商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・8条系】

先週の金曜日は商標の新着審決のご紹介ができなかったので、本日はその埋め合わせです(←自分の気分的に)。
今日は類似やら混同系だー、はりきって行ってみよー!

■■■商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・8条系】

●異議2009-900448

本件商標
指定商品:第19類「木材,プラスチック製建築専用材料」等
「軒天ラックス」

引用商標1
指定商品:第19類「木製の軒裏天井材,その他木材」
「ノキテン」

引用商標2
指定商品:第19類「プラスチツク発泡板と波形スレート板とを一体化した屋根葦材および壁面用スレート板」
「ラックスレート」

本件商標(登録第5262652号)は引用商標1(登録第788632号)及び引用商標2(登録第2145816号)と非類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『本願商標は、…該文字は、漢字と片仮名文字とを結合したものであるとはいえ、同一の書体により等間隔でもって、外観上まとまりよく一体的に表されているばかりでなく、これより生ずると認められる「ノキテンラックス」の称呼も極めて冗長というものではなく、よどみなく称呼し得るものであり、いずれの文字部分も商品の出所標識として強く支配的な印象を与えるものではない。
 そうすると、本件商標は、外観及び称呼の点からみて、構成全体の一体性は決して弱いものということはできないから、これを「軒天」の文字部分と「ラックス」の文字部分とに分離して、いずれか一方を抽出して称呼するものとみることはできない。
 したがって、本件商標は、構成全体をもって、一体不可分の造語を表したと認識されるとみるのが相当である

●不服2009-15602 
本願商標
指定商品:第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,つけづめ,つけまつ毛」
「PLATINUM BABY\プラチナベビー」

引用商標1
指定商品:第3類「化粧品」
「PLATINUM」

引用商標2
指定商品:第3類「化粧品」
「プラチナ」

引用商標3
指定商品:第3類「化粧品」
「プラチナム」

本願商標(商願2007-92434)は引用商標1(登録第2273666号)、引用商標2(登録第2563757号)及び引用商標3(登録第3282227号商標)と非類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『本願商標…、「PLATINUM BABY」及び「プラチナベビー」の文字は、それぞれ同じ書体、同じ大きさで外観上全体としてまとまりよく構成されており、「PLATINUM(プラチナ)」と「BABY(ベビー)」のそれぞれの文字部分は、特に軽重の差を見いだすことができないばかりでなく、これより生ずると認められる「プラチナベビー」の称呼も冗長とはいえず、よどみなく一連に称呼し得るものである。
 そして、前半部分の「PLATINUM」の文字は、「白金、プラチナ」(「小学館ランダムハウス英和大辞典第2版」株式会社小学館 2002年1月10日発行)等の意味を有する語であり、また、後半部分の「BABY」の文字は、「(通例、2歳までの)赤ん坊、赤ちゃん、乳飲み子」(前掲「小学館ランダムハウス英和大辞典第2版」)等の意味を有する語として、一般によく知られた語であって、その指定商品との関係おいて、商品の用途・品質表示として使用される場合があるとしても、かかる構成からなる本願商標は、商品の品質を具体的に表示するものとして直ちに理解、認識し得るとはいえないものと判断するのが相当である。
 そして、他に本願商標中の「PLATINUM(プラチナ)」の文字部分のみが、独立して自他商品の識別標識として機能し得るという特段の理由は見いだせない。
 そうとすれば、本願商標より生ずる称呼は、「プラチナベビー」のみであるというべきである。

 『本願商標は、「プラチナの赤ん坊」のごとくの観念を生じ、引用商標は、「白金、プラチナ」の観念を生じるから、両者は観念上、非類似のものであり、かつ、それぞれの構成からみて外観上も十分区別し得るものである。
 
 なお、本願商標は、4条1項16号にも該当しないとされました。
 『本願商標に接する取引者、需要者が、その指定商品との関係おいて「BABY(ベビー)」の文字部分より「ベビー用」の意味合いを認識する場合があるとしても、かかる構成においては商品の品質を具体的に表示するものとして直ちに理解、認識し得るとはいえないものと判断するのが相当である。

●不服2010-8744
本願商標
指定商品:第16類「印刷物」等

引用商標
指定商品:第3類「印刷物」等
「KAWORI」

本願商標(商願2009-50943)は引用商標(登録第4832079号)と非類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『本願商標…、構成中の「薫」の文字は、訓読みでは、「る」の送り仮名を伴って「かお・る」と読まれることが一般的である上に、「薫」の文字が、しばしば人名に用いられ、その場合には、「カオル」と称呼されていることや、下段の欧文字部分からは「カオル」の称呼を生じることからすれば、本願商標は、その構成に相応して「カオル」の称呼を生ずるものというのが相当である。そして「薫」の文字は、「よいにおいがもやもやとたちこめる。においをくゆらす。また、そのかおり」等の字義(株式会社学習研究社発行「新版 漢字源」第3刷)を有するものである。』
 『引用商標は、…、該文字よりは、直ちに親しまれた特定の語を想起させるものではないことから、一種の造語として認識されるものであり、このような場合には、我国で親しまれたローマ字読みの発音に倣って称呼されることからすれば、該文字全体からは、「カヲリ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないというのが相当である。そして、「ヲ」の音(五十音図ワ行の第5音)は、現代において、「お」と同じに発音する(株式会社岩波書店発行「広辞苑 第六版」第1刷)ことからすれば、引用商標の称呼は「カオリ」として差し支えないものである。

 『両者は末尾の音において「ル」と「リ」の音の差異を有し両称呼共に3音という短い音構成においては、この差異音が称呼全体に及ぼす影響は大きく、両商標をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が異なり、互いに聞き誤るおそれはないものというのが相当である。

●無効2009-890125
本件商標
指定商品:第9類「電子応用機械器具及びその部品」等

引用商標(4条1項10号)
サーバー監視ソフト(電子計算機用プログラム)について使用
「BOM」

引用商標(4条1項11号)
指定商品:第9類「電子応用機械器具及びその部品」等

[4条1項10号]
本件商標(登録第5204397号)は4条1項10号に該当しないとされました。
*引用商標の周知性: 認められませんでした。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『本件商標は、…、上段の欧文字が「爆弾」を意味する平易な英単語であって、下段の片仮名文字がその読みを特定したものと無理なく認識できるものであるから、これより「ボム」称呼及び「爆弾」の観念を生じるものである。』
 『(引用商標)欧文字3文字からなる商標の称呼については、綴り字一字毎に称呼されるのが一般的であるから、「BOM」の文字に照応して「ビーオーエム」の称呼を生ずるものというべきである。しかし、取引の実際においては、第一字と第三字が子音で、第二字が母音の場合には、しばしばローマ字読みにより、「ボム」の称呼をも生ずる余地があることは否定できない。
 ただし、請求人は、使用商標は「ボム」と称呼されている旨主張しているが、 甲第7号証によれば、「…システム監視ツール『BOM(ビーオーエム)』の…」との記載がある一方で、甲第9号証に「…『BOM(ボム)』…」との記載がわずか一例ある以外には、使用商標が「ボム」と称呼されている事実は見出せなかった。

 『仮に引用商標から「ボム」の称呼をも生じることがあるとした場合であるが、本件商標が「爆弾」を意味する比較的平易な英単語として理解、認識されている実情に鑑みれば、本件商標に接する取引者、需要者は、「爆弾」の意味合いを強く想起しつつ「ボム」と称呼するのに対し、引用商標については「B」「O」「M」の3文字からなる意味不明の欧文字であると認識しつつ「ボム」と称呼することから、取引者、需要者は、称呼上、本件商標と引用商標とを明確に区別し得るものというべきである。
 そして、前記と同様、両商標は、一見して欧文字の末尾における「B」の文字の有無及び「ボム」の文字の有無を容易に認識できるという差異があり、外観上も全く別異の商標であって、かつ、本件商標が「爆弾」の観念を有するのに対し、使用商標は一種の造語と認められることから、観念上も比較することができないものである。
 してみると、たとえ、本件商標と引用商標の称呼が共通する場合があるとしても、称呼の同一性がそれぞれの外観及び観念における相違を凌駕するものとは認められない

[4条1項11号]
本件商標(登録第5204397号)は引用商標(登録第4429034号)と非類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: (本件商標の認定については上記4条1項10号と同じ)
 『引用商標は、…段の片仮名文字部分が下段の欧文字部分の読みを特定したものと無理なく認識できるものであるから、これより「ビーオーエム」の称呼のみを生ずるものというべきである。
 『一般に欧文字と片仮名文字が二段に表記されてなる構成の商標であって、片仮名文字がその欧文字の読みを特定したものと無理なく看取し得るものであるときは、その片仮名文字に相応した称呼のみを生ずるものと判断するのが相当であるところ、本件引用商標についても、片仮名文字部分「ビーオーエム」がその欧文字部分「BOM」の称呼を特定していると無理なく看取できるものであるから、引用商標からも本件商標と同一の称呼「ボム」を生ずるとした請求人の主張は、採用することができない。

●異議2009-900450
件商標
指定商品:第19類「「建築用プラスチックまたは鉱物製断熱材料,建築用ポリスチレンフォーム製断熱外装板,建築用及び壁用モルタル,石膏,しっくい,その他の建築用塗材,セメント及びその製品」等
「FINESTONE」

引用商標1(4条1項11号)
第19類「ゴム製建築専用シート,ゴム製防水屋根葺き材」

引用商標2(4条1項15号)
第12類「自動車用のタイヤ及びチューブ,二輪自動車及び自転車用のタイヤ及びチューブ,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片,ゴム製の緩衝器及びその附属品,ゴム製の空気ばね」
「FIRESTONE」

引用商標3(4条1項15号)
第12類「自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」等

[4条1項11号]
本件商標(登録第5263189号)は引用商標1(登録第3332402号)と非類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『本件商標は、…構成文字中の前半部の「FINE」の文字は「立派な、上等な、すばらしい」の意味を有する平易な英語として一般に知られており、また、後半部の「STONE」の文字も「石、小石、岩」の意味を有する平易な英語として、同じく一般に知られている語であるから、これらの発音に倣い、これよりは全体として「ファインストーン」の称呼を生じ、「立派な石、すばらしい石」の意味合いを生ずるものである。
 『引用商標1は、…構成文字中の前半部の「Fire」の文字は「火、発火」の意味を有する平易な英語として一般に知られており、また、後半部の「stone」の文字も「石、小石、岩」の意味を有する平易な英語として、同じく一般に知られている語であるから、これらの発音に倣い、これよりは全体として「ファイアストーン」の称呼を生じ、特定の成語としての確定した意味を生じないとしても、「火の石」の如き意味合いを生ずるものというのが相当である。
 『両称呼の差異は、第3音における「ン」と「ア」との音の差異を有するものである。
しかして、該差異音は、「ン」が鼻音で弱く響く音であるのに対し、「ア」は、有声の開放母音ではっきりと澄んだ音であるから、その音質を全く異にするものである。
 してみれば、該差異音が、たとえ比較的聴取し難い中間に位置することを考慮してもなお、該差異音が両称呼全体に及ぼす影響は大きいものであるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調・語感が異なり、両商標は、称呼上充分に区別し得るものである。

[4条1項15号]
本件商標(第5263189号)は4条1項15号に該当しないとされました
*引用商標の著名性: タイヤメーカー「The Firestone Tire & Rubber Company」のハウスマークとして著名であると認められました。
*称呼・外観・観念の認定・類否、出所混同: 『本件商標と引用商標1とは、上記のとおり、称呼、観念及び外観のいずれの点においても紛れるおそれのない、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、本件商標と引用商標1を含む引用各商標とは、同様に、十分に区別し得る別異の商標であるといえる。
 『たとえ、引用各商標が、我が国の自動車用のタイヤ関連分野の取引者、需要者の間に広く知られていたものと認められるものであるとしても、また、申立人及びその関連会社が、タイヤと共通する原材料であるゴムを用いた事業として建築専用材料の製造販売にも携わっていることを考慮しても、本件商標は、これを建築関連商品を含むその指定商品に使用した場合は、これに接する取引者・需要者をして、申立人、あるいは引用各商標を連想又は想起させるとはいえないものであって、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。


 本日は以上です!
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