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<平成23年(行ケ)第10174号 審決取消請求事件>(判決文はこちら)
昨日は弁理士会に出張でして、その後、全日本弁理士クライミング倶楽部の第2回定例会がAKBにて開催されました(出席者2名)。
全日本弁理士クライミング倶楽部は、ただいま部員3名(うち東海支部から1名)です。各地方から老若男女welcome、皆さまのご入会をお待ちしております。
さて、本日は、商標実務をやってらっしゃる方なら割と遭遇しがちといえるようなケースの判決をご紹介いたします。4条1項11号で拒絶審決を受けた出願人さんが原告となって提起した審決取消訴訟でございます。
■本願商標と引用商標
本願商標はこちら(指定商品:第30類「饅頭」)
引用商標はこちら(指定商品:第30類「菓子」等)
うーむ、確かに、本願商標の「炭都」は『タント』と読めるし、「饅頭」は指定商品そのまんま…
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ということで、JPOは拒絶審決を出したのでした。
■裁判所の判断
結論からいうと、裁判所は、本願商標と引用商標は非類似であると判断し、JPOの拒絶審決を取消す旨の判決を出したのでした。
裁判所が両商標を非類似とした理由を、以下にざっくりと。
○外観(判決文6頁)
本願商標が江戸文字の書体&縦1行書きであるのに対し、引用商標は大文字欧文字「TANTO」と片仮名「タント」の横二段併記であることから、裁判所は、“両商標の外観は大きく異なる”と判断しました。
○称呼(判決文6~8頁)
本願商標は、縦1行のまとまりよい外観で、各文字の書体・大きさもほぼ同一で「炭都」だけが強調された構成でないことから、裁判所は、まず『タントマンジュウ』の称呼が生じる、と判断しました。
なお、裁判所は、本願商標から『タント』の称呼が生じる可能性があるとしても、『タントマンジュウ』との称呼が生じることを否定できないとしました…
また、商品名から「饅頭,まんじゅう」を除いた部分をローマ字や片仮名で併記することが少なくないとしても、本願商標の外観の印象に照らせば「炭都」の部分が要部となることはできない、としました…
ちなみに、出願人さん(原告さん)が代表を努める任意団体の組合員が使用している商標として、饅頭の上に「炭都」と焼印している例があるようですが、歳場所は、これは例外的な場合である等として、両商標が類似するとの判断に直ちに至るものではない、としています。
○観念(判決文8頁)
裁判所は、福岡県田川市のHP等で、炭鉱で栄えた都市を意味する語として「炭都」が使用されていることに照らして、本願商標からは『炭鉱で栄えた都市にちなんだ饅頭』程度の観念が生じるとし、また、仮にそういった歴史を知らない者であったとしても、『石炭を産出する都市にちなんだ饅頭』『炭の生産をする都市にちなんだ饅頭』程度の観念が生じると認められる、と判断しました。
ちなみに、裁判所は、出願人さんが、皮の材料に竹炭を加えて皮を意図的に黒くして、石炭を連想させる外観の饅頭に「炭都饅頭」の商標を付した商品を実際に販売しているので、なおさら、この商品に接した需要者/取引者は、『炭鉱で栄えた都市にちなんだ饅頭』程度の観念を生じると用意に認めることができる、としています。
■コメント
本事案のようなケース(それほど一般的でない言葉の漢字 vs. 特定の観念を生じ得ないような欧文字/片仮名 (あるいは逆パターン))に遭遇すること結構ありませんか?
本事案みたいに審決取消訴訟まで行く元気と実績(取引実情的な)と覚悟があれば…
ちなみに、裁判所は、出願人さん(原告さん)が実際に販売している商品について、判決文の中で結構触れてますね…
本日は以上です!次回も見ていただけるならぷちっと押してくださいな(。-_-。)/
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この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…
【執筆記事】
「知財管理」誌 VOL.60 NO.6
(並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)
「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
(「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
「パテント」誌 2011.2 Vol.64
(部分意匠に関する判例研究 -類否判断を中心に- 包装用容器事件)
字数制限が厳しかったので尻切れトンボ気味ですが…
【関係事件】
代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。
【ZIP FM Z-TIME BIZ】
2008/07/23 商標の話題で出演
※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
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コメント
Unknown
こういうのよくあります。なかなか非類似認めてくれなくて苦労しますよね。
ところで”TANTO”はイタリア語で「たくさん」みたいな意味だったと思いますが、観念は生じないと認定されたのでしょうか。非ラテン系の裁判官?
Unknown
シェンムーさん、こんにちは。
はい、tanto-pocoですね(よく知らんけど)。
饅頭好きな一般ピープルが意味を知ってそうかどうかがカギでしょうか?
(敢えて触れんかった可能性も捨てきれんですね)