特許法条約(PLT)への加入に伴い導入された手続の概要
- 2016.04.05
PLT(特許法条約(Patent Law Treaty))の規定を担保する規定を含む「特許法等の一部を改正する法律(平成27年法律第55号)」が平成28年4月1日に施行されました。
PLTへの加入に伴い導入される手続の概要は以下のとおりです。
(1)出願日認定要件の明確化及び手続の補完(特許法第38条の2)
特許出願の出願日について、特許法において、その認定要件が明確化されます。出願日の認定要件を満たさない場合には、手続の補完が可能になります。
(2)先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による特許出願(特許法第38条の3)
特許出願の願書に明細書を添付しなくても、一定条件の下、出願日が認定される制度が導入されます。
(3)明細書又は図面の記載の一部欠落の補完(特許法第38条の4)
特許出願の願書に添付した明細書又は図面の記載の一部が欠けているときは、それを補完することができる制度が導入されます。
(4)指定期間の救済(特許法第5条第3項)
特許法の規定による指定期間を経過した後でも、一定期間内に限り、当該期間の延長請求が可能になります。
(5)外国語書面出願の翻訳文の提出期間経過後の通知(特許法第36条の2第3項及び第4項)
外国語書面出願の翻訳文提出期間の経過後も、一定期間内に限り、その提出が可能になります。
(6)優先権証明書の提出期間経過後の通知(特許法第43条第6項及び第7項)
パリ条約による優先権主張を伴う特許出願について、優先権証明書の提出期間の経過後も、一定期間内に限り、その提出が可能になります。
※実用新案登録出願についても同様の手続が導入されます(特許法の規定を準用)。
(7)国際特許出願の特許管理人選任の届出期間経過後の通知(特許法第184条の11第3項、第4項及び第6項)
国内移行した特許協力条約(PCT)に基づく国際特許出願について、在外者が、所定期間内に、特許管理人選任の届出をしなかったときは、一定期間内に限り、その届出ができます。
また、当該期間の経過により出願がみなし取下げになった場合、当該期間徒過について正当な理由があるときは、それを救済する措置が導入されます。
※実用新案登録出願についても同様の手続が導入されます(特許法の規定を準用)。
(8)在外者による直接手続
在外者であっても特許管理人によらず直接に、特許出願(分割出願等の特殊出願の場合を除きます。)等の手続、及び、第4年以後の各年分の特許料を納付することができます。
(9)特許権等の移転登録等の一方当事者による単独申請等(特許登録令第18条、特許登録令第38条)
特許権の移転登録等の申請について、所定の書類を添付することを条件に、当事者のうちいずれか一方の者による単独の申請を認めます(特許登録令第18条の規定により特許登録令施行規則で規定)。
また、不備のある登録申請については、その補正が可能になります。
※実用新案、意匠及び商標についても同様の手続が導入されます(特許登録令等の規定を準用)。
詳しくは特許庁HPをご覧下さい。
http://www.jpo.go.jp/torikumi/kokusai/kokusai2/plt_tetsuzuki_20160210.htm