IT関係の商標:こちらの国でもあちらの国でも

 ドラゴンズ、やっと勝ったけどヒヤヒヤでしたね…。
 最近は夜中のダイジェスト版しか見てないです。胃に悪いので。

 さて、昨日の続きです。
 昨日はこんなコトを話題にしてました。
 
 商標Xを日本で取得した商標権者がいるとして、

 (1-1)被疑侵害者のサーバーが外国にあって、そこに設けた日本語ウェブページで商標Xを表示している、
 (1-2)商標権者のサーバーが外国にあって、そこに設けた日本語ウェブページで商標Xを表示している
 という場合、
 (1-1)は、商標Xの商標権侵害になる?
 (1-2)は、商標Xの“不使用”に該当する?
 
 (2-1)被疑侵害者のサーバーが日本にあって、そこに設けたヒンドゥ語ウェブページで商標Xを表示している、
 (2-2)商標権者のサーバーが日本にあって、そこに設けたヒンドゥ語ウェブページで商標Xを表示している、
 という場合、
 (2-1)は、商標Xの商標権侵害になる?
 (2-2)は、商標Xの“不使用”に該当する?

 まず、商標権侵害になるかどうか、について((1-1)、(2-1)のケース)。

 実は、こんな風に国境をまたいだケースで商標権侵害になるかについては、まだ裁判例がないです(多分。あったらすみません)。

 ただ、
 『商標の使用によって、その国において商業的な効果を有する場合は、その国の法律でいう「使用」とみなす』
 といった内容の、ネット上の商標権侵害に関する国際的な勧告が出されています(2001年WIPO共同勧告)。

 また、米国なんかでは、ユーザが米国からアクセスできれば米国内の問題として取り扱って、あとは商標法の「使用」に該当するかどうかで判断するようです。
 
 そんな傾向を踏まえれば、
 
 (1-1)は、被疑侵害者の商標Xの表示が「使用」に該当すれば商標権侵害に問えるかもしれませんね。
 
 でも、
 (2-1)は微妙ですね。日本のユーザ相手とは思えませんので。
 もしインドで同じ商標Xを登録している商標権者がいたら、インドでの商標権侵害に問われるかも?
 逆に、使用しているのが日本の商標Xの商標権者自身だったら、ヒンドゥ語のサイトで使用することにbad faithがあるかないかが問題とされるかもしれません。

 次に、“不使用”に該当するか否か、について((1-2)、(2-2)のケース)。
 
 商標権侵害と同じような考え方をすれば、
 (1-2)についても、日本語ウェブページで表示していれば「使用」と見なされて“不使用”には該当しないかも?
 そして(2-2)については、“不使用”とされるおそれありかも?
 
 ちなみに、サーバが外国にあって、しかもウェブページが外国語だったため、そのページで商標を表示した事実があっても日本国内では“不使用”に該当する、とされた裁判例はあります(平成17年(行ケ)第10095号)。

 
 ということで、以上をまとめると、
 商標権侵害の問題でも、不使用の問題でも、
 『(物理的な情報発信場所というより)どこの国のユーザーを対象としているか』、
 がポイントになりそうですか?

 そうかもね、と思われた方、ぷちっと押していただけると嬉しいです
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