ここでいう「デザイン」は、カタチ等のデザイン(知財でいうところの「意匠」)、意味のデザイン(意味のイノベーション)、ビジネスモデル等の仕組みのデザイン、顧客提供価値のデザイン…等、いろんな「デザイン」を意味します。
このシリーズでは、こういった「デザイン」がどのような知財で守られているか?を ごく興味本位で検索し、その知財がいかに活用されているか?を あくまで独断で考察してみたいと思います。
コロナ禍がおさまらず愛知県は独自の緊急事態宣言を出し、東海3県を超えての移動を控えるように言われております。はやくおさまって、心置きなく高いところに登りたいなぁ…と、自称へたれクライマーは思うわけです。
高いところというのは、例えば、
沢とか、
岩とか、
氷とか、
名古屋城の石垣とか(種々問題あるため写真は無し)。
ところで、山屋さんのギアやウェアに対する要求は、”過酷な条件でも機能すること” かつ “Fast&Lightをできるだけ叶えてくれること” というめんどくさい感じで、この要求を満たすためにハイテクが使われることも多いです。
また、最近は、”山ガール”(←ブーム去った?)に代表されるように、おシャレ感もないと売れなさそう。山道具とはいえ、デザインやブランディングも大切です。
うーん。
となると、山道具も、特許や意匠や商標などの知財と切っても切れなさそうだね…
というわけで、今回は、国内のアウトドアブランドのうち、自社開発・販売している企業さんの中から、軟・中・硬 の路線をそれぞれ代表する3社を選んで、どれくらい知財の出願をしているか?を見てみます。
なお、今回は出願数を概観するだけで、個々の知財の内容等には触れておりませんので、悪しからず…。
わたしは山を始める前はバイクに乗っていたのですが、「スノーピーク」は、ツーリング途中でキャンプ場に泊まるときに使う道具のブランド、というイメージでした。現社長さんが入社されて、登山用品からキャンプのブランドにリニューアルされた後くらいです。そのころはキャンプも今みたいにブームではなくて、お金がないライダー・チャリダーが宿に泊まれずやむなくキャンプしてた、みたいな感じだったような。
創業は1958年に先代社長がされたそうですが、その4年後にはすでに「Snow Peak」(登録0626721)を商標出願しています。思い入れがある名前なんですね。
出願数は年によってバラつきがあるようで、「スノーピーク」に社名変更する前の年に固め出しししているのは興味深いです。
また、近年は特許出願数が減少傾向で、商標出願が増加傾向になっていて、特にリーマンショック後は商標出願数が概ね2桁になっていますが、この辺りから今の方向のブランディングに力を入れだしたのでしょうか。
わたしが山を始めた1990年代後半(年がバレる?)は「ZERO POINT」というブランドの製品を使ってる山屋さんが多かったです。質実剛健系のブランドでした。
成功のカギは、一番数の多い中道層をターゲットにしたことだと思います(意図的にしてるわけじゃないかもしれませんが汗)。
単純に売上高と従業員数だけ見ると、スノーピークさんより出願数が多くてもおかしくないように思いますが、そうはなっていないようですね。この辺りは詳細に分析したらなにか見えてくるでしょうか(分析屋さんでないのでやれんけど)。
ちなみに、創業より前に商標出願がありますが、これは「岳人」という他社が発行していた雑誌の名前です。2014年にモンベルさんが「岳人」を発行することになったため、権利移転したのだと思います(モンベルさんが発行元になって、中道層ターゲットに路線変更した感じの内容になりました…)。
面白いのは、パタゴニアと販売提携した4年間は、1件も特許出願をしていないことです。製品開発より販売に力を入れてたのかなぁ。
なお、固め出ししている年になにがあったのかなぁと沿革を見てみましたが、パッと見ではいまいちわかりませんでした(出願内容を照らし合わせて調べたら見えるかもしれませんが)。
以上、モンベルさんの知財出願状況について概観しました。
最後はファイントラックさんです。ファイントラックさんは創業2004年とのことで、その頃のことを覚えてますが、最初は 沢のぼらー(沢登り愛好家)の間で口コミ的に製品が広まっていたように記憶しています(ちなみに、ダンナの友人が社員さんだった)。
スケスケの超速乾性&撥水性の下着が、わりに衝撃的でした。
ファイントラックさんは、沢のぼらーをはじめ、わりにハードコアな山屋さんをターゲットにして、「狭く深く」な商品開発をされているように思います。イメージ的に、あくなき探求心から生まれた山のハイテク製品(笑)。なので、「硬」路線 代表 として選ばしてもらいました。
では、ファイントラックさんの知財出願状況を見てみます。
(上場してないこともあり、売上高のデータが取れませんでした汗)
こちらも、創業より前に商標出願がありますが、これは「DRY LAYER」というファイントラックさんのコアともいっていい機能?名称で、他社から権利を譲り受けているようです。
ハイテク製品のイメージですが、意外にも特許出願をコンスタントにし始めたのは2010年以降なんですね。従業員数からすると、しっかり知財で抑えるべきものを選んで出願しているという感じでしょうか?
以上、ファイントラックさんの知財出願状況について概観しました。
今回は、一番取りやすく・把握しやすい基本情報として、出願数を見てみました。
商品群・ブランド、売り上げ規模・伸び、従業者数 と、出願数との関係がなんとなくイメージできる目安参考程度にはなりますでしょうか。
ここからさらにデータを深堀りして分析するといろいろ見えてくると思いますが、これでおなか一杯になってしまった…汗
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