特許

【インド特許】特許規則改正

2024315日、インド特許規則改正が公表され、同日施行されました。

今回の特許規則改正の主な点は以下のとおりです。

1.外国出願情報提供 (規則12(2))

 ・インド出願から6カ月以内にForm 3(対応外国出願の情報開示に係る「陳述書」及び「誓約書」)を提出しなければならないこと(規則12(1), 12(1A))は改正後も変わりません。

 ・上記以降の対応外国出願に関するForm 3の提出については、改正前は、当該対応外国出願の出願日から6カ月以内となっていましたが、改正後は、インドの最初の審査報告(FER)の発行日から3カ月以内となりました。

 ※Form 3の提出は、10,000インドルピー(約18,000円)/月の庁費用の支払いと共にForm 4を提出することで、最長3カ月までの延長が可能です。

2.対応外国出願審査書類の提出 (規則12(3), 12(4))

 ・これまで、Form 3による更新情報の提出は、出願人が自主的に行わなければなりませんでしたが、出願人による自主的なForm 3の提出義務はなくなりました。

 ・新しく追加された規則12 (4)には、管理官は、出願人に対して、管理官からの通達があった日から2カ月以内にForm 3にて更新情報を提出するように求めることができると規定されていますが、その際、管理官は必要な理由を書面で示す必要があります。

 ※Form 3の提出は、10,000インドルピー(約18,000円)/月の庁費用の支払いと共にForm 4を提出することで、最長3カ月までの延長が可能です。

3.分割出願(規則13(2A))

 改正前は、請求項の記載に基づく分割出願のみ可能となっていましたが、新しく追加された規則13(2A)により、仮明細書/完全明細書に開示された発明についても、自発的な分割出願を行うことが可能となりました。

4.審査請求期間の短縮 (規則24B(1))

 審査請求を行える期間が優先日及び出願日のいずれか先の日から48カ月以内から31カ月以内に短縮されました。

 ※2024315日以前にインドへ出願/移行された特許出願については、従来通り48カ月以内となります。

5.グレースピリオドを利用するためのForm 31(規則29A

 グレースピリオドについては、特許法31条に規定がありますが、これを利用するためにはForm 31を提出することが規定されました。

 ※本申請の庁費用は2,500インドルピー(約4,500円)となっています。

6.付与前異議申立て (規則55(3)及び55(4))

 ・今回の改正では、付与前異議申立ての受理後、管理官が行う以下の手順が追加されました。

  -「一応有利な事件(prima facie case)」と認められるか否かを判断。

  -「一応有利な事件(prima facie case)」と認められない場合は、異議申立人に通知する。

  -異議申立人から聴聞要求がなければ、管理官は、上記通知から1カ月以内に異議申立て却下の決定を下す。

  -聴聞要求があれば、聴聞を行い、聴聞の日から1カ月以内に、異議申立て却下の決定、又は「一応有利な事件(prima facie case)」と認める決定を下し、出願人に通知する。

  -異議申立てが「一応有利な事件(prima facie case)」と認められる場合は、管理官は、異議申立ての受理後1カ月以内に、その理由を出願人に通知する。

 ・出願人が陳述書及び証拠を提出できる期間が3カ月から2カ月に短縮されました。

7.付与後異議申立て (規則56(4))

 異議部による報告書の作成が3カ月以内から2カ月以内に短縮されました。

8.維持年金の割引 (規則80(3))

 維持年金は複数年分を事前に支払うことができますが、4年分以上を事前にe-filingで納付することで、10%割引されることになりました。

9.国内実施報告書の提出 (規則131(2))

 特許発明のインド国内における実施に関する報告書の提出は、会計年度ごとに当該会計年度の終了後6カ月以内に行うことになっていましたが、3会計年度ごとに当該会計年度の終了後6カ月以内に行うことに変更されました。

10.手続き期間の延長 (規則138)

 ・これまで規則138に定める期間の延長について、適用外であった手続きについても適用されることになりました。

 ※例えば、以下の手続きの期間の延長申請が可能となりました。

  -国内移行

  -国内移行時の補正の英語翻訳文の提出

  -優先権書類の提出

  -審査請求

  -拒絶理由解消期間

  -付与前異議申立て

  -維持年金の納付

 ※期間の延長請求は、庁費用(50,000インドルピー(約90,000円/月))の支払いと共にForm 4を提出することによって行うことができます。

 ・これまで延長可能であった手続きも含め、改正前は延長期間の上限は記載されていませんでしたが、「最長6カ月」と明記されました。

 ・延長請求は、6カ月の延長期間内であれば何度でも行うことができます。

11.その他

 庁費用の改定及びFormの追加/変更も行われておりますので、詳しくはインド特許庁のサイトをご覧ください。

インド特許庁Form and Fees

 今回の規則改正の詳細については、以下のPDF(英文)をご覧ください。