商標新着審決【2012年8月】No.2

あいぎ特許事務所であんなことやらこんなことをやったときの写真を見てもらおうと、アルバムを作ってみました。まだ少ししかアップしてないですが、これから付け足して行こうと思っていますので、よければご覧くださいー http://picasaweb.google.com/hirota.aigi

さて、今日は8月の商標新着審決ひろたセレクションご紹介No.2、類似・混同を集めてみました。張り切っていってみよー!

■■■商標新着審決【4条1項11号・10号・15号・8条系】

●不服2011-18582           
本願商標(商願2010-92221)
指定商品:第16類「鉛筆削り(電気式のものを除く。)」

引用商標(登録第458990号)
指定商品:第16類「封筒,便箋」等
ANGEL\エンゼル

本願商標は引用商標と非類似と判断されました。
*指定商品の類否: 『…本願商品は、手動で鉛筆を削る用途に使用する一般事務用具であり、主に、プラスチック、鉄等を原材料とするものであって、鉛筆削りの製造業者が生産するものである。
 他方、引用商品は、手紙を封入する用途又は手紙を書く用途に使用する紙製文房具であって、封筒、便箋の製造業者が生産するものである。
 これらより、両商品は、その生産部門、原材料、用途等において著しく相違し、また、完成品と部品との関係にないことも明らかであるから、両者に同一又は類似の商標が使用された場合において、これに接する取引者、需要者が商品の出所について誤認混同を生ずるおそれはないものとみるのが相当である。

●不服2011-19721            
本願商標(商願2010- 35026)
指定商品:第16類「紙類,伝票」

引用商標(登録第320441号)
指定商品:第2類「染料,顔料,塗装用・装飾用・印刷用又は美術用の金粉・銀粉,油絵の具,水彩絵の具,日本絵の具,媒染剤,塗料(色はく・切り粉・地の粉・砥の粉を除く。)」
O.B.C.

本願商標は引用商標と非類似と判断されました。
*指定商品の類否: 『本願商品中「紙類」は、主に紙製造業者や加工紙製造業者等によって、生産・販売される商品であり、需要者は、広く、出版・印刷等関連業者や紙製品製造業者等の紙を扱う様々な業者であって、その後、用途別に加工が施される場合があるものである。また、本願商品中の「伝票」は、会社や商店等において、金銭の出入や取引内容等を記入する用途に使用する一定の様式を備えた書類であって、主に、帳簿類製造などに携わる紙製品製造業者によって生産・販売されるものであり、会社や商店等が需要者となるものである。
 他方、引用商品は、物体に着色する目的で使用されるものであり、主に、それぞれ染料・塗料・顔料の製造業者や、油絵具製造業者・水彩絵具製造業者等の絵画用品製造業者等によって、生産・販売されるものである。そして、その需要者は、染色整理業者や塗装工事業者や絵画を描く者である。
 してみると、両商品は、その生産・販売部門、原材料、品質、用途、需要者の範囲等において著しく相違し、また、完成品と部品との関係にないことも明らかであるから、両者に同一又は類似の商標が使用された場合において、これに接する取引者、需要者が商品の出所について誤認混同を生ずるおそれはないものとみるのが相当である。

●不服2011-22868          
本願商標(商願2010- 5200)
指定商品:第9類「コンピュータソフトウェア」
YouMemo

引用商標(登録第5258632号)
指定商品・役務:第9類及び第42類に属する商品・役務
Uメモ

本願商標は引用商標と非類似と判断されました。
*商標の類否: 『…、両者は「ユウメモ」の称呼を共通にするものであるが、その外観は、一見して判然と区別し得る差異を有するものである。
次に、観念について比較すると、本願商標の構成は、「あなた」の意味を有する語として親しまれた英語「you」と「覚書、メモ」程の意味を有する英語「memo」の文字を組み合わせて一連に表したものと容易に把握されるものであり、一方、引用商標は、欧文字の一種「U」の文字と上記英語「memo」に通ずる「メモ」の片仮名を組み合わせたものと看取されるものである。そして、両者は、その構成において後半部分の「Memo」及び「メモ」の文字からともに「覚書、メモ」程の意味合いを想起させるものの、構成前半部分の「You」及び「U」の文字から生ずる「あなた」及び「欧文字の『U』」の観念が著しく異なることから、両商標の構成全体としての観念においても明らかに相違し、取引者・需要者に全く異なる印象を与えるものである。

●不服2011-23243           
本願商標(商願2010- 47043)
指定商品:第9類に属する商品
WarpNet

引用商標(登録第5058449号)
指定商品:第9類に属する商品

本願商標は引用商標と非類似と判断されました。
*商標の類否: 『…,両商標は構成全体の外観において十分に区別できるものである。
 また,本願商標と引用商標は共に特段の観念は生じないものであるから,観念については比較することができないものである。
 そうとすれば,本願商標と引用商標とは,「ワープネット」の称呼を共通にし,観念においては比較することができないとしても,外観において十分に区別できるものであるから,両商標の比較において,称呼の共通性が外観における差異を凌駕するものとはいい難く,…

●不服2011-20766          
本願商標(商願2010-43565)
指定役務:第35類「被服の小売等役務,履物の小売等役務,かばん類及び袋物の小売等役務」

引用商標1(登録第513901号の1)
指定商品:第25類「洋服」等

引用商標2(登録第2696802号)
指定商品:第25類「ベルト」等
ロイヤル

引用商標4(登録第4348006号)
指定商品:第14類「財布」等
ローヤル\ROYAL

本願商標は引用商標1,2,4と非類似と判断されました。
*商標の類否: 『…両商標の外観は,それぞれ前記(2)および(3)のとおりの構成からなるものであるから,構成全体の外観において,十分に区別できるものである。
そして,本願商標は,観念が生じないものであるのに対し,引用商標からは,「国王の,国王等に関する」程の観念を生ずるものであるから,観念については比較することができず,類似するものとはいえない。
 また,本願商標から生ずる「ロイアール」の称呼と引用商標から生ずる「ロイヤル」の称呼とは,「アール」と「ヤル」の音の相違により,十分に区別して聴取され得るものと認められる。
 本願商標から生ずる「ロイアル」の称呼と引用商標から生ずる「ロイヤル」の称呼とは,母音を同じくする「ア」と「ヤ」の音の差異であること及びその差異音が後半にあることからすれば,それぞれを一連に称呼するときは,互いに聴き誤るおそれがあるほどに類似するものである。

●不服2011-20200          
本願商標(商願2010-94507)
指定商品:第33類「福島県会津地方産の日本酒」
会津酒蔵物語」(標準文字)

引用商標(登録第2455960号)
指定商品:第33類「日本酒」等
酒蔵物語

本願商標は引用商標と非類似と判断されました。
*本願商標の認定: 『…文字全体は、同書、同大、等間隔にまとまりよく一連に書してなるものであって、これより生ずる「アイヅサカグラモノガタリ」又は、「アイヅシュゾーモノガタリ」の称呼も格別冗長なものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
 ところで、商品「日本酒」については、その取引者、需要者の間で、例えば、「秋田の酒」、「新潟の酒」のように、その産地と結び付けた表現が日常頻繁に用いられており、また、日本酒の実際の銘柄名に地名を含むものが多くあることがよく知られているものであり、これらの事実に照らして、取引者、需要者は、一般にその産地によって日本酒の味や品質に相違があるものと認識していることが推認される。
 そうとすれば、日本酒の名称に地名が含まれている場合に、通常、その地名が当該日本酒の産地名を表示しているものと認識し、かつ、その地名に着目して取引するものであるから、その地名部分は、取引者・需要者の注意を惹く部分として要部となり得るものであり、かつ、他の部分と相俟って、構成全体として自他商品識別機能を果たし得るものと認めることができる。
 そして、上記実情よりすれば、たとえ本願商標中の「会津」の文字部分が、「福島県西部、会津盆地を中心とする地方名。」を表したものであるとしても、かかる構成においては、構成中の「酒蔵物語」の文字部分のみが独立して自他商品の識別機能を果たすものとはいえず、全体をもって一体不可分のものと認識し、把握されるものというのが相当である。

●不服2011-25879          
本願商標(商願2010- 94187)
指定商品:第9類に属する商品

引用商標(登録第4959280号)
指定商品:第9類に属する商品
NANO」(標準文字)

本願商標は引用商標と非類似と判断されました。
*本願商標の認定: 『それぞれの各文字はグラデーションが施され、外観上、まとまりよく一体的に表されており、これより生ずる「ナノライティングテクノロジー」の称呼はやや冗長ではあるものの、よどみなく一連に称呼し得るものである。
 そして、本願商標構成中の「NANO」の文字は、「10億分の1を表す単位の接頭語」(広辞苑第六版)として一般に広く知られ、その指定商品を取り扱う業界において、例えば「ナノテクノロジー(nanotechnology):超微細技術」のように使用されており、また、「Lighting Technology」の文字は、「照明工学(種々の側面から考察された照明の応用及び照明を扱う科学技術分野の体系)」(JIS工業用語大辞典 第5版)の意味を有することから、構成全体として「超微細照明技術」のごとき意味合いを想起させるものである。
 してみると、本願商標は、たとえ「NANO」の文字が他の文字に比して大きく表されているとしても、その構成態様及び意味合いからすれば、構成中のいずれかの文字部分が着目され記憶されるというよりは、外観上まとまりよく表されたその構成全体として一体のものと認識、把握されると見るのが相当である。

●不服2011-6500221          
本願商標(国際登録第1035468号に係る国際商標登録出願)
指定商品:第14類「Timepieces and chronometric instruments.」

引用商標1(登録第5234857号)
指定役務:第35類「時計の小売等役務」等
ICE

引用商標2(登録第5343077号)
指定役務:第9類及び第21類に属する商品

本願商標は引用商標と類似と判断されました。
*本願商標の認定: 『…下段の「watch」の文字部分は、「腕時計、懐中時計」を意味するものであり、本願の指定商品「Timepieces and chronometric instruments.」との関係では、指定商品の品質を表すものであるから、自他商品の識別標識の機能を果たし得ないものである。
そうとすれば、自他商品の識別機能を有する文字部分は、顕著に表された上段の「ICE」の文字部分にあるというべきであるから、該「ICE」の文字部分に相応して「アイス」の称呼を生じ、「氷」の観念を生じるものである。
*引用商標2の認定: 『…上段と下段の文字はその大きさが明らかに異なることから視覚的に分離して把握されるものであって、また、全体として意味合いを有する等これらを常に一体的に把握しなければならない特段の理由を見出せないから、上段の文字部分も独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものである。
そうすると、該「ICE」の文字部分に相応して、「アイス」の称呼を生じ、「氷」の観念を生じるものである。

●不服2009-4593          
本願商標(商願2008-32392)
指定商品:第7類「空気圧式手持ボルト締付工具」

引用商標(登録第2146780号)
指定役務:第6類、第7類、第8類、第9類、第11類、第12類、第15類、第16類、第17類、第19類、第20類、第21類、第26類及び第28類に属する商品
FLIP

本願商標は引用商標と類似と判断されました。
*本願商標の認定: 『…「FLip」の欧文字部分と「GUN」の欧文字部分とは、上記のとおり、その表示方法において著しい差異を有するものであり、また、前者が「フリップ」の読み及び「・・・をひょいと動かす。・・・をつめ[指]ではじく。」の意味を有する英語「flip」に通ずるものである一方、後者が「ガン」の読み及び「拳銃、ピストル」の意味を有する英語「gun」に通ずるものであって、その全体をもって直ちに特定の意味合いを表したものとして理解されるとはいい難いことをも併せ考慮すれば、両者の結びつきの程度は、さほど強いものではないというのが相当である。』
『…商品「手持工具」を取り扱う業界においては、その用途や使用方法に応じて、様々な形状のものが製造、販売されているところ、そのような形状の中には、別掲3に示すとおり、作動部の下部にグリップ部を設け、その全体形状が拳銃やピストルに似た構造からなるものがあり、このような形状からなる商品であることを表示する語として、「ガンタイプ」や「ピストルタイプ(形)」の語が一般に用いられているというのが実情である。
…本願商標を構成する「FLip」の欧文字と「GUN」の欧文字とは「-」(ハイフン)を用いて結合されているものの、その結びつきの程度はさほど強いものではなく、また、該「GUN」の文字は、「拳銃、ピストル」の意味を有する英語として理解され得るものであるところ、本願の指定商品に係る商品分野においては、その形状表示として「ガンタイプ」の語が一般に用いられていることに照らせば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該「GUN」の文字が該「FLip」の文字とは別異の特徴のない書体をもって表されていることと相まって、該「GUN」の文字が商品形状(商品が拳銃(ピストル)に似た形状であること)を表したものと認識し、これを捨象して、特異な表示方法からなる「FLip」の文字に着目する場合も決して少なくないというのが相当である。

●不服2011-25841          
本願商標(商願2009- 33837)
指定商品:第3類「香水類,化粧品」

引用商標(登録第646523号)
指定商品:第3類及び第30類に属する商品
PLAY BOY\プレイ ボーイ

本願商標は引用商標と非類似と判断されました。
*本願商標の認定: 『…前記文字と図形は、請求人が商品「雑誌、洋服、アクセサリー」などについて使用し、請求人の業務に係る商品であることを表すものとして、取引者、需要者に広く認識されているものであるから、該文字と図形からなる本願商標は、「(請求人のブランドとしての)プレイボーイ」の観念が生じるものというのが相当である。
*商標の類否: 『…両者は、図形の有無において外観が著しく相違し、「プレイボーイ」の称呼を共通にするとしても、観念が明らかに異なるものである。

●無効2011-8900738         
本件商標(登録第5390973号)
指定商品:第30類「ごま塩,食塩,セロリーソルト,調味料用岩塩,塩を主成分としハーブやスパイスをミックスした調味料」
天使の塩

引用商標1(登録第4278662号)
指定商品:第29類、第30類、第31類に属する商品
てんし

引用商標2(登録第5137596号)
指定商品:第30類「食酢」等
天使の酢

本願商標は引用商標1,2と指定商品が非類似であるため類似せず、4条1項15号にも該当しないと判断されました。
*「エンゼルマーク」、「天使」及び「エンゼル」の文字からなる商標の著名性: 『…今日の我が国において、「天使」、「エンゼル」の語や、格別に特徴的な要素を有しない天使をモチーフにした図柄は、さほど珍しいものではなく、これらを題材とした商標は、むしろありふれたものの部類に属する商標というのが相当であること、例えば、「エンゼルパイ」などのように、「エンゼル」の文字を含む商標が使用される請求人商品には、必ず著名な「エンゼルマーク」が付されていること、請求人が行う社会貢献活動等に、「エンゼル」ないし「天使」の語を一部に含む文字が使用されている事実が認められるものの、これらは、請求人の業務に係る商品等とは関連性を有しないこと、などを勘案すれば、請求人の使用する「エンゼル」ないし「天使」の文字からなる商標は、「エンゼルマーク」から派生した付随的な商標といった程度の認識にとどまるものというべきであって、「エンゼルマーク」から切り離して、「エンゼル」ないし「天使」の文字からなる商標それ自体は、需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができない。

●異議2011-900268         
本件商標(登録第5407822号)
指定商品:第12類「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」

エンブレム1

エンブレム2

本願商標は4条1項15号に該当せず登録を維持すべきと判断されました。
*商標の類否: 『…両者は動物が四肢を開脚して左横向きに後ろ足で起立した姿態図形を表したものであることを共通にするものといえるが、本件商標は2本の足が胴体部分から離れ、頭部も上を向き、口を開け吠えているような印象を与えるのに対し、引用標章は、一筆書き風に輪郭線で表された構成若しくはシルエットで表された構成からなり、ともに前足2本を前に出し、歩き出そうとする印象を与えるものであり、両者は、全体としての構図・表現が明らかに相違するものというべきであって、これらから受ける印象を全く異にするといわざるを得ないから、対比してみれば、明らかに相違するものとして区別し得るものであり、また、時と所を異にした場合においても、異なる印象のものとして看取され、記憶されるというのが相当であって、彼此相紛らわしいものとは認められない。

本日は以上です!次回も見ていただけるならぷちっと押してくださいな(。-_-。)/
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【執筆記事】
  
  「知財管理」誌 VOL.62 NO.3
  (外部向け企業活動の名称に関する検討・考察(商標法第4条第1項第7号を中心として -「出版大学」審決取消請求訴訟事件-)
 
  「知財管理」誌 
VOL.60  NO.6
  (並行輸入と商標権侵害 -並行輸入の抗弁における「同一人性の要件」及び「品質管理性の要件」-)

  「知財産管理」誌 VOL.58 NO.5
  (「腸能力」審決取消請求事件(平成19年(行ケ)第10042号 審決取消請求事件)
 
  
「パテント」誌 2011.2 Vol.64
(部分意匠に関する判例研究 -類否判断を中心に- 包装用容器事件)
  字数制限が厳しかったので尻切れトンボ気味ですが…

【関係事件】
 代理人になった事件です。負けたのでご紹介するのをためらっておりましたが、思い切って…。
 
平成18年(行ケ)第10367号審決取消請求事件
 なお、牛木理一先生のHPで紹介いただいているので(「特許ニュース」2007年6月29日号の記事です)、そちらも併せてご覧ください~(こちらのB-27の項です)。

【紹介記事】
  知らないうちに、紹介記事を書いてくださっていました(かなり前の講座ですが、たまたま発見しました)。
  
2010年9月 岐阜県立城北高等学校での講座

【ZIP FM Z-TIME BIZ】
 2008/07/23 商標の話題で出演

※注意!弁理士さんや知財部門のご担当など、クロートの方へ!
  このブログでは、わかりやすくするために、正確でない表現を使ったり、はしょったり、大雑把にしてたり、…等々してますが、目くじら立てずに見逃して下さい
   また、判例・新着審決・最近の話題は、“ホットなうちに”スピード重視でご紹介しておりますので、読み間違い・勘間違い・理解間違い・論点見逃しがある かもしれません。さらに、原文が外国語のものも、読み間違い・勘間違い・理解間違い・論点見逃しがあるかもしれません。 疑問を感じられたらご一報いただ けるとありがたく存じます

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