あいぎ特許事務所が発行している「AIGI MAGAZINE」は「パテントの小部屋」「ブランドの小部屋」「知財お役立ち小ネタ」の3本立て。そのうち「ブランドの小部屋」の記事を、1ヶ月遅れで掲載いたします。
「ブランドの小部屋」は、ブランドに関わる商標や意匠等の制度について、小ネタとして、わかりやすくお伝えしてくシリーズです。
商標では、商標となる「名称・マーク等」と、その名称・マーク等を使う「商品・サービス(役務)」とを、セットで考える必要があります。
つまり、
・商標登録は、「名称・マーク等」を使う「商品・役務」を指定して行います。
・商標権は、指定した「商品・(役務)」の範囲で与えられ、さらに、その「商品・役務」と類似する商品・サービス(役務)の範囲まで他者の使用を禁止できる、というものです。
例(架空の登録商標です)
「AIGI」という商品名の「寿司」と、「寿司」に類似する商品(グレー部分)に、権利が及ぶ。
上記以外の範囲は、原則として、他社にオープンになっています。
なので、同じ 「名称・マーク等」であっても、全く異なるジャンルの「商品・役務」であれば、他人が商標登録できてしまいます。
出願のときに適切な商品・役務を指定しなかったために、他者に入りこまれて、後々トラブルになり、裁判にまで発展するということがあります。
以下の「蛸焼工房事件」(平成31年(ワ)第784号)もそういった事例です。
被告さんは、先に「蛸焼工房」を商標登録してたけど、その商標登録ではサービス「飲食物の提供」(イートイン)だけ指定して、商品「たこ焼き」(テイクアウト)は指定していませんでした。つまり、商品「たこ焼き」の範囲は他者にオープンになっていました。
なので、原告さんは、後から「たこ焼き工房」という商標を、商品「たこ焼き」を指定して商標登録しました。
こういった状況で、被告さんは商品「たこ焼き」をテイクアウト販売したため、原告さんの商標権を侵害すると認められてしまった…という事例です。
また、他の事例として、出願のときに適切な商品・役務を指定したつもりだけど、実はちゃんとできていなかったケースもときどき見かけます。
特に、近年出てきた新しい商品・役務は、どのように指定していいのか、直ちにはわかりづらいものが多いです。本来指定すべき範囲とずれてしまうと、後からトラブルが生じかねません。
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