先週の木曜日と金曜日の二日間、名古屋で開催された商標協会年次大会出席しました。年次大会を含め商標協会の行事に参加するのはこれで2回目です(部会などは東京・大阪でしか行われないので、行けないのです(ToT))。
一日目は懇親会から出席しました。
最初の特許庁の方のご挨拶で、例の大量出願問題につき「登録しません」と明言されておられたことが印象的でした。心強いですね。(ちょうどこの日、JPO長官が同主旨のことをインタビューで答えていたようです。)
また、懇親会では、色んな方からお声掛けていただきましてありがとうございました。「ブログ見てます」と仰られたびに身の縮む思いですが(←なんで?)。それでも、このアホブログを続けていてよかったなーと、つくづく思います。最近は諸々の事情でまともな記事を書けていませんので、もう少し頑張らねばなーと改めて思った次第です(んが、ニワトリみたいに三歩いたら忘れるかも。どなたかreminder送ってください汗)。
懇親会の後は、大阪の弁理士さんたちと飲みに行き、鉄板の名古屋名物ご案内いたしました(その様子はこちらで)。
二日目は一日中がっつり研修です。
研修のテーマは、ズバリ「商標の類否」。「類否判断はどうあるべきか?」という、どどーんと真正面のテーマを、午前の講義と午後のパネルディスカッションとの二本立てで。
午前中の講義は松田治躬先生が講師でした。諸事情で最前列の真ん中という特等席に座れました(^-^; 商標の類似と混同の関係などにつき、熱い口調でご明弁されておられました(松田先生の有名な論文はこちら「「氷山事件」は怒っている」「【続】「氷山事件」は怒っている」)。
午後は、こちらの4人のパネリストの方による、類否についてのディスカッション。飯村元判事vs松田先生 の熱いやりとりを見れるかな?と思いきや、香原先生の素晴らしい采配&ちょーぜつ絶妙なまとめにより(←誉め言葉です)、ディスカッションが軽快に進み、聞く側の理解が深まったと思います。
氷山事件を踏まえてのパネリストの皆さんのご意見は大いに参考になりました。自分としては「混同しないけど類似する」てあるの?って疑問に思っていて、混同も類似の一要素になるように思うので、山田先生の考え方と似とるかな。
ただ、取引実情について、出願人や引用商標権者の’現状の’販売形態などを取引実情として考慮するのは、正直、「まー今はそーかもしれんけど、来年どうなっとるかわからんに?」と思うことが。弊所のお客さんを考えましても、担当者さんが変わったりすると、いつの間にやら事情も変わったりして(同じようなことを本田先生が仰られたときは、深く頷きました)。
この日は研修後に、大阪の弁理士さんたち・名古屋の商標女子と一緒に、室内ボルダリングに行きました。
とっても楽しかったです!またご一緒しましょう~
(Sei Saitoさんに撮っていただきました。滅多に見られない自分の登り…(初心者グレードですが))
https://www.facebook.com/sei.saito.58/videos/pcb.10154435673804299/10154435656714299/?type=3&theater
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ところで、’現状の’取引実情を主張しなければ登録にならない商標は、ぶっちゃけ結構近い商標のことが多いと思います。その他にも、類似群コードの違いを頼りにすれば、隣接的な商品役務で登録できちゃうこともあります。
でも、距離が近い商標(商標自体が近い、商品役務が近い、いずれも)をギリギリ登録しても、実際の使用態様の変更や使用商品役務の拡充によって、知らんうちに引用商標の禁止権に入ったり、ときには取消審判対象になったりする可能性がありますよね。結果的に危ない事態を招きかねないので、本当なら、できればお客さんに再考を促したいですが、色々事情があったりして難しいことも…。
”距離が近い”という点で、気になる事例をいくつか。
●「ブロマガ」
FC2さんの「ブロマガ」サービスは、有料ブログ記事を購読・販売できるサービス(ホリエモンのブログ記事とか購読できる)。一方、ドワンドさんの「ブロマガ」サービスは、有料会員や著名人等が書いたブログ記事をメールで配信するサービス。いずれもブログ絡みのサービスという点では共通していますね。
FC2さんもドワンゴさんも「ブロマガ」登録商標をいくつか持っているのですが、第42類では、FC2さんが先に出願していて、「インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与」等が指定されています。一方、ドワンゴさんの登録商標では、第42類では「ブロマガ」サービスとは直接関係なさそうな役務が指定されていますが、第9類の「コンピュータプログラム」等も指定されています(類似商品役務審査基準では第42類の「電子計算機用プログラム提供」と推定類似ですね)。この辺り少々錯綜しとります。
※ちなみに、FC2さんは第42類で「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供」等を指定していた登録商標を持っていたのですが、ドワンゴさんの別の登録商標(第9類「電子計算機用プログラム」指定)を引用した無効審判→審決取消訴訟によって無効となった経緯があります。
で、最近のニュースで、FC2さんが、上記第42類指定の登録商標をもって、ドワンゴさんを相手どって商標権侵害訴訟を提起した、ということが話題となりました。ドワンゴさんの「ブロマガ」サービスのトップページのHTMLファイルに、
ちなみに、ブロマガ商標については、ここ数年にわたり、両社の間で攻防がなされてきたようです。
この件について詳しくは「IPFbiz」の解説記事で~。
●「モンシュシュ」(H23(ネ)2238、H24(ネ)293)
これも有名になった事件でした。ゴンチャロフさんがモンシェール(旧モンシュシュ)さんを相手どって商標権侵害訴訟を提起したところ、差止めと損害賠償が認められた事案です。
ゴンチャロフさんの登録商標「MONCHOUCHOU\モンシュシュ」では、第30類の「菓子及びパン」が指定されていました(1981年に登録された息の長い登録商標です)。一方、モンシェールさんは、第43類の「ケーキ又は菓子を主とする飲食物の提供」について、「MONCHOUCHOU\モンシュシュ」商標を登録しました。
でも、モンシェールさんの「MONCHOUCHOU」「モンシュシュ」等の商標の使い方が、「菓子」についての使用に該当するものもある、と判断されて、差止めと損害賠償が認められたのでした。
ちなみに、ゴンチャロフさんは、モンシェールさんのモンシュシュ商標の使用について、モンシェールさん交渉していたようですが、話し合いがつかなかったようです。モンシェールさんがそのまま使い続けてたので、提訴に至った、というところなのでしょうか。
●「軽井沢浅間高原ビール」(H26(行ケ)10112)
「軽井沢浅間高原ビール」の商標権者さんは、ビールの缶等の表示を、「軽井沢」「浅間高原」「ビール」と三段とし、中段の「浅間高原」をかなり小さくしていました。このため、一見すると「軽井沢」「ビール」に見えてしまうような態様となっていました。
この表示が、地元で周知の「軽井沢高原ビール」と混同するとして(4条1項15号)、「軽井沢浅間高原ビール」の商標登録は無効とされてしまった事案でした。
ちなみに、「軽井沢浅間高原ビール」は、拒絶査定不服審判までいって登録したものでした…
その他にも気になる事件がありますが、別の機会(セミナーなど)にてご紹介いたします~
今日はこれでおしまい!
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