ひとこぶラクダとリャーマは違う…

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 さて、本日は金曜日の続き、CAMELの話題です。
 金曜日は問題を出して終わってしまいましたが、情報が少なすぎて答えの見当がつかんわい!と怒れた方がいらっしゃったかもしれません。すみません。

 ということで仕切りなおしを。

 原告の登録商標の指定商品は第25類の「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,ベルト」でありました。
 

 一方、被告(JT&JTの関連会社)が引用した商標は、被告が持ってる登録商標と、(登録商標ではないけれど)商品に広く使用していた商標です。
 その一部がこちら。

 ちょっと小さくて見にくいですが…引用商標2~10は登録商標、引用商標11は使用商標です(判決文の後ろに載っていますので、詳しくみたい方はそちらで確認を)。
 引用商標2~4の指定商品は「たばこ」等ですが、引用商標5~10の指定商品は上記の原告の登録商標の指定商品と一部かぶっています。
 
 こういった事情にもとづいて、被告(JT&JTの関連会社)が無効審判で主張したのは4条1項15号と19号でした。
 そして、審決での無効理由はというと、4条1項19号でした。
 どうやら審決で4条1項19号について引用されたのは引用商標9と11だったようです(「CAMEL」の文字とラクダの図がセットになった商標。引用商標9については一つの商品だけがかぶっている状態だったようです。)

 で、本件訴訟では、原告登録商標(「INCA CAMEL」)の4条1項19号の該当性が争点となったわけです。
 
 4状1項19号の該当性として、まず、原告の本件登録商標と引用商標の類似性と、被告の商標の周知性について。
 裁判所は、特に引用商標9及び11を取り上げて、原告登録商標と類似すると判断しました。
 その上で、引用商標9及び11に関して、商品「タバコ」についてはもちろん周知性を認定、そして商品「被服」等についてもF1関連商品があるので周知性を認定しました。

 次に、「不正の目的」について。
 原告の別の「CAMEL」関連の商標出願の状況や、別の「CAMEL」関連の商標の使用状況などからして、原告は、本件登録商標の出願時及び登録査定時において、引用商標9及び11の著名商標が有する信用又は名声に便乗して利益を得ようとの不正目的をもって、本件登録商標の使用をしている、と判断しました。

 ということで、裁判所も、原告の本件登録商標は4条1項19号に該当するという結論になりました。

 ところで、この裁判、ちょっと笑えるネタがありましたのでご紹介を。

 『なお,本件商標の創作経緯について,原告は,南米音楽やリャーマ(ラクダ科の動物)に魅了され,リャーマから中近東のラクダを連想し,これを歴史上有名な「インカ(INCA)」という語と結合させて,「インカキャメル(INCA CAMEL)」という新語を創作した旨主張する。しかし,南米音楽やリャーマに接してこれらに魅了されたというのであれば,リャーマ(ラクダ科の動物)の図柄(シルエット)とINCAとを結合させることなく,アフリカや中近東のラクダを描くのは不自然であり,原告の主張に係る本件商標の創作過程は,到底信用できるものではない。
 リャーマとラクダのシルエットは違う、た、確かに…
 と思われた方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
  
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