商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・8条系】

昨日は東海支部の商標委員会の例会があり、3月に支部でフォーラムを開催して研究したことを発表する予定になりました。識別性と類否のハナシです。メンバーには若い方が多いので、フレッシュなフォーラムになるかな~。
東海地方の弁理士の皆さま、かなり期末な時期ですけど、是非ご参加ください!(
このブログをご覧になっているのであれば商標に興味ありますよね、そのうち案内が行くと思います。)

さて、今日は金曜日。商標の新着審決のご紹介をいたします。張り切っていってみよー!

■■■商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・8条系】

●不服2009-15480  

本願商標
指定商品:第16類に属する商品及び第41類に属する役務
「タフ\TOUGH」

引用商標1
指定商品:第9類及び第16類に属する商品

引用商標2
指定商品:第35類及び第41類に属する役務


本願商標(商願2008-14083)は引用商標1(登録第2296024号)及び引用商標2(登録第4666497号)と類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 引用商標1について『該文字は、外国語の成語ともいい得ないものであるから、特定の観念を有さない造語と認められるものである。そして、我が国においては、外国語のうちでは英語の普及率が圧倒的に高いものであるところ、欧文字で書された商標に接した者は、その発音を知らない場合であっても、一般には自己の有する英語の知識に従って、これを英語風に読もうとすると解されるものであるから、英語の「tuff」を「タフ」、「tub」を「タブ」、「tuck」を「タック」、「tug」を「タグ」のように発音する例に倣って、その構成文字より「ティーユーエフ」の称呼を生ずるとともに、「タフ」の称呼をも生ずるとみるのが相当である。したがって、引用商標1は、その構成文字に相応した「タフ」及び「ティーユーエフ」の称呼を生ずるものであり、かつ、特定の観念を生じないものである。』『してみれば、本願商標と引用商標1とは、外観において相違するものであって、観念において、引用商標1から観念が生じず、両者を比較することができないものであるとしても、両者は「タフ」の称呼を共通にする称呼上類似の商標といい得るものである。
 引用商標2について『その構成全体として、常に一体不可分のものとしてのみ観察されなければならないとすべき特段の事情は認められないものであるから、これに接する取引者、需要者は、特徴的に大きく書された「TAF」の文字部分に注目して、取引に資する場合も決して少なくないというべきである。 そして、該「TAF」の文字は、上記(1)と同様に、例えば、英語の「taff」を「タフ」、「tab」を「タブ」、「tag」を「タグ」、「tan」を「タン」のように発音する例に倣って、その構成文字より「ティーエーエフ」の称呼を生ずるとともに、「タフ」の称呼をも生ずるとみるのが相当である。 したがって、引用商標2は、「TAF」の構成文字に相応した「ティーエーエフ」の称呼のみならず、「タフ」の称呼をも生ずるものであり、かつ、該部分からは特定の観念を生じないものである。』『してみれば、本願商標と引用商標2とは、外観において相違するものであって、観念において、引用商標2の「TAF」の文字から観念が生じず、両者を比較することができないものであるとしても、両者は「タフ」の称呼を共通にする称呼上類似の商標といい得るものである。
*取引実情: 『引用商標と共通の称呼のもと、当該具体的な取引の実情の下では、称呼による取引において、商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情が認められない。

●不服2008-22973

本願商標
指定商品:第6類「ICカードリーダーを内蔵して入退室管理機能を有す建築用又は構築用の金属製専用材料,ICカードリーダーを内蔵して入退室管理機能を有す金属製建具」及び第19類「ICカードリーダーを内蔵して入退室管理機能を有す建具(金属製のものを除く)」
「ACCESSPANEL」

引用商標2
指定商品:第20類に属する商品
「アクセス\ACCESS」

本願商標(商願2007-26976)は引用商標2(登録第4688547号)と非類似と判断されました(引用商標1があったが商標権消滅)。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『本願商標は、「ACCESSPANEL」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の各文字は、いずれも同じ書体、同じ大きさ、等間隔をもって外観上まとまりよく一体的に表されているものであり、これより生ずる「アクセスパネル」の称呼もよどみなく一連に称呼されるものである。
 そして、構成中の「ACCESS」の文字部分は、…また、「PANEL」の文字部分は、…いずれも、親しまれているものであるから、本願商標は、「ACCESS」の文字と「PANEL」の文字を組み合わせたものと容易に認識、把握されるが、構成文字全体をもって親しまれた既成の観念を有するものであるとはいい難い。

 『建具と「ACCESS」の外来語である「アクセス」の語については、インターネット情報に以下の記載がある。 …、「アクセス(ACCESS)」の語は、「入り口」の意味をもって使用されているといい得るものであり、また、本願商標の構成中の「PANEL」の文字も、前記のとおり「比較的薄い大型の一枚板」を意味する平易な英語であることからすると、前記した構成からなる本願商標にあっては、「ACCESS」の文字が、自他商品の識別標識としての機能を有しないか又は極めて弱いというのが相当であるから、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるということはできない。
 そうとすれば、本願商標は、殊更「ACCESS」の文字部分を分離、抽出してこれから生じる「アクセス」の称呼及び「入り口、交通手段」等の観念をもって取引に資されるということはできない。
 そうとすると、本願商標は、前記のとおりの外観からして一連一体の固有の商標として認識、把握されるとみるのが自然である。

●不服2009-15601  

本願商標
指定商品:第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,つけづめ,つけまつ毛」
「SNOW BABY\スノーベビー」

引用商標
指定商品:第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛」等
「スノー\SNOW」

本願商標(商願2007-92433)は引用商標(登録第4487328号)と非類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 本願商標について『それぞれ同じ書体、同じ大きさで外観上全体としてまとまりよく構成されており、「SNOW(スノー)」と「BABY(ベビー)」のそれぞれの文字部分は、特に軽重の差を見いだすことができないばかりでなく、これより生ずると認められる「スノーベビー」の称呼も冗長とはいえず、よどみなく一連に称呼し得るものである。』『後半部分の「BABY」の文字は、「(通例、2歳までの)赤ん坊、赤ちゃん、乳飲み子」(前掲「小学館ランダムハウス英和大辞典第2版」)等の意味を有する語として、一般によく知られた語であって、その指定商品との関係おいて、商品の用途・品質表示として使用される場合があるとしても、かかる構成からなる本願商標は、商品の品質を具体的に表示するものとして直ちに理解、認識し得るとはいえないものと判断するのが相当である。そして、他に本願商標中の「SNOW(スノー)」の文字部分のみが、独立して自他商品の識別標識として機能し得るという特段の理由は見いだせない。
 
 なお、本願商標は4条1項16号にも該当しないと判断されました。
 『本願商標に接する取引者、需要者が、その指定商品との関係おいて「BABY(ベビー)」の文字部分より「ベビー用」の意味合いを認識する場合があるとしても、かかる構成においては商品の品質を具体的に表示するものとして直ちに理解、認識し得るとはいえないものと判断するのが相当である

●不服2009-11572  

本願商標
指定商品:第10類「カテーテル,医療用カテーテル」
「T-VAC」

引用商標
指定商品:第10類「血栓吸引用カテーテル,血栓吸引器」
「TVAC」

本願商標(商願2008-60056)は引用商標(登録第4661413号)と類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『本願商標は、前記1のとおり、「T」及び「VAC」の欧文字を「-」(ハイフン)で連結して「T-VAC」と標準文字で表してなるところ、後半の「VAC」の文字は、特定の観念をもって親しまれた語とはいえないことから、欧文字3文字からなる造語であると容易に理解、認識されるものであり、かかる構成においては、該文字をそれぞれ区切って「ブイエーシー」と発音し得るものであるから、本願商標全体として、その構成文字に相応して、「ティーブイエーシー」の称呼を生ずるものであり、そして、特定の観念は生じないものである。』『本願商標と引用商標を比較すると、本願商標と引用商標は、共に特定の観念は生じないことから、観念においては比較することができないものの、「ティーブイエーシー」の称呼を共通にし、外観においては、「-」(ハイフン)の有無が異なるのみで、「TVAC」の綴りを同一にすることから、近似した印象を与え、相紛れるおそれのある類似する商標というべきであり』『外観においても、取引者、需要者の注意を引く「TVAC」の欧文字部分は共通するものであるから、外観上の「-」(ハイフン)の有無が引用商標との称呼の同一性を凌駕する程著しく相違するものとはいい難いものであり

●不服2009-14658  

本願商標
指定商品:第5類及び第10類に属する商品

引用商標2
指定商品:第12類「車いす」を含む商品

本願商標(商願2006-45995)は引用商標2(第登録第4693972号)と非類似と判断されました(引用商標1は名義変更で同一人に)。
*商品等の類否: 『本
願商標の指定商品のうち、原査定において引用商標2の指定商品中の「車いす」との抵触を理由にされたのは、第10類「整形外科用機械器具」であるところ、これについては前記1のとおり「整形外科手術用機械器具」と補正された。
 そこで、「整形外科手術用機械器具」と「車いす」との類否について、以下、判断する。
 「整形外科手術用機械器具」は、医院又は病院で、医師・看護師等の医療従事者により、整形外科手術において使用される機械器具である。
 他方、「車いす」は、医院又は病院における使用のみならず、介護用品を取り扱う店等において一般需要者にも販売されているものであり、歩行困難な者が移動に用いるものである。
 そうとすれば、「整形外科手術用機械器具」と「車いす」とは、品質、用途、需要者の範囲等の点において異っているといえるものであるから、両商品は非類似の商品であるというべきである。
 してみれば、本願商標と引用商標2とは、商標の類否について論ずるまでもなく、指定商品において互いに抵触しないものになったと認められるものである。

●不服2009-11794  

本願商標
指定商品:第10類に属する商品
「イリス」

引用商標
指定商品:第12類「車いす」及び第18類「ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」

本願商標(商願2008-1385)は引用商標(登録第5065276号)と非類似と判断されました。
*称呼・外観・観念の認定・類否: 『
本願商標は、前記のとおり、「イリス」の文字からなるものであるから、「イリス」の称呼を生じ、「ギリシャ神話の虹の女神」の観念を生ずるものである。
 一方、引用商標は、別掲のとおり、ハート型の線書き図形と「IRIS」と容易に認識し得る欧文字を組み合わせた構成からなるところ、その構成中の欧文字部分は、「アイリス」と読まれ、「アヤメ科アヤメ属の植物」として知られる英語と認められる。
 そして、引用商標は、商標権者である「アイリスオーヤマ株式会社」が自己の業務に係る商品に使用する商標であり、また、多岐にわたる商品区分において「イリス」の文字からなる商標と区別し登録されていることからも、これに接する需要者は、その構成中の「IRIS」の部分を前記の「アヤメ科アヤメ属の植物」と認識、理解するとみるのが自然である。
 そうすると、引用商標の構成中の「IRIS」の部分からは、「アイリス」の称呼及び「アヤメ科アヤメ属の植物」の観念のみを生ずるとみるのが相当である。

本日は以上です!
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