意匠新着審決【3条1項3号系】

11月19日(金)に今年最後の「だが屋」が開催されます!詳細はこちら

 あ、言い忘れておりましたが、一昨日、わが事務所の若手くんが弁理士試験に合格しました(←そんな大事なこと、忘れるなー(汗))
 で、今日は、事務所の合格祝賀会です。
 ちなみに、彼、赤ちゃんが産まれてから手の平を返したように呑みに付き合ってくれんくなりましたが、おい、祝ってやっからよー、呑みに付き合えよ。なんてね、うふ

 それと、先日弁理士会から送られてきたアンケートのことについて、最後にちょろりと書きました。

 さぁーて、今日は木曜日ですので、意匠の新着審決をご紹介します。今日は3件だけ。


■■意匠新着審決【3条1項3号系】

●不服2010-5755   
意匠に係る物品「デジタルカメラ」

本願意匠(意願2009-3518)と引用意匠(意匠登録第1345259号)は非類似と判断されました。
*判断主体: 看者
*公知意匠の参酌: 共通点につき『この種デジタルカメラの分野において、従来から見受けられる態様であり、両意匠のみに格別新規な態様ということはできず

本願意匠

引用意匠


 『差異点に係る態様が相乗して生じる視覚的な効果は、看者の注意を強く惹くものであるから、両意匠の類否判断を左右するものというべきである。
  とりわけ(イ)における、上面操作部の態様における差異は、本願意匠が横長の略矩形状台座と半楕円形状のグリップ台座との組み合わせにより、平面視倒L字状を構成しているのに対し、引用意匠は逆さD字状の台座と一段低いグリップ部の上面全体を覆う台座とが独立し、平面から見ると、逆さD字状の台座部までの本体部に対して、独立したグリップ部が横から接合している印象を与え、差異点(ア)の本体部右側に帯状部を有する点とも作用しあって、両意匠に異なる視覚的効果を生じさせている。この差異は、通常手にとって操作をするこの種物品分野における看者にとって、部分的なものに留まるものではなく、両意匠の印象を大きく決定付けるものといえる。

 ちなみに差異点(ア)と(イ)はこちら。
 『(ア)本体部右側について、右側面視で正面側の態様を、本願意匠は、中央を膨出させたものとしているが、引用意匠は、下から3分の1程度の高さを膨出頂部とし、さらに側面から上面にわたって外周より一回り内側に帯状部を有する点、(イ)上面の操作部について、本願意匠は、回転式操作ダイヤルと円形状小ボタンが2つ配された横長の略矩形状台座と、グリップ部の斜面部に設けられた、ズームレバーと一体となったシャッターボタンを囲む半楕円形状のグリップ台座とで上面部より一回り小さく構成されているが、引用意匠は、回転式ダイヤルのみが配置された逆さD字状の台座と、その逆さD字状の丸い側を受けるとともに、一段低い位置とした、グリップ部上面全体をキャップ状に覆う台座とで上面部とほぼ同じ大きさに構成されている点

●不服2010-6619   
意匠に係る物品「包装用容器」

本願意匠(意願2007-26675)と引用意匠(意匠登録第1249454号)は非類似と判断されました。
*判断主体: 言及なし
*公知意匠の参酌: なし

本願意匠

引用意匠


 『(1)周側面凹部の態様につき,本願意匠は,凹部の輪郭が隅丸長方形で底を平坦面とする外側凹部,及びその内側に輪郭が一回り小さい長円形で底を凹曲面状とする内側凹部を形成して,凹部全体をトラック状に二分しているのに対し,引用意匠は,中央部は平坦で,凹部全体を一様な窪みとしている点,(2)周側面凹部の水平リブにつき,本願意匠は,略横長長方形板状とする,外側凹部の幅より短く内側凹部の幅より長い2本のリブを凹部の略中央に近接させて形成しているのに対し,引用意匠は,長方形板状のリブの上下部を弧状にえぐり,断面視では台形状とする,凹部の幅と同じ長さのリブを凹部の上下に寄せて1本ずつ形成している点,(3)肩部の態様につき,本願意匠は,周側面の傾斜がきつく,その全高は,胴部下方の円筒形部より大きく形成し,肩部下端から上方に向けて大二等辺三角形の面取りと逆小二等辺三角形の面取りを環周状に交互に形成しているのに対し,引用意匠は,傾斜が緩やかで,その全高は,胴部下方の円筒形部よりも小さく形成し,菊花弁状の面取りとした点,で大きな差異が見られ,類否判断に与える影響は大きいと考えられる。


●不服2010-7874
意匠に係る物品「自動車用フロアマット」

本願意匠(意願2009-11258)と引用意匠(意匠登録第1258974号、一組の自動車用フロアマットセット)は非類似と判断されました。
*判断主体: 看者
*公知意匠の参酌: なし

本願意匠

引用意匠

 『両意匠間には、主に右側マットの具体的な態様において、引用意匠は、上部中程に形成された方形凸部の左下に、凸部の左側の縦幅の約1/3の長さとする浅い矩形状の凹部が設けられ、下辺の中程の凸状部と相俟って、右側マット全体が鳥の立ち姿を連想させるものとなっているが、本願意匠は、方形凸部の左下には凹部が設けられておらず、下辺も三角形の凸状部と扁平方形の凹状部を表したものであって、引用意匠が備える印象は感じさせないものとなっている。また、引用意匠の右側マットの下辺の形状は、中程に凸状部が形成されて左側マットの下辺の形状と左右対称形をなし、間に中央マットを挟んで3点のフロアマットにより構成された下辺全体が、上下方向に規則的な矩形状の凹凸を繰り返しているのに対し、本願意匠の右側マットの下辺の形状は、上記のとおり、三角形の凸状部と扁平方形の凹状部が形成されて、左側マットと左右非対称形としたものであり、主に右側マットに認められるこれらの差異は、自動車の床面に敷設されて、看者の注意を惹くものと認められ、これらを微弱な差異として類否判断に与える影響が小さいとすることはできない。

 本日の新着審決は以上です!

 ところで。

 冒頭触れたように、先日、弁理士会から試験制度等に関するアンケートが送られてきたんですが、えらい不味かったのは質問と回答選択肢の設定の仕方。ある年度以降の試験制度で合格した弁理士さんは十羽一絡げに優秀でないと言わんばかりの内容になっており、ツィッター上でも大変なことに。
 こんな内容では怒りを買うのは当たり前だに(しかも、キャラを問うような質問もあり、それって合格年度云々の問題じゃないんじゃね?)。
 
 アンケートの目的が見え見えだったのは、政治的なあんなことやこんなことのせいだわなーと推測できるんですが(弁理士試験合格者数を減らしたい、条約試験を復活させさせたい等)、百歩譲ってその目的を達成させるとしても、もっと違った質問の立て方ができたんじゃないだろか?
 そもそも試験テクと実務能力とは違うんだから、直結リンクさせるのは無理があるわな。合格はゴールでなくその後が勝負で、若手でも古手でも優秀な方は優秀。少なくともあいぎでは合格年度で区別したことなど一度もなく、そんな発想自体ありえんかった。

 いずれにせよ、このアンケートで若手弁理士さんの不信感を買い、おかしな雰囲気になってしまったことは間違いないようだ。そうなることはわかっていただろうに。(…え?まさか弁理士会を内部分裂させるが本当の目的だったのか?)
 
 うわぁー私らしくないこと書いちゃったよー(汗)。

 本日はこの辺で。
 次回は商標の新着審決ご紹介!次回も見てね…で、ぷちっと押してね…
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この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…

【執筆記事】
  
「知財管理」誌 VOL.60  NO.6
  (並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)

  「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
  (「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
     内容は
こちらからどうぞ

【関係事件】
 代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
 
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
 なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。

【ZIP FM Z-TIME BIZ】
 ここのフォトギャラリーになぜかわたくしが。
  見付からないよ~?→2008/07/23のところ…

※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
  このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい<(   )>
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コメント

  1. アンケートの件はまったく同感です。
    最近、ひろたさんの隠れファンになり、楽しく拝見させていただいております。
    私は2009年度合格者のひよっこなのですが、あのアンケートの露骨さには本当にびっくりしました。
    特許出願で禁止されている補正のことをいまだに「要旨変更」と言うベテラン弁理士さんを知っていますが、近年合格者よりもこういう方の方がよっぽど問題アリだと思います。

  2. こんばんは!
    Shin-5さん、コメントありがとうございました!
    青本の方ですね、存知あげております。

    そうですね、アンケートの件、本当の問題は違うところにあるのに、合格年度の相違にすり替えたところが姑息な感じですよね。

    この件で危惧しているのは、若い方から「年寄り弁理士の方が問題だろ!」という声を多く聞くことです。
    これも十羽一絡げの言い方で、年寄りでも優秀な方は優秀です。

    年齢や合格年度で差が出るわけではないですからね…。

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