裏面に取り付けられたエアバックユニット等からなり,敷き布団,敷きマット等のマット型褥体部材を被覆収納して使用するものであるのに対して,本願意匠は,前記第1の本願意匠の欄で認定したとおり,マットの平面部にパッド部を形成し,そのパット部をマット正背面部に設けたボタン状留め具により着脱可能としたものであり,それぞれの構成態様は全く異なるものといえ,意匠1と本願意匠は,マット型褥体部材全体を覆うか,マットの平面部に取り付けるか等,そもそも創作意図が異なるものであるから,意匠1を本願意匠の創作における容易性の判断の基礎とすることはできない。
 
したがって,本願意匠に対して,意匠1が本願意匠の創作における容易性の判断の基礎とできないのであり,意匠1の意匠を意匠2のように折りたためるものしたに過ぎないということはできない…


●不服2009-22780
意匠に係る物品「携帯情報端末」


本願意匠(意願2008-11312、意願2007-18590号の分割出願)は例示意匠1(意匠登録第1235127号)及び例示意匠2(特許庁意匠課公知資料番号第HJ14001030号意匠)に基づき容易に創作できた意匠とはいえないと判断されました。
*公知意匠の参酌: 本願意匠の態様につき『先行意匠に照らすところ,本願意匠の特徴的な着想によるものというべき
 なお、本願意匠は、本意匠を意匠登録第1349661号とする関連意匠です。

本願意匠


例示意匠1

例示意匠2

本意匠


 『本願意匠は,前記「第1」で認定したとおりであって,前記認定のうち,(C)乃至(E)の態様は,先行意匠に照らすところ,本願意匠の特徴的な着想によるものというべきであって,例示意匠1及び例示意匠2の存在を前提として,本願意匠の(C)乃至(E)の態様は,到底容易に導き出せるものではない。
 なお、「第1」で認定した本願意匠の態様はこちら。
 『本願意匠は,(A)携帯情報端末の表示画面に係るものであり,その形態は,(B)タッチスクリーン機能を持つ縦長矩形状のディスプレイの同一表示画面上に,アイコン画像を表示するための同大の隅丸正方形状の操作用図形を全部で16個配置したものであって,(C)配置するに際して,16個の図形を上下2群に分割したものであり,(D)具体的には,上側12個を縦4列横3段で画面上「上詰め」状に配置し,下側4個を縦4列横1段で画面上「下詰め」状に配置したものであって,(E)結果として,上下2つの群の間,言い換えれば,横3段目と横4段目の間が他の段の間よりも広い間隔となっているものである。


 はいはい、そうです、相変わらず独断と偏見でチョイスした審決を単に列挙しただけですよ…
 
 本日はこの辺で。
 次回も見ていただける方、ぷちっと
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