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今日は雨の土曜日、商標新着とはいえないぞー審決を久し振りにご紹介いたします。張り切っていってみよー!
■■■商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・8条系】
●不服2010-4968
本願商標(商願2008-101759)
指定商品:第30類「米,玄米」
引用商標
指定商品:、第30類「米,乾燥飯,強化米,人造米,米飯の缶詰,その他の米の加工品」
本願商標は引用商標と非類似と判断されました。
*本願商標の称呼・外観・観念の認定: 『一般的には、特定の意味又は特定の読みを有しない漢字にあっては、これに接する取引者、需要者は、当該商品の分野で広く親しまれている読みにならって称呼されるのが自然であるところ、本願の指定商品である「米」の分野では、「五穀米」を「ゴコクマイ」、「古代米」を「コダイマイ」、「自主流通米」を「ジシュリュウツウマイ」と称するように、「米」の文字を「マイ」と音読みで発音する傾向が認められることから、「心米」の文字は、全体として音読みで発音し、「シンマイ」の称呼を生ずるものとみるのが相当である。
さらに、本願の指定商品である「米」の分野においては、一般的に「シンマイ」と称されるのは、「今年収穫した米」を意味する「新米」であることからすれば(「広辞苑第6版」株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)、取引者及び需要者が電話取引等の口頭の手段により商品を選択する場合においては、かかる「シンマイ」(新米)と区別して、本願商標の「心米」の文字を「シン」の称呼を生ずる「心」の漢字を明確にするために、「ココロマイ」と称呼する場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
そして、観念については、その構成中の「米」の文字が、その指定商品である「米」の普通名称であることからすれば、先頭の「心」の文字に相応して、「心」の観念が生ずるものとみるのが相当である。』
*本願商標と引用商標の類否: 『本願商標は、…「心米」の漢字部分と黒色の帯状の曲線とは、共に肉太な黒色で書されており、また、一部において交錯するなど構成上も密接しており、外観上まとまり良く一体的な印象を看者に与えるとみるのが相当である。一方、引用商標は、筆文字で「神米」の漢字を縦書きしてなり、他に構成要素を有しないものであるから、両商標は、その外観において明らかな差異があり、外観上は全く別異の商標ということができる。
また、両商標は、上記のとおり、前者が「心」の観念を生じ、後者が「神に供える、洗い清めた米。饌米せんまい。」の観念を生じるものであるから、観念についても明確に異なるものである。
次に、称呼については、本願商標は、「シンマイ」の称呼又は「ココロマイ」の称呼を生ずるのに対して、引用商標は、「シンマイ」の称呼又は「カミマイ」の称呼を生ずるものであるから、両商標は、「シンマイ」の称呼において同じくするものである。しかして、本願商標と引用商標とを視覚的にとらえて取引する場合には、上記のとおり、これらの外観及び観念が明らかに相違することから、たとえ、「シンマイ」の称呼を同じくするとしても、これが観念及び外観上の差異を凌駕するほどのものとはいえないものである。また、本願商標と引用商標とを電話取引等の口頭の手段によって取引する場合においても、上記のとおり、商品「米」の取引分野における取引者、需要者の一般的な注意力からすれば、取引上一般に使用され、親しまれている「シンマイ」の読みを生ずる「新米」の語と区別するために、本願商標を「シンマイ」と称呼せずに、「ココロマイ」と称呼し、同様の理由で引用商標についても「カミマイ」と称呼することが決して少なくないというべきである。』
●不服2010-4344
本願商標(商願2009-35605)
指定役務:第37類「建築工事」等
引用商標
指定役務:第37類に属する役務
「倭の家」
本願商標は引用商標と非類似と判断されました。
*本願商標の称呼・外観・観念の認定: 『本願商標は、…顕著に表された「環の家」の文字自体は、特定の意味合いをもって親しまれた熟語とはいえないとしても、表意文字である漢字仮名交じり文字で表されている該文字に接する需要者、取引者は、その構成中の「環」の文字が、「輪の形をなすもの」等(広辞苑第六版)を意味する語であることから、「環の家」の文字部分より、「輪の形をなす家」程の意味合いを直観するものというべきである。』
*本願商標と引用商標の類否: 『…本願商標が、「[WA no IE]」及び「環の家」の各文字を併記した構成よりなるのに対し、引用商標は、「倭の家」の文字のみからなる構成であるから、両商標は、外観においては判然と区別できる差異を有するものであり、観念においては、引用商標からは、特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することができないものである。
そして、仮に引用商標から「ワノイエ」の称呼が生じ、両商標が「ワノイエ」の称呼を同じくする場合があるとしても、本願商標と引用商標における外観及び観念における相違が、称呼における類似性を凌駕しているものと判断されるから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して考察すれば、両商標を同一又は類似の役務に使用した場合においても、役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれはないものというべきであり、両商標は互いに非類似の商標とみるのが相当である。』
●異議2010-900149
本件商標(登録第5305990号)
指定商品:第6類「棒状の鉄及び鋼,棒状の建築用又は構築用の金属製専用材料,棒状の金属製金具」
「Tヘッデドバー\ティーヘッデドバー」
引用商標1
指定商品:第6類「鉄及び鋼,建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製金具」
「Tヘッドバー」
引用商標2
第6類「鉄及び鋼,建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製金具」
「T-Head-bar」
本件商標は引用商標1,2と非類似と判断されました。
*本願商標と引用商標の類否: 『…称呼を比較すると、両者は、第5音において、「デ」の音の有無に差異があるものである。そして、前者の「ティーヘッデドバー」の称呼は、第5音の「デ」の音が強く発音される音で、かつ「ティーヘッデ」「ドバー」のように二音節風に発音され、明瞭に聴取され得るのに対し、後者の「ティーヘッドバー」の称呼は、一音節でよどみなくなめらかに発音されるものである。そうとすれば、それらの差異が称呼全体に及ぼす影響は、決して小さいものということができず、両者をそれぞれ一連に称呼するも十分に聴別し得るものである。
また、本件商標と引用商標1との外観においては、本件商標が上下二段に横書きされ、引用商標1が一段に書されている差異があること、「デ」の有無の差異及び「ティー」と「T」の差異があることから外観において相紛れるおそれはないものである。さらに、本件商標と引用商標2との外観においては、その構成に顕著な差異を有するものであるから、外観において相紛れるおそれはないものである。
さらにまた、本件商標と引用各商標とは、特定の観念は生じないものであるから、観念においては比較することができない。』
●不服2010-11503
本願商標(商願2009-49410)
指定商品:第3類及び第8類に属する商品
引用商標
指定商品:第3類及び第8類に属する商品
「ナーナニーナ」
本願商標は引用商標と非類似と判断されました。
*本願商標の称呼・外観・観念の認定: 『…一般的には、特定の意味又は特定の読みを有しない欧文字にあっては、これに接する取引者、需要者は、我が国において広く親しまれているローマ字読みにならって称呼されるのが自然であるから、「na」、「nani」及び「na」の各欧文字に相応して、「ナナニナ」の称呼を生ずる一方、特定の観念は生じ得ないものとみるのが相当である。』
*本願商標と引用商標の類否: 『…本願商標から生ずる「ナナニナ」の称呼と引用商標から生ずる「ナーナニーナ」の称呼とを比較するに、両称呼は、前者が4音構成、後者が6音構成からなるところ、中間音における2つ(語頭音「ナ」の次及び「ニ」の音の次)の長音の有無の差異を有するものである。
しかして、前者の「ナナニナ」の称呼は、比較的明瞭に一音毎に明瞭に発音され、詰まった印象を与えるものであるのに対し、後者は、2つの長音を明瞭に伸ばして発音することにより、全体が平坦、かつ、滑らかに発音、聴取されるものであるから、それぞれを一連に称呼した場合は、これらの差異が称呼全体に与える影響は大きく、その語調、語感が相違し聞き誤るおそれはないというべきである。
また、両商標は、上記の構成よりみて外観においても相紛れるおそれはなく、観念については、いずれも特定の観念を生ずるものではないから、比較することができない。』
●不服2010-7680
本願商標(商願2008- 30882)
指定商品:第3類「化粧品」
「EPURA\エピュラ」
引用商標
指定商品:第3類に属する商品
「EPURER」
本願商標は引用商標と非類似と判断されました。
*引用商標1の称呼・外観・観念の認定: 『…該文字は、「(液体・気体・金属から)不純物を取り除く、純化する」等を意味し、「エピュレ」と称呼されるフランス語の成語と認められるものである。
そして、引用商標は英語の成語ではなく、また、直ちに英語風又はローマ字風に称呼することが困難であって、かつ、本願の指定商品と同一又は類似の商品である化粧品を取り扱う分野においては、商品名等にフランス語が一般に採択されている実情を併せみれば、引用商標は、「エピュレ」の称呼のみを生ずるものと判断するのが相当である。』
*本願商標と引用商標との類否: 『本願商標から生ずる「エピュラ」の称呼と引用商標から生ずる「エピュレ」の称呼とを比較すると、両者は、いずれも3音という短い音構成において、語尾の「ラ」と「レ」に差異を有するものであるから、その差異が両称呼全体に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、語調、語感が異なるものとして聴取され、彼此紛れるおそれはないものといえる。
また、本願商標と引用商標とは、本願商標が特定の観念を生じないものであるから、観念上比較できず、外観においてもそれぞれの構成からみて、明らかに相違するものである。』
No.2に続くでよ~。No.2も見ていただけるならぷちっと押してくださいな(。-_-。)/
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※左上の画像データは名古屋市さんのご好意により提供していただきました。
この記事を読んでひろた興味を持たれた方は…
【紹介記事】
知らないうちに、紹介記事を書いてくださっていました(1年近く前の講座ですが、たまたま発見しました)。
2010年9月 岐阜県立城北高等学校での講座
【執筆記事】
「知財管理」誌 VOL.60 NO.6
(並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)
「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
(「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
「パテント」誌 2011.2 Vol.64
(部分意匠に関する判例研究 -類否判断を中心に- 包装用容器事件)
字数制限が厳しかったので尻切れトンボ気味ですが…
【関係事件】
代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。
【ZIP FM Z-TIME BIZ】
2008/07/23 商標の話題で出演
※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
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