正月の七日も終わったので通常のテンプレートに戻してみました。おめでた気分もすっかりさめました。
さて、「SUMCO」事件を彷彿させる(?)「CIS」事件の続きです。
原告(出願人)は、「取引実情」を主張しやすくするために指定商品を補正でピンポイント化したと思わます(…多分)。
その「取引実情」の主張は、裁判でどのように扱われたのでしょうか?
裁判所の判断を見てみると…
『商標の類否判断に当たり考慮すべき取引の実情は,当該商標が現に,当該指定商品に使用されている特殊的,限定的な実情に限定して理解されるべきではなく,当該指定商品についてのより一般的,恒常的な実情,例えば,取引方法,流通経路,需要者層,商標の使用状況等を総合した取引の実情を含めて理解されるべきである(最高裁判 第一小法廷昭和49年4月25日判決・昭和47年(行ツ)第33号参照)。
原告主張に係る取引の実情は,いずれも,現在の取引の実情の一側面を今後も変化する余地のないものとして挙げているにとどまるものであって,採用の余地はない。』
…となりました。※
そして、
『本願商標は,引用商標と比較して,類似性の程度が高い点をも考慮するならば,本願商標をその指定商品(類似商品を含む。)に使用した場合には引用商標との間で出所に混同混同を生ずるおそれがあることは明らかである。』
とされたのでした。
今回の事件では、確かに商標自体の類似度合いが高い…(そこも「SUMCO」事件とちょっと違うかもしれない…)。
今回の事件と「SUMCO」事件の違い、検討してみるとおもしろそうな。
ということで、本日はこの辺で。
明日も見てくださる方、ぷちっと押していただけると嬉しいです。
↓↓↓
※判決中引用された最高裁判例は、
“商標の類否判断に当たり考慮することができる取引の実情とは、指定商品全般についての一般的、恒常的なものを指すのであって、特殊的、限定的なものを指すのではない”
ことを示したものとして、よく引用されてます。
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