伏見の竜馬

<平成13年(行ケ)第122号審決取消請求事件>(判決文はこちら

 また酒と地名の商標のハナシを一つ。
 
 んーと、世間では坂本竜馬がブームなんですよね?(大河ドラマ、殆ど見たことないのですみません…)それにあやかったわけではありませんが、「竜馬」関連の商標のハナシです。

 まず、本事件に至った経緯を。

 商標「伏見の竜馬」、指定商品第33類「日本酒」の本願商標が、4条1項11号に該当するとして拒絶査定を受けました。
 
 引用商標は、A)商標「竜馬」、指定商品旧第28類「酒類」の登録第2406288号(現在は権利消滅)と、B)商標「龍馬」、指定商品旧第28類「酒類」(現在は第32類「日本酒」など)の登録第2406289号です。

 出願人は拒絶査定の不服審判を請求したのですが、その審決では、本願がこのように判断されました。
 『本願商標は、「伏見の竜馬」の文字を表示してなるものであるところ、その文字全体として特定の意味を有する熟語ではないことから、単に「伏見の」及び「竜馬」の語を結合した商標と認識されるものであって、他にこれを一体不可分のものとしてのみ把握しなければならないとする格別の理由はないものと認める。
 しかして、その構成中、前半の「伏見」の文字部分は、灘と並ぶ清酒の産地である京都市南端の地区名であって、日本酒を取り扱う業界のみならず、一般的にも、その産地として周知、著名であるものと認める。
 そのことは、平成元年12月22日株式会社講談社発行の「カラー版日本語大辞典」及び株式会社三省堂発行の「大辞林」における「伏見」の項の記載からも容易に認められるところである。
 そうとすると、本願商標をその指定商品「日本酒」に使用した場合、これに接する取引者、需要者にあっては、前半の「伏見の」の文字部分を単に「伏見で生産され若しくは販売されたものであること」、すなわち、商品の産地、販売地を表示するにすぎないものと認識し、後半の「竜馬」の文字部分を自他商品の識別機能を果たすものと理解し、これより生ずる「リョウマ」の称呼をもって取引に当たることも決して少なくないものと判断するのが相当である。

 
 京都伏見といえば、月桂冠さんや宝酒造さんなど、有名な銘柄も多いですよね。確かに、日本酒の産地としては周知、著名でございます(ずびっ)

 そんなわけで、審決でも、本願商標は引用商標A)B)と類似とされ、拒絶査定は取消されませんでした。
 
 それで、この審決を取消すべく、本願の出願人が原告となって提起したのが、本事件でございます。
 
 で、本判決ではどのような判断がなされたかというと…
 
 また次回。
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