今度は、改訂意匠審査基準についてのあれやこれや

バタバタしているうちにあっという間にGWが終わろうとしています。
今年は3日間お休みできて春山に登ってきました。
天気良くて最高でした!
を、お届けいたします。
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さて、4月に改訂商標審査基準についてあれやこれやを書きましたので、5月は改訂意匠審査基準についてあれやこれやを書きたいと思います。
「遅いわ!」
という突っ込みなしでお願いします☆
(と言っても、実はJPOの説明会に出ていないので、理解間違いがあったらご指摘くださいませ…)

意匠の審査基準といえば、昨年、画像デザインの項で、わりに大きな改訂があったことが、記憶に新しいところです。
(昨年の改訂についてはこちら→ http://aigipat.com/tm/?p=2737
ちなみに、この改訂を受けて改訂された「…願書及び図面等の記載の手引き」はこちら→  http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/zumen_guideline_kaitei.htm

今回は、意匠制度の利便性向上に係る改訂として、意匠審査基準の下記の項が改訂されています。
(1)第1部第2章「意匠登録出願に係る意匠の認定」
(2)第2部第1章「工業上利用することができる意匠」
(3)第3部「新規性の喪失の例外」
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/ishou_ribensei_kaitei.htm

一つずつ順番に見ていきたいと思います。

(1)第1部第2章「意匠登録出願に係る意匠の認定」
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/isyou-shinsa_kijun/4.pdf

“参考図”の取り扱いが明記されました。
一組の図面等と異なる形状、模様又は色彩を表した”参考図”については、出願意匠の形態の認定において、異なる要素そのものを考慮しない、との旨が表されています。
 
JPOの”寄せられた御意見に対する考え方“によると、
「一組の図面と異なる意匠を表した参考図が提出されても、それにより、意匠が具体的でないとの拒絶理由の対象としないことを明記」したとのことです。
 
 
(2)第2部第1章「工業上利用することができる意匠」
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/isyou-shinsa_kijun/5.pdf

願書及び図面の記載要件が緩和されました。具体的には、以下の内容です。
・21.1.2 形状を特定するための線、点等の説明の取り扱い
 立体表面の形状を特定するための「陰」を表す線、点等について、それが「陰」を表すことが明らかであれば「意匠の説明」の欄の記載を省略してもOK、との改訂です。
 国際意匠登録出願など、特に外国から入ってくる意匠図面には細線や点等で立体表面の形状を表しているものが多く、それを考慮しての改訂です。
・21.1.2 CG図における陰の説明の取り扱い
 こちらもCG図の明度変化が「陰」を表すことが明らかであれば「意匠の説明」の欄の記載を省略してもOK、との改訂です。
 CG図が既にユーザー間で十分定着しており、かつ、CG図の技術が発達して写真と見紛う画質のものも多く、これを考慮しての改訂です。
・21.1.2 CG図における背景の彩色の説明の取り扱い
 背景の彩色が「背景」であることが明らかであれば「意匠の説明」の欄の記載を省略してもOK、との改訂です。
 こちらもCG図が既にユーザー間で十分定着している等の理由による改訂です。
 
 
(3)第3部「新規性の喪失の例外」
https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/isyou-shinsa_kijun/9.pdf

i)新規性喪失の例外規定の適用要件の記載を簡潔化
 おそらく説明会で詳細な説明があったと思われますが、かなり記載が簡潔化されています。
 ざっと見て、特に通常の実務で気になっていた点として、以下が改訂されているようです。
・公開時の意匠登録を受ける権利を有する者と出願人とが相違する場合、改訂前の審査基準では「意匠登録を受ける権利が当該出願人に承継されている事実が明示されると共に証明される必要がある。」とされていたのに対し、改訂後の審査基準ではその部分が削除されています。
 創作者と公開者が同一で出願人が異なる場合、実務上は既に、創作者と出願人が願書に記載されていることで確認できるとして証明書の提出は不要となっていましたので、それに応じた改訂、ということでしょうか。
 
ii)証明書面に基づく4(2)適用の判断手順を明記
 審査基準に明示された所定の書式と同程度の内容が記載された証明書面が提出されれば、原則として、4(2)の適用を認めるような記載ぶりとなっています。
 ここで実務上で特に目に付いたのは、「出願人」自身の署名・捺印でもOKと正式に認められるようになったことです。ひろた の記録によれば、2013年頃既に特許の証明書面では「出願人」自身の署名・捺印でもOKだったのに、意匠は建前上、第三者証明が必要でした(ただし、実務上は、「出願人」証明でも受け入れられていましたが…)。今回の改訂で、意匠も”正式に”「出願人」証明でもOK、ということになったのかな。
 なお、4(2)の適用を認めずOAを出した場合は、証明書面に記載された事項と意見書等の主張を併せて考慮して、証明がなされたか否かを再判断する、とされています。
  
iii)同一の意匠が複数回にわたり公開された場合の取り扱いを明記
 同一の意匠が複数回にわたり公開された場合の取り扱いについて、ここいらに記載されていたこと等が、さらにわかり易く例示とともに明記されました。

iv)出願意匠と異なる意匠を公開した場合の取り扱いを明記
 出願意匠と異なる意匠を公開した場合の取り扱いについて、ここいらに記載されていたこと等が、わかり易く図式とともに明記されました。

v)4(1)と4(2)の記載の統一
 4(1)と4(2)の記載が統一されてわかり易くなっています。
 
 
以上、ひろたが気づいた改訂点でございました(大事な項目で漏れがあることに気付いた方はご指摘いただけるとありがたいです)。
 
今日はこれでおしまい!
 

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